和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二三回 おまかせ寿司 すしのすけ

第二三回 おまかせ寿司 すしのすけ

ニュー新橋ビルにまさかの予約困難店が!?

ニュー新橋ビルってチェーンの 居酒屋とか 昔馴染みのスナックとかリーマン御用達のお店しかないと思っていて、私がこのビルに立ち入るとすれば中華料理の「日吉」1択 。ところが友人がいい感じのお鮨屋さんがあるというので貸切り会に参戦したわけです。このビル、入る場所を間違えると迷子になってしまうので気をつけなければなりません。友人の指南に従い、SL広場の方からエスカレーターで地下に降り左に曲がったところで立ち止まり、さて、お店はどこかと上を見上げて店名が書いてある看板を探すけれど見つからない。それもそのはず。だって看板、お鮨の握りの絵なんですもん。見つけた時は思わず笑っちゃいました。

暖簾をくぐれば「え、ここBARですか?」って感じのカウンター。本日握ってくれる鈴木健太さんが笑顔でお出迎えしてくれます。今回は常連の友人の貸切りのおかげで最初から和やかムード。お酒を頼んでつまみから始まります。盛り板の上にはすでにガリがのっていますが、酢の加減がやわらかなのでつまみにちょうどいいこちらのおまかせコースはつまみが4品、続いて握りが2品、次はつまみ、握りと交互にきて後半はほぼ握りという変則スタイル。

つまみは4日寝かせた真鯛を桜の葉の塩漬けで数時間おいたお刺身は桜の香りが漂う逸品だったり、餡に梅を効かせた茶碗蒸しも新感覚でおもしろい! 色とりどりの「あられ」も可愛くって食感のアクセントにもいい。こんな工夫を凝らしたものが次々と登場したかと思うと、「ホタルイカ」は炙って七味でいただくなど王道もあり、なかなか楽しませてくれるじゃないですか。握りも然り。「中トロ」や「穴子」のようにタネ勝負もあれば、「〆鯖」には柚子胡椒を忍ばせてみたり、「トロたく巻」にはタマネギを入れて食感で遊んだりと舌がめちゃくちゃ喜びます。

お米は新潟の「つきあかり」。大粒の米をしっかりと炊きあげて酢飯は赤酢と白酢と黒酢をブレンド。酸は穏やかで塩も砂糖も少なめだから喉が渇かな〜い! さて食感はというともっちりは微塵もなくどちらかというとポロポロ。悪くはないけど私的にはもうちょっと粘りがあってもいいかな。本日のお会計は麦焼酎ソーダ割り1杯に日本酒2合で12,100円。鮪はアイルランド産だったり、鯖は養殖だったり、海苔もパリッと歯切れよくいかなかったりはするんですけど、食材に金額をかけられない分は工夫を凝らして頑張っている。のけぞるほどではないけどかなりいい〜んじゃないですかね。カウンター7席に4人席の個室もありで使い勝手もいいし。あと貸切りだとちょっと特別なこと、できちゃったりするみたいだし。よし! 予約取らせてくださいとお願いしたら、なんと4ヶ月後! ニュー新橋ビルでまさかの予約困難店でした。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。