タケムラダイの日本全国・美味しい冷食
第三十回 木乃幡「凍天」
第三十回 木乃幡「凍天」
福島発！洋菓子と和菓子が織りなす奇跡のマリアージュ！
冷凍食品を毎日食べるようになってから早や20年。大手メーカー品から、コンビニやスーパーなどのプライベートブランド商品に至るまで、目ぼしいものはほぼ全て食べ尽くしてきたと自負しているのだが、全国各地のご当地系冷凍食品までとなると、それこそ膨大な種類になり、まだ見ぬ商品や、存在そのものは知っていても実食に至っていないものが相当量ある。
インターネットでの情報収集はもちろん、旅先においても、駅や空港などの売店、高速のSA、道の駅などを巡ったり、食にまつわるイベントや催事などにも積極的に足を運んだりもしているのだが、それでも日々、新しい商品に出会えるから、私の冷凍食品への愛と探究心は止まらないのだ。
そんな私が、本連載においてご紹介する冷凍食品には、文末に「冷食品評」という、自身の独断と偏見で採点した星評価があるのだが、いくつか設けている項目の中で一番重要な「美味しさ」という部分に関しては、連載開始から一貫して全ての商品に最高値の星５をつけさせて頂いている。
これは、評価基準が甘いわけではなく、星５をつけられる商品しか、皆さんにご紹介したくないからに他ならない。
そして……
ついに、ついに、ついに出た！最高値超えの星６評価！
それほどに感動し、美味しかったご当地冷食。
それが福島名物の「凍天（しみてん）」である。
福島以外の方はあまり聞き馴染みがないとは思うが、県内では非常に知名度の高い商品なのだ。
少々長くなるが、まずは、その歴史から紐解いていく事で、全国の皆さんに「凍天」を知ってもらいたいと思う。
「凍天」は、福島県の南相馬市で生まれた和と洋が融合したお菓子なのだが、その歴史は古く、1989年にまで遡る。
当時、南相馬市で凍餅（もち米を蒸して練り、氷点下の屋外で寒風にさらし、凍らせゆっくり自然乾燥させて作られる福島の伝統的な保存食）の製造・卸業を営んでいた有限会社コワタ食品は、地元のあやめ園内の露店の団子屋で「凍もちの天ぷら」を販売していた。
この「凍もちの天ぷら」が好評を博し、1996年、コワタ食品は餅の専門店「もち処木乃幡」へと業態転換し、看板商品として「凍天」の販売を開始。
瞬く間に、その独特の食感と風味が人気を呼び、福島県のソウルフードとして定着したのだ。
しかし、2011年に東日本を襲った未曾有の大災害・東日本大震災による本社工場の被害や、その後の風評被害などの影響で、2019年、木乃幡は倒産。
「凍天」の販売が終了してしまうのだ。
そんな中、「凍天」を愛する福島県民から復活を望む声が続々と上がり、ついに、2020年に福島市の企業が「凍天」の特許と商標権を買い取り、東北自動車道のサービスエリアで販売を再開。
奇跡の復活を遂げる事となった。
そして迎えた2022年、より多くの人が楽しめるよう「冷凍凍天」の販売がスタートしたのである！（拍手）
「凍天」は、外がサクサク、中はフワフワのドーナツ生地で、モチモチとした凍餅を包んだ洋菓子と和菓子の融合したお菓子で、この3つの異なる食感が、口の中で一つになる瞬間がたまらない！
控えめで優しい甘さのドーナツの奥から、ほのかに鼻腔をくすぐってくる“よもぎ”の香り。
1個のサイズも大きめながら、価格は驚きの220円！
食感・香り・味・ボリューム・価格、全てがパーフェクト！
福島県民の「凍天」愛によって新たに紡がれた物語。
二度と終わらぬネバーエンディングストーリーであれ！！
タケムラダイのワンポイントアドバイス！
粒あんの入った「あんこ凍天」も絶品なので、セットで購入すべし！
タケムラダイの冷食品評
美味しさ：自信をもってオススメできる商品のみ紹介するので基本的には星５。（星５超えがあるかも？）
入手のし易さ：数量限定品や季節限定品などは星が少なくなる。
デザイン性：パッケージや盛り付けなど、商品としての美しさ。
ボリューム感：成人男性基準での満腹度。
調理の手間：調理の手間が簡単であればあるほど星が多い。
【評価】
美味しさ ★★★★★★（初の星6！）
入手し易さ ★★★
デザイン性 ★★★★
ボリューム感 ★★★★
調理の手間 ★★★★★（袋のまま電子レンジで1分程度加熱するだけ！）
※加熱後にトースターで1分弱ほど加熱すると揚げたてのサクサク感がUP！
今回紹介した冷凍食品
商品名： 凍天
メーカー名： 凍天処 木乃幡（株式会社キノシタコーポレーション）
価格：220円（税込）
※凍天（5個）・あんこ凍天（5個）の10個入りセット価格は2,700円（税込）
公式ページ：https://shimiten.jp/
購入できる場所： 公式オンラインショップ、店舗
オンラインショップ：https://shimiten-konohata.stores.jp/
店舗情報：https://shimiten.jp/shop.html
※筆者調べ
冷凍食品マイスター／電子レンジ料理研究家／フードコンサルタント
商品プロデュース業で多忙を極めていた際に、手軽で便利で美味しい冷凍食品と出会い、その魅力に取り憑かれる。毎日欠かさず、20年以上に渡って冷凍食品を食べ続ける筋金入りの冷凍食品マニアとして知られるようになり、テレビやラジオ、雑誌など多数のメディアに出演。現在は通算10000食以上の冷凍食品を食べた経験を活かし、冷凍食品のプロデュースやアレンジレシピの考案、食品メーカーや飲食店などのメニュー開発を手掛けるなど、料理研究家としての活動も多岐に及んでいる。
Twitter：@dai_takemura
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