和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第四二回 鮨こるり

第四二回 鮨こるり

商業施設の中っていうのが問題か

ワインペアリングで行ってみたい〜と思って予約した「鮨こるり」は、四ツ谷駅交差点を市ヶ谷方向にちょっと行った、巨大な商業施設「コモレ四谷」の 1Fにあります。建物はすぐにわかるけど造りが若干迷路な感じになっていてぐる〜っと回る羽目になってしまった。しかし、こうも興味が持てないレストランしか入ってない施設ってどうなん でしょうか。このお鮨屋さんだけ高額で異色な存在、なんでこんなところに作っちゃったかな。

という場所ですが入ってしまえば雰囲気のあるいいお店です。店主の久田義則さんもスタッフの人も人当たりが良く初めてでも居心地はいい。照明が暗めで西麻布っぽいですが、バーを何軒も経営している系列店だからかも。ドリンクはどんなものが出るのか聞いてからと思い、とりあえず席だけ予約したらワインペアリングは前日までに予約しなければならずで、聞けば温度管理をしなければいけないということなので納得ですが、初めてだと選べないですよ。

仕方ないのでとりあえず最初の「雲丹トロ手巻き」に合うからとロゼのシャンパンを頼みスタート。こちらは握りの間にランダムにつまみが入るスタイルです。先付けにと出されたのが「焼きなす」と「鯨ベーコン」。鯨の高級部位である「うねす」を 1ヶ月半塩漬けして軽く炙り鬼おろしと一緒に食べるのですが、これがめちゃくちゃおいしくて、俄然気分がアガリました。その「雲丹トロ手巻き」はロゼシャンパンとも合って、さらに気分が アガる。さてこうなると日本酒ペアリングにするか迷ったのですが、ワインソムリエさんがいるとのことで 合わなそうなタネの場合は日本酒を挟むってことにして おすすめの 1本をお願いしました。

あん肝は裏漉しして肝味噌を上にのせ、スプーンで混ぜていただきます。これもおいしい! でも鰹のお造りの玉ねぎ醤油もあん肝もちょっと味は濃いめかも。酒を飲ませようという魂胆か? 「鰆の西京焼き」はおいしいけどあまりに貧相でびっくり。もうちょっと頑張ろう。そして「こちらを握ります」とおひつの中を披露してから握りに。酢飯は白と赤の 2種類をタネによって使い分けします。鰈は 4枚重ね、アオリイカは 5枚重ね、大トロは 4枚重ねと薄く切りつけ重ねるのが好きなのかも。

でも総じておいしいし、車海老は頭と殻を煎って粉末にしたものを振りかけていたり、コハダは塩に砂糖を混ぜて 1ヶ月寝かせてほんのり干物感があったりしておもしろさもある。硬めの酢飯とも合ってるし量もいい感じ。難を言えばつまみの味が少し濃いめなことと魚料理のお魚がちっちゃいこと。そして山葵がキツイこと。みる貝と車海老はかなり鼻がつ〜んとなってしまいました。つまみ7品、握り12貫、巻物1種類のコースとグラスシャンパン、ワイン1本、日本酒2合、ウイスキー1杯で30,150円。ペアリングコースだと22,000円なのに、おまかせしたワインが12,800円となかなかのお値段。ここはペアリングコースをおすすめします。それにしてもロケーションとお店が合っていなさすぎました。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。