和食STYLE

EATRAVELLER HIROEの女子美食旅 ⑨岐阜県 摘草料理かたつむり

岐阜県山県市、 摘草料理「かたつむり」は知る人ぞ知るジビエの名店、里山の滋味を堪能できる野趣あふれた料理店です。
自然豊かな最深部、秘境ともいえるこの小さな集落に全国から美食家たちが押し寄せます。店の表札には「きのことジビエ」と書かれており、佇まいはごく普通の一軒家。中に入ると民家を改造したダイニングにテーブルと椅子、1日16人限定。こちらで美しい里山を丸ごと味わい尽くせるお料理がいただけるのです。

お店を切り盛りするのは料理人清水滋人氏とパートナーの岩田芙美代さん。清水さんは料理人でありながら自ら山に入り、採ってきた食材を提供しているため、どんな旬の恵みが手に入るかはその時々で変わってきます。
話題豊富な清水さんは、野生のキノコや絶品の山菜に関する知識に詳しく、話し始めると止まらないのです。お話上手で面白く、ずっと聞いていたかったです。
鹿や猪はなじみの猟師さんから仕入れ、敷地内の解体部屋で自分で解体をするとのこと。自然の営みや命の尊さを知っているから、ひとつも無駄にできないと語っていました。

先付は枝豆、ジビエで炊いた大根や里芋やカボチャ、エビ

焼きアマゴ

じゅんさい

イノシシ焚き合わせ 行者ニンニクを添えて 骨切りして髄で煮込んだスープが美味。

天然猪の肉の旨味が際立つスペアリブ 月並みな表現ですが 脂は甘く旨味は強い。1年熟成のインカのめざめを添えて。

野菜たっぷりサラダで小休止

マガモ 深くて濃い味わい。イノシシ同様銃ではなく「わな猟」です。

天ぷら 稚鮎、うなぎ、白ナス、とうもろこし

メインのきのこ野菜鍋 野生の旨味たっぷりです。 水菜、春菊、天然クレソンなどの摘草をさっとしゃぶしゃぶ。そこにイノシシをしゃぶしゃぶ、更に熊をしゃぶしゃぶ♪

このスープを使い、旨味の塊である巨大なアカヤマドリダケ を刻んでたっぷり投入した〆の雑炊です。 アカヤマドリダケとは、 ポルチーニの仲間で、カサの部分の見た目が赤い山鳥に似ていて、強烈な旨味を出し、食感と風味が素晴らしいキノコです。

山の恵みたっぷりなエキスを心ゆくまで堪能することができました。 私が「美味しい美味しい」という度に清水さんは謙虚に喜び、「そういってもらえると自信がつくんです」と嬉しそうに語っていました。そのお人柄からもファンが生まれているのですね(私もその一人!)。

今回は初夏の食材を使ったメニューでしたが、厳しい自然との格闘とも言うべき暮らしの中で、どんな旬の恵みが手に入るかは 四季折々で変わってきます。次はどんな食材に出会えるのか、心待ちにしながら季節ごとに訪れたいものです。 **「情熱大陸」毎日放送(MBS)2023年04月23日(日) 放送後、ますます予約が取りづらくなっています。 6月現在、来年の年末まで予約が入っているそうです。

評価基準
わざわざ度:わざわざ旅する価値があるか
食材への愛:生産者さんへのリスペクト、食材のポテンシャルをどこまで引き出せるか
地産地消度:地元で生産されたものをどれだけ消費しているか
唯一無二度:いわゆるオリジナリティ
リピしたい度:わざわざ行ってみて尚再び行ってみたいか

わざわざ度 ★★★★

食材への愛 ★★★★★

地産地消度 ★★★★★

唯一無二度 ★★★★

リピしたい度 ★★★★

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大野ひろえ

美食を求め旅するEATRAVELLER. その土地ならではの食材を使ったディスティネーションレストランからB級グルメまで幅広く巡ります。趣味は変態料理人探し。