和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第四四回 鮨 若尊(ジャクソン)

第四四回 鮨 若尊 (ジャクソン)

鮨離れの救世主かも…

おいしいお鮨屋さんが高騰しまくり、4万円はあたりまえ、5万円超えも驚かなくなった今、この連載でもいくつかご紹介している 2〜3万円のおいしいお店なんて本当に神だと思いますね。だから最近は高級店のセカンドブランド、いわゆる立ち食いとか若手育成という理由で高級店と同じ鮨ダネを使っているのに 1万円台のおまかせコース、なんなら飲み放題付きというお店が流行っています。

こちらもそういうタイプで昨年10月のオープンから大人気、行きたいと思いつつ予約はほぼ取れず、今回は友人の貸切会にちゃっかり座らせていただきました。飲み放題はビール、ハイボール、生搾りレモンサワー、焼酎、日本酒、ワインの他にクラフトの煎茶、ウーロン茶、和紅茶、ほうじ茶割りとなかなかのラインナップ。料金をプラスすれば「而今」「獺祭」といった日本酒やボトルワインが飲めます。

握りの合間にちょいちょいつまみが入るスタイルのおまかせコースはネギトロ巻きの上に本鮪のブツ切りとウズラの卵黄の醤油漬けをのせたスペシャリテからスタート。しかし選んだ和紅茶割りとの相性が悪かった。ということで続いてのもずく酢、ワカシ(ブリ)にあん肝醤油とホタテのお造りのために日本酒にチェンジ。あん肝醤油には後ほどシャリ玉を入れてくれますが、このあん肝醤油、しょっぱくて死ぬかと思った。次に看板料理のメキシコブラウンって天然海老のフライが登場。基本、お鮨に揚げ物はアンチなんですけど、カラッとしてるし海老も自家製タルタルもおいしいし、このくらいの量ならいいかも。

ここから握りが3貫、そしてつまみが2品、また握り3貫、小丼(本日は蒸し寿司)、つまみ、握り2貫、本日使用した魚介のあら汁、握り、デザートのアイスクリームって流れ。追加もできます。赤酢の酢飯は最初のサワラがべちゃっとやわやわでどうしようかと思ったけど、2回目のつまみが出た後の握りの中トロのあたりは少し良くなりました。ちなみに鮪は「やま幸」ですがちょっと味が浅いかな。

他の鮨ダネもイカはなんか筋っぽいのが口に残ったり、鰆とホッキ貝はちょっと生臭かったり。それにずっと金属味がすると思ったらお猪口が錫製で、これが私の舌には嫌味になったみたいです(周りの人は全然感じないと言ってたので)。
おいしいなって思うつまみや握りもあるし、5時間かけて作るあら汁はめっち ゃおいしかったし、飲み放題付きで11,000円なら人気なのはわかる。実際、私以外のほとんどは予約を取って帰ったし。それにお連れしてくれた友人はものすごく舌が肥えているので私のだけハズレだったのか、あるいは錫の味が残ったか? 私は11,000円だとこういう感じになっちゃうのかなという印象だけど、高騰で鮨離れしている人にはめちゃいいお店なんだと思います。そうだ、場所がわからない問題がありました。食べログもHPも建物名の記載はあるけど、地図を頼りに到着すると建物自体に名前が書いていないし外看板に店名がないので困りました。ぜひとも「アルチザンアパートメント赤坂」内って情報をどこかに記載していただきたい! ついでに店名も読めませんから〜!

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。