和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二八回 すし匠 齋藤

第二八回 すし匠 齋藤

楽しい! 掘り炬燵カウンターで和気藹々

鮨好きにもはや説明は不要でしょう。御大、中澤圭二さんの「すし匠」の前身「すし匠さわ」のオープン時メンバーで、その後、NYに行くも帰国すると「すし匠」に入店。5年後に独立というグループの中でも兄貴分の「すし匠齋藤」。当然つまみと握りを織り混ぜる“すし匠スタイル”ですが、手渡しパフォーマンス多めな独自路線。NY帰りだからですかねぇ。掘り炬燵カウンターっていうのも外国人が喜びそうだし。「いらっしゃいませ」の声も元気いっぱい、みんな笑顔で和気藹々な雰囲気です。

いつもならば麦焼酎ソーダ割りをお願いするところですが、この日は夕方から焼鳥をコースを堪能しながら日本酒を飲んでいたのでそのまま日本酒で。満腹状態から2 時間おいての腹8分目スタートにちょっと不安を感じていました。最初に卵黄の塩漬けを削りかけた「春子鯛」が出てきた時は「うげっ、握りから?」と思いましたが、人間、おいしいものはペロリといけるものです。ま、卵黄の塩漬けがカラスミに感じたのはお腹が満足していたからの舌バカになっていたせいということにしておこう。続いて「がごめ汁につけたバフンウニ」とか「平目をハラペーニョソースで」とか「シマエビの昆布締めに卵黄をかけて」といったひと工夫あるつまみが数種出てきて、「鯵」が握りで登場。

すると次は「蟹の内子の茶碗蒸し」「蝦夷鮑の水和え(と言ったような…)と蓴菜」「鰊ののり巻き」って感じでまたつまみが続きます。「ここまでがおまかせコースで、あとは追加で握れます」と言われた時点でつまみが17品、握りが7貫と圧倒的につまみが多い。お酒呑みにはもってこいの配分、しかもつまみのレベルが高いとくればもう日本酒が進みまくります。焼鳥で結構飲んできたはずなんだけどな。

つまみが秀でているせいか握りはイマイチ印象に残らない。でも聞いてびっくりだったのは酢飯は白、赤、その中間の3 種類を使い分けていること。ここまで赤酢と思っていたのは中間で基本はこれ。確かに赤酢にしてはやんわりだと思っていました。赤酢は「鮪」に合わせてあるそうでめっちゃガツッと酢を感じます。白は「鱒子ののり巻き」に使っていました。そういえば心配した腹8分目スタートも酢飯が小さいこととつまみが多いことでものともせず、追加で松前漬けにした「サゴシ」と「平目の縁側」をいただき「あおさのお味噌汁」とデザートに「最中&アイス」を2種類ずつでフィニッシュ。デザートは数種類から好きなだけ選べます。こちらのお店はグループの中でも人気NO.1 だそうで、おそらくこの楽しい雰囲気が評価に加点されているのでは?と思いました。常連さんは帰りに次の予約が取れるので、また誰かに連れてきていただく日を待つことにします。本日のお会計は55,000円也。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★★★

過去記事はこちらから

過去記事はこちらから

⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。