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とんかつ3名士 河田部長の とんかつひとり旅⑧とんかつ川久(鹿児島・鹿児島中央)

1975年に創業した鹿児島市の老舗です。鹿児島中央駅から歩いてすぐの場所に店を構えています。鹿児島の名門百貨店山形屋の店内で営業する瀬戸口精肉店が経営しています。私が訪問したのは平日の夕方でしたが、ほぼ開店と同時に満席となり、行列が出来る人気ぶりです。

精肉店の経営だけあって、肉の仕入れには自信があるようです。鹿児島といえば六白黒豚ですが、その中でも代表的な生産者である渡辺バークシャー牧場の肉を使用しています。第一回で紹介したtonkatsu.jpでもラインナップに載っている生産者です。

250グラムあるという上黒豚ロースカツを注文しました。運ばれてきたとんかつはかなりの大きさで一切れが分厚く見えます。断面はうっすらとピンク色を帯びており、脂身がたっぷりついています。衣はきつね色にカリッと揚がっています。分厚いとんかつを口いっぱいに頬張ると黒豚に特徴的な脂の甘さが広がります。

ボリュームが多いので、調味料を色々と試してみます。卓上にソースが3種類あります。とんかつソース、しょうゆタレ、ゆずみそタレというラインナップですが、豚肉の味自体が濃厚なのでさっぱりしたしょうゆ(ただし少し甘め)が合うような気がします。塩とカラシは卓上にはないのですが、言うと持ってきてくれます。

ご飯も大盛りなので余程の大食いの人でなければ満腹になることでしょう。黒豚をワイルドに食べたいなら、この店は絶好の存在だと思います。

お勧めポイント
●黒豚の脂身の甘さを堪能
●分厚いとんかつにかぶりつく快感

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河田 剛

大手証券会社の調査業務に携わる傍らでグルメアナリストとしても活躍。さまざまな料理を食べ歩き、著書『ラーメンの経済学』(KADOKAWA)で話題に。料理の背景や素材、流通に至るまで、幅広い視点での鋭い洞察が特徴。