和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二七回 「鮨&BAR 不二楼 新丸ビル店」

第二七回 「鮨&BAR 不二楼 新丸ビル店」

これでいいのか? 有名店のセカンドライン

いやはや、いろいろビックリさせていただいたのが「鮨&BAR 不二楼 新丸ビル店」です。会員制だったのでお伺いしたことはないのですが食べログ3,71(2023年 7月現在)で名店と言われている茅場町「不二楼」の分店が予約なしで入れると聞いて行ってみました。 エレベーター降りたら目の前という超良い場所にあるっていうのもちょいビックリでしたが、仕切りも囲いもなくそのままカウンターに突撃スタイルっていうのもビックリ。いつ使うのか聞きたくなるミラーボールがぶらさがっているのもビックリ、そのカウンターの前で「誰か声かけて〜」という顔でウロウロしても無視、1周して戻ってきても無視されるのもビックリ。先客2人のみのガラガラなのに超入りづらいんですけどっ! 仕方ないので並びのBAR(レジの場所かと思ったら立ち飲み BARでこっちでもお寿司が食べられるっていうのもビックリ)の方のお姉さんに「ここって完全予約制なんですか?」と聞いたら笑顔で「そんなことないですよ。おひとりさまですか? ご案内します」と。

席についてからもさらにビックリが続きます。担当になったお兄さんが開口一番、「いらっしゃい! ワサビ大丈夫ですか? 苦手なものありますか?」って 。ワサビ苦手な人が多いんですって。とりあえず麦焼酎ソーダ割りとお造りをオーダー。お通しの「鮪の煮付け」があまりにもしょっぱくてビックリ。はい、もちろん残しました。お造りはおまかせしたら「いいところを分厚く切りますね。トロ、車海老、縞鯵です」と。でも私は見た。ネタケースから出した鮪が半分凍っていたことを。それに大して厚くもないのにこれみよがしに「分厚い」を強調するのもビックリ。普通だとどれだけ薄いのか? そしてお醤油に ワサビを溶かず、タネにのせてたら褒められたのにもビックリ。

この段階で帰ろうかと思ったけどいやいや握りを食べずにいかないと思い、つまみはパスして握りへ。「ホッキ」はちょい炙って甘味が増していい感じ。「車海老」は中に富山の「白海老」を入れているというので頼んでみた。“白海老効果”で食感と香りがグッと良くなっていると思われます。続いて「鰯」。ちょっと骨がある。厚めに切ったとまた言われる。「大トロ」、厳しぃ〜、筋が噛みきれず飲み込めずティッシュにポイしました。噛みきれないと言ったら炙ったものをおまけで出してくれました。これは食べられた。しかし酢飯はちょっと冷めてて口に入れた瞬間にバランバランに崩壊する。決して“ほどける”ではないのでそこんとこ誤解されぬよう。そして手に酢の匂いがめちゃくちゃつく。

もうこれ以上はいいかなと思ったけど「名物トロたく」という木札が目に入り、ついお願いしてしまった。下半分が「トロたく」で上半分が「ネギトロ」 っていう手巻きでした。上にのせた芽ねぎが長くて食べづらい。トロが叩きすぎでとろとろ。溶けるって言えば聞こえはいいけどねぇ。そして値段が2,200円で超ビックリ! 木札の横 の価格に“ ASK”ってなっていたことを見逃していた私がいけないが、先に言ってくれよ。

最後にウニかイクラをおすすめされたけど、しかもこれらを食べないで帰るなんてあり得ないって顔で何度も言われたけど、あまりのレベルに断固としてお断りしてお会計しました。本日のお会計はお造り、握り7貫(+おまけ 1貫)、麦焼酎ソーダ割り1杯、日本酒1合で11,195円でした。BARのお姉さんはかわい子ちゃん揃いっていうのもビックリ。しかも超狭いのに17時過ぎると 4人体制なんですよ。そっちに力入れてんのか?

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★
ロケーション&設え ★★
サービス ★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。