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とんかつ3名士 河田部長の とんかつひとり旅㉑とんかつとみた(千葉・松戸)

全国屈指の人気ラーメン店、中華蕎麦とみ田が経営する店です。2021年3月にオープンした店です。中華蕎麦とみ田の店主、富田治さんは千葉県や都内にラーメン店を展開しています。とみ田グループでは、スープやチャーシューに TOKYO Xや柏幻霜ポークなどを使用していることがとんかつ業態進出のきっかけになっているのかもしれません。

旗艦店の中華蕎麦そばとみ田がある松戸駅で下車してすぐの場所にとんかつとみたはあります。2階に上がっていくと、店内は割烹のような店構えです。

豚の銘柄は TOKYO X と柏幻霜ポークが中心のようですが、訪問した日には山形の金華豚と鹿児島の黒の匠も入荷していました。柏市の畜産家が生産している柏幻霜ポークにも惹かれましたが、中華蕎麦とみ田でも使用している TOKYO X の特選上ロースを選択しました。価格はこの銘柄にしてはリーズナブルです。カウンターには高めの衝立があり、調理プロセスは見えません。出てきたとんかつは中粗の衣がさっくりきつね色に揚がっています。肉の断面はわずかにピンク色で、柔らかく肉の味もしっかり感じられます。

卓上にはクリスマス島の塩、インカ天日塩、自家製ソースが用意されています。塩は二種類とも上質なものなので、好みで選ぶといいでしょう。ソースの出番があまりありませんが、キャベツが美味しいので、そちらにかけても良さそうです。具沢山の豚汁、お新香、ご飯も水準以上です。中華蕎麦とみ田はその味への揺るぎない追求がラーメン業界でリスペクトされていますが、その姿勢はとんかつにも適用されているようです。
十四代や新政など、貴重な酒がメニューに載っているので、とんかつで一杯というのも楽しめそうです。

お勧めポイント
●ラーメンと共通した味への取り組み
●比較的リーズナブルに銘柄豚が味わえる

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河田 剛

大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。