和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第三九回 鮨㐂

第三九回 鮨㐂

通えば通うほどに味が出る

グルメな友人の「渋谷駅近くでこんないいお鮨屋があったなんて」という SNS投稿で当日予約。思い立ったら行けるお鮨屋さん、本当に好き。もちろんどうしても行きたいお店は待つけれど、もう何年先の予約とかだんだん興味がなくな ってきました。だって他においしいお店はいっぱいあるんですもの。こちらは渋谷マークシティから徒歩2分ほど。有名焼鳥屋さんとか居酒屋さんがひしめく雑居ビルの 3階にあります。入ってしまえばとっても落ち着くいい空間なんだけど、渋谷はお店に入るまでがね、テンション下がるんだな。

迎えてくれるのがファンキーなちょんまげ頭の大将と粋な女将さん。酒呑みでしょ!って雰囲気がムンムンです。こちらはおまかせコースと特選コースがあって、それぞれにスタンダードかプレミアムの2時間飲み放題っていうのが選べます。もちろんドリンクはノンアルも単品もありますが、スタンダードでも良い日本酒が揃っていますし種類も豊富なので飲み放題がお得だと思います。それに女将さん、「スタンダードで十分楽しんでもらえます」って商売っ気がない。そんなんでおまかせ+スタンダードをお願いしました。

こちらはつまみと握りがランダムに出てくるスタイル。本日は最初に「松茸とホ ッキ貝の茶碗蒸し」が出てお腹もほっこり。ドライジン「季の実」のソーダ割りを飲みながら待っていると、呑兵衛にはたまらない「牡蠣の酒盗煮」「鮪の皮の酢の物」「蟹味噌クリームチーズ」という酒の肴 3 種盛り。手元に置きながらちびちびやるヤツです。早速日本酒にスイッチしてちびちびやっていると握りが登場。
大分の縞鯵は6日熟成させていますが意外にもコリッとした食感。酢飯は軽い! ほろほろと崩れるほど空気を含んでいます。最初がこれだと期待できます。平目の昆布締めも剣先烏賊もいい仕込み方だし、鮪の赤身漬けは赤身なのにまったりとしてうまみがある。上にのせた山ワサビも合うなぁ。中トロも脂のノリがいい感じ!

この「剣先烏賊のミミ」、甘×辛×うまみの烏賊ソースが超絶品でした。本当に酒呑みの気持ちがわかるつまみがちょいちょい出てきて、まぁ日本酒がすすむこと。飲み放題にしてよかった。問題は見た目かな。「茅ヶ崎和牛の自家製胡麻ソース」もおいしいのにおいしそうに見えない。お鮨屋さんだからそのあたり難しいとは思うけど、もうちょっと頑張ってくれるといいのに。あと照明が暗くて写真映えしないんですよね。う〜ん、残念!

車海老は半分に切って塩と煮切りにしてくれます。私は煮切り推し。後半3貫くらいちょびっとしょっぱくなっていましたが、これで 12,000 円なら大満足。ちなみにスタンダードは3,000円です。巻物追加で本日のお会計は16,000円。そうそう、個室は事前に相談すればワンちゃんも子供も可能なんですって。次回はうちのワンコ連れで行こうかな。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。