和食STYLE

とんかつ3名士 河田部長の とんかつひとり旅⑪Katsuプリポー(東京・新宿)

東京肉しゃぶ家のオーナー、高忠伸さんが経営する豚肉料理店Pretty Pork Factoryの中で、2021年9月から営業する珍しい形態の店です。

高さんは東京肉しゃぶ家でも和牛の最高峰、但馬玄を用いて牛しゃぶを徹底的に突き詰めていますが、その姿勢はとんかつにおいても変わりません。

まず、豚肉については相当数の銘柄豚をテストして、基準をクリアしたものだけをメニューに載せています。これまで使われたものとしては、ダイヤモンドポーク、南国スイート、米沢豚、太湖豚、梅山豚、14日熟成岩中豚、宮城純血マンガリッツァなどがあります。高価な十勝ロイヤルマンガリッツァを試験的に提供したことがありました。中でもダイヤモンドポークは、かつて日本で主流だった中ヨークシャー種で、この店では一度お試しいただきたい銘柄です。常に数種類の銘柄がメニューに載っているので、複数で訪問して食べ比べるのも良いでしょう。パン粉は中屋パン粉工場製、上質なラードで肉はしっとり、衣はきつね色にさっくりと揚げています。肉のポテンシャルを最大限引き出しています。

調味料も厳選したものが卓上に置かれています。小豆島の御塩、自家製のとんかつソース、それに薄口醤油を加えた中辛ソース、青唐辛子を加えたソース、おろしポン酢、さらには山椒や黒七味も用意されています。色々試して好みの味を見つけてみるのはどうでしょうか。ちなみに私は青唐辛子ソースをよく使っています。

丁寧に刻まれ、風味を残したキャベツや羅臼昆布と一緒に漬けたキャベツの浅漬け、蛤を出汁を取るだけに使い、具が入っていない味噌汁も素晴らしいのですが、ご飯が抜きん出た存在感を放っています。滋賀県産ミルキークイーンをひと組ごとに信楽、雲井窯の御飯鍋で炊き上げます。あらゆるジャンルの料理店の中でも、このご飯はトップクラスです。最後にご飯と海苔の醤油漬けに昆布出汁をかけて締めれば、大満足の食事になることでしょう。

お勧めポイント
●厳選した豚肉と味を最大限に引き出す技術
●際立った美味しさのご飯

過去記事はこちらから

過去記事はこちらから

河田 剛

大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。