和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第三四回 札幌魚河岸五十七番寿し 東京店

第三四回 札幌魚河岸五十七番寿し 東京店

駅地下で1貫7,000円の握りがある!?

お鮨の高騰は周知のごとく。でも1貫7,000円の握りがあるってびっくりじゃないですか? しかも場所が東京駅地下の「黒塀横丁」だっていうし、なんとなく回転寿司っぽい店名だし、こりゃ 興味津々ってことで行ってきました。こちら、すでに1店舗目が新千歳空港に立ち食い寿司として行列のできる人気店だそうで、その理由としては札幌中央卸売市場の仲卸を生業としているので新鮮な魚介が直送されているから。

だから“幻”と言われる「鮭児」や「ぶどうえび」、生では希少な「ほっけ」などの握りがあるっていうのがウリ。実際に訪れてみると予想通りの回転寿司感。カウンターが着席、テーブル席は立ち食いってスタイル。席ごとに設置されたタッチパネルでオーダーします。興味津々だった7,000円の握りは「ぶどうえび」でした。一瞬悩んだけどやっぱり頼めず…。「頼む人いるんですか?」って聞いたら希少なので予約で完売状態だと。す、すごい。

本日はこの後、予定があるので立ち食いでササっと。せっかくなので自家製松前漬けを軍艦にした「北の宝石箱軍艦」や「ほっけ」「にしん」など、ここでしか食べられないタネを中心に握りを6貫チョイス。なんか…、でかい。1貫が大きく感じるんですけど北海道ってこれが普通なの? ひと口で食べられないものもあるくらい。おすすめされた「炙りきんき」は弾力と脂がある割に味は淡白。「バフン雲丹」は普通においしいけど、盛りが寂しい。期待した「鰊」は喉に小骨が刺さるという残念なことに…。

酢飯は北海道産の米をいくつかブレンドしているそう。タネによって白酢と赤酢を使い分けています。まぁ、あれですな、タネの新鮮さでギリなんとかなっている感じです。やっぱりお鮨ってタネと酢飯だけしかないから顕著に出るわ。それでお値段が中途半端でビミョーなんですよ。バフン雲丹と炙りきんきは1,200円、北の宝石箱軍艦は500円、本鮪の中トロ650円で大トロは950円。高級鮨店と比べると半額ですが、10貫食べたら8,000〜10,000円くらいいっちゃうわけで。だったら高級鮨店のセカンドラインでドリンク付き15,000 円に行くわ。とするとここで1 貫7,000円って価値あるのかしら?(食べてないけど)。

そうそう鮭児は3,500円、丸ごときんきの煮付けがなんと15,000円。あと、どのくらい仕入れしているのかわからないけどおまかせじゃないので絶対に完売しないから余ったら冷凍するのかな? ぶどうえび、冷凍だったら泣くわ。本日のお会計、麦ソーダ割1杯と日本酒1合、握り6貫といわしカレーコロッケで7,810円でした。ということで、ここはどうしてもお腹が空いてこのままだと倒れてしまう、しかも時間がないという場合に2〜3貫食べるくらいなら使うかも。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★
のどの渇き度 ★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。