和食STYLE

とんかつ3名士 河田部長の とんかつひとり旅⑱ニューベイブ(大阪・内本町)

2021年2月に開店してから順調に店を増やし、内本町の本店のほか、肥後橋、北堀江などにも支店を展開する大阪でも勢いのあるとんかつ店です。この店も何種類かの銘柄豚が選べるスタイルになっています。

谷町四丁目駅から歩いて10分弱、ビルの細い通路にあるので、うっかりすると通り過ぎてしまいます。昼は行列すると聞きましたが、私が訪問した土曜日の夜は比較的余裕がありました。夜は予約が可能ということです。

メニューにはその日提供が可能な銘柄豚が並んでいます。訪問時の銘柄豚は林SPF、TOKYO X、贅豚でした。林SPFとTOKYO Xは東京でもよく見かけるので、贅豚のロースを選択しました。贅豚はマンガリッツァ豚とデュロック豚という、食味の良い品種を掛け合わせた高品質の銘柄豚です。最初は大きめのサイズを注文したのですが、脂身が多すぎるのではとの親切なアドバイスを受け、より小さめのサイズに変更しました。

とんかつを盛り付ける皿の形状がユニークです。パレットを思わせる形で幾つかの窪みがあり、そこには薬味が入っています。レモン、粒胡椒、柚子胡椒、山形の辛子麹(あけがらし)、オリーブ油、醤油、塩というラインナップです。卓上には別途いちじくソースといういちじくの風味を加えたソースが置かれています。薬味の多さは業界一ではないでしょうか。特に粒胡椒やあけがらしは味を引き締めます。

とんかつは大阪の新しい店でよく見られる断面を上にして提供されます。高温→低温と2段階に火を通し、ピンク色を僅かに残した揚げ具合で、薄い衣が周囲を覆っています。肉の密度が高く、旨みもたっぷりです。薬味のバリエーションにより、様々に楽しむことが出来ます。キャベツ、ご飯も吟味されており、豚汁も美味しいです。大阪のお勧めの一軒です。

お勧めポイント
●吟味された豚肉
●薬味のバリエーションによる味の変化

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河田 剛

大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。