和食STYLE

EATRAVELLER HIROEの女子美食旅 ⑬ パリ Pavyllon

フランス人にとってヴァカンス(休暇)は非常に重要なものであり、特に夏は長期の旅行に出かけます。そのため、8月のパリは空っぽ。閑散としています。8月15日のキリスト教昇天祭を中心に、2~3週間の間、多くの店が休業となります。私もお盆休みを利用してパリを訪れることがあるのですが、いつもヴァカンス休業期間に当たってしまい、レストラン探しに苦労しています。

昨年の夏は、ラッキーなことにヤニック・アレノ氏のカジュアルなレストラン、一つ星のPavyllon(パヴィロン)を訪れることができました。ちょうど私が帰国する日がヴァカンス明けの営業開始日だったのです。

シックでビストロ風の雰囲気が漂う、オープンキッチンを見渡せるカウンター席で、素晴らしいサービスを楽しむことができました。クラッシックなフランス料理のレシピに、オリエンタルなひねりや、イタリア、北欧など世界各国のエッセンスを融合させながら、味のインパクトは保ちつつ、より軽やかに進化させた料理はとても刺激的でした。以前アレノ氏のビストロ「terroir parisen(テロワールパリジャン)」でスキヤキを食べたことがありますが、彼は和の要素も積極的に取り入れています。Pavyllonでも紫蘇や柚子などがふんだんに使われていました。

「パヴィヨン・ルドワイヤン」は、Alléno Paris au Pavillon Ledoyen(3つ星)、L’Abysse au Pavillon Ledoyen(2つ星)、そしてPavyllon(1つ星)の3つのレストランから成る美食の館です。この瀟洒な館は200年以上の歴史を持つ由緒正しい大邸宅であり、歴史的な建築ならではの優雅な美しさが漂います。シャン・ゼリゼ通りの中程に位置し、緑豊かな木立に囲まれた抜群なロケーションです。「ここは私の夢の家。この素晴らしい館に、新たな命を吹き込みたい」とアレノ氏は語っていました。

Pavyllonではアミューズからデザート、ミニャルディーズまで、丁寧に作り込まれたシンプルで味わい深いテイストが楽しめます。特にコンテチーズスフレはスペシャリティとして絶品。シャキシャキなセロリとアクセントのナツメグが広がる、繊細かつ深い風味が絶妙です。 リラックスした雰囲気の中で、とても幸せな美味しいひとときを過ごすことができました。

今年からはブランチメニューも加わり、多くの人々に人気を博しているようです。昨年改装されたテラス席で、降り注ぐ柔らかな光のもと、豊かな緑を眺めつつブランチを楽しめるなんて、リュクスな気分に浸れること間違いなし。 ちなみに、Pavyllonの今年の夏季休業は、8月7日から8月27日だそうです。パリ滞在を計画する際は、このヴァカンス休みにはくれぐれも注意してくださいね。

フランス人の夏休みと比べると日本人は働きすぎな傾向にありますよね。少しでもリラックスした時間を持てるように、ヴァカンスを楽しむフランス人のライフスタイルを是非とも参考にしたいものです。

評価基準
わざわざ度:わざわざ旅する価値があるか
唯一無二度:いわゆるオリジナリティ
リピしたい度:わざわざ行ってみて尚再び行ってみたいか

わざわざ度 ★★★

唯一無二度 ★★★★

リピしたい度 ★★★

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大野ひろえ

美食を求め旅するEATRAVELLER. その土地ならではの食材を使ったディスティネーションレストランからB級グルメまで幅広く巡ります。趣味は変態料理人探し。