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とんかつ3名士 河田部長の とんかつひとり旅㉖とんかつ@(アットマーク) (名古屋・車道)

名古屋のイタリアンの系列店ですが、「東京とんかつ会議」でご一緒しているマッキー牧元さんがプロデュースしています。2023年8月にオープンしたばかりですが、注目度が高くなっています。地下鉄桜通線の車道駅から徒歩10分弱、周囲に飲食店があまり無い地域にあります。昼のピーク時には行列が出来るようですが、平日の14時過ぎに覗いてみると、すぐに入店出来ました。

この店の最大の特長は、有名シェフ達から引くて数多の滋賀の精肉店サカエヤのご主人新保氏が手当した豚肉に特化していることです。壁に生産地、生産者を記した銘柄豚の木札が掲げられています。岐阜県、石原潔氏のゴーバルポーク、熊本県、武藤勝典氏の走る豚、岩手県、久慈剛志氏の佐助豚、宮城県、斎藤克敏氏のさいとうポーク、三重県、愛農高校の生徒が飼育している愛農ナチュラルポークが現在のラインナップです。愛農ナチュラルポークは入荷機会が少ないようです。また、フィレ(ヒレ)も用意している数が少ないとのことでした。いずれの肉も新保氏が厳しく選別し、丁寧に仕上げたもので、品質の高さは保証付きです。それぞれの銘柄ごとに特徴があるのですが、私は赤身に長所があるというゴーバルポークのロースを選びました。

温度を変えて揚げた肉は、手当によるものか、少し枯れた風味を感じますが、その分旨みが凝縮しています。衣は多くの有名店が採用する中屋パン粉工場のパン粉を使用し、肉の味を邪魔しないさっくりした仕上がりになっています。卵には強い弾力と甘みを持つ、愛知県のたまゆら琥珀を用いるなど、オールスターキャストの如くです。味噌汁は麦味噌仕立ててかなり甘口のため、好みが分かれるかもしれません。月日が経つにすれ更に実力を発揮していくことでしょう。

お勧めポイント
●精肉のカリスマ、新保氏が手当した豚肉を食べられる
●肉以外の素材も厳選されている

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河田 剛

大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。