檀崎真由美のボルドー通信『フランス必食N E W S』⑥
今回のボルドー通信は、ボルドーに新しくできたコンフィチュールのお店について。
先日久しぶりに裏通りを歩いていたら、初めて見るお店が目に入りウインドー越しに覗くとボルドーには珍しく、そこはCONFITURE(コンフィチュール)の専門店でした。店名はLA CHAMBRE AUX CONFITURE (ラ・シャンブル・オウ・コンフィチュール)。
仏語でコンフィチュールは砂糖や酢、オイルに漬けた物を意味するジャムの事。
フランスの朝食や食後のフロマージュ(チーズ)に、コンフィチュールは欠かせません。
家庭でもホテルでの朝食にも、何種類ものコンフィチュールが並びます。
この時期ならアプリコットやルバーブやミラベル(西洋すもも)等も人気。
もちろんフランスはどのメーカーのジャムも普通に美味しくてそれが当たり前なので、私も今迄お土産用に可愛いコンフィチュールの瓶を購入し、日本に持って行ってました。
正直最初はそこ迄期待せずに入店し、料理人の性で自然と試食に手を伸ばします。
【ブラックオリーブとドライトマト】と【ひよこ豆のバジリコ風味】のコンフィチュールの二種類のカナッペを試食した途端に、その美味しさに思わず『え?何これ!美味しい!』とテンションが上がり、棚に陳列された多種類のコンフィチュールの中から特に興味があるものを次々とワインの様にデギュスタシオン(DÉGUSTATION)=試食。
味が口の中で混ざらない様に一回ずつ水でリフレッシュと本気モード。迷惑にならない様に『私のフランス必食NEWSで日本人に伝えたい!』と趣旨をキチンと説明しましたよ。
コンフィチュールには果実の甘いジャムタイプと、野菜類を加熱して旨味を引き出した塩系のタイプが在ります。ここではフォアグラに合うものとチーズに合うものでセクションが分かれているので、購入後も何に合わせたら良いか分かり易くなっています。
このお店の商品はどれも本当に私好みで、選ぶのが大変な位どれも甲乙つけがたい!私が最後まで購入リストから絶対外せなかったのが【ONIGNON TRUFF POMEROL】。
オニオン、トリュフ、ポムロールのコンフィチュールで原材料には玉葱、黒冬トリュフに、ポムロール(ワイン)赤ワインビネガー、バルサミコ酢等が記載されていて、なるほど!とても味の奥行が深いリッチなテイストになる訳だと納得。
『これは何に合わせても美味しくなる!』と味わいながら色々な料理のイメージが沸き、急な来客やお土産にも大活躍しそうなので即買い決定!これはまさに必食です!!
オニオンコンフィチュールなら手軽に作れますが、そこにトリュフ入りは別問題。
いくらトリュフ狩りした時にトリュフの樹をプレゼントに頂いたとはいえ現実的に困難。
(トリュフ狩りについてはまた別の機会に伝えさせて頂きたいと思います)
聞く所によると店舗はまだパリ、リオン、プロバンス、ボルドーにしかないとの事。
パリの近くの小さな工場で丁寧に作っている為に量産出来ないとの事でそこも魅力的。
冷蔵庫にあった食材とこのコンフィチュールで、即席3種のカナッペを作りました。
試作後にお庭で冷えた白ワインと共にこのカナッペで独りアペロ。自分の心と対話しながらこんな風に自分のだけのプティ贅沢な大人時間もなかなか良いですね。
<トリュフオニオンコンフィチュール+ロースト茄子とトマト>
1.トーストした薄切りバケットにオニオンコンフィチュールを塗る。
(以下プロセスが同様の為、オニオンコンフィチュールバケットと省略表記)
2.スライスした茄子と半分にしたプチトマトに軽く塩、オリーブオイルを振りかける。
3.トースターで色付くまで加熱し、バケットの上にサラダ類と共に乗せて仕上げる。
<トリュフオニオンコンフィチュール+アボガドと青野菜>
1.アボガドは皮と種を除き薄くスライスし、レモン汁と塩を振りかける。
2.好みの茹で青野菜、香草、パルメザンチーズ、オニオンコンフィチュールバケットにのせて完成。アンチョビを合わせても美味しい!
<トリュフオニオンコンフィチュール+ポテトと鶏ささみのロースト>
1.鶏ささみは一口大に切り塩麹で下味を付ける。片栗粉を塗ぶしてオリーブオイルで香ばしく加熱する。ジャガイモは加熱し一口大に切る。
2.オニオンコンフィチュールバケットに鶏肉ジャガイモ、青野菜を添えて出来上がり。
<オニオンコンフィチュールが手に入らない場合>
1.玉葱を薄切りにして塩を振り、オリーブオイルで狐色になるまで炒める。途中で赤ワイン(又はブランデー)、ワインビネガーを加えると味わいが増す。
※塩麹や甘麹(甘酒)を加えても美味しくなります!
2.トリュフオイルがあれば仕上げに風味付けに垂らす。
※トリュフ風味でなくても美味しく召し上がって頂けます。パンに塗ったり、魚料理や肉料理に添える事も出来る万能保存食なので、沢山纏めて作ると便利です。
※コンフィチュール(confiture)の語源コンフィット(confit)は旨味や風味と共に長期保存する事。
【店情報】LA CHAMBRE AUX CONFITURE
その名の通り『コンフィチュールの部屋』でホームページにも拘りの文言が一杯。
防腐剤、香料、着色料不使用で海外輸送も可能。
La Chambre aux Confitures – Créateur français de saveurs originales
フランスボルドー在住料理家。ダンラキュイジーヌ(Dans La Cuisine)主宰。
La société MT GESTION CULINAIRE共同代表(フランス)。
Alchemist.Pte.Ltdコーポレートシェフ(シンガポール)。
和洋中の料理を専門的に学び、著名な一流シェフのアシスタントを経験後、仏料理店『シェ松尾』で5年修行し独立。
クッキングスタジオでの料理教室開催、大手企業や海外一流ブランドのパーティーフードをシェフとして手掛け、人気を集める。アメリカ、シンガポール生活後、現在ボルドーを中心にフランス政府正規就労許可の元、料理教室、オンラインレッスンを開催。英語と仏語でも和食レッスンを行い、全国放送『F R A N C E3』にてお節料理を作り、自身の料理活動と共に紹介される。フランス料理だけでなく、和食、本格中華点心迄ワンランク上のクオリティーに仕上げるテクニックで国内外問わず活躍中。