和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二二回 DAGOUT

第二二回 DAGOUT

「ブルペン」を卒業してベンチ入り!試合結果はいかに!?

荏原中延の立ち食い寿司「ブルペン」の隣に何気なく「DAGOUT」と書かれた看板を発見!訊けば1日6席限定、非公開の座るお鮨屋さんで、「ブルペン」を卒業した佐々木男駆さんが大将だと。うわ〜、これは気になる! どうしても行ってみたいとご本人に強引に拝み倒して席を確保。期待度150%でいざお店へ!

こちらは「鮨りんだ」「らんまる」をあっという間にスターダムにのせた河野勇太さんが手がけるお店。若手が握るチャンスを与えたいとオープンした「ブルペン」でお鮨を食べた後に〆の甘いものを楽しんでもらいたいと遊び心で始めたカフェスタンド「 DAGOUT」が表の顔。ですが、その横のいかにも秘密っぽい扉を開けると「佐々木男駆」と書かれた表札の奥にあるんです、座るお鮨屋さんが! ちなみに野球にちなんだ店名は河野さんが野球好きだからです。
席につくとすでにワクワク度はMAX状態。そこへ男駆さんが登場し、お店の紹介と本日同席しているお客さまの名前を聞きます。これでなんとなく一体感が生まれ、和やかなムードになる。すごい作戦だ。

そしてひと品目が「名刺代わりの剥がしの中トロ」。これ、流行りなんですかね。以前にも書きましたが「名刺代わりの鮪」に限り、ちょっとやそっとじゃ驚かない私じゃなければ「うわぁ、なにこれ、おいしい!」ってなったと思います。 赤酢の酢飯はほんのり温かく、トロの脂がじんわり溶けてとろけます。実際、お隣の方々は 全員 のけぞってました。こちらは握りの合間におつまみを挟むスタイル。「ブルペン」での「隠し球」や「牽制」を思い出します。

「金目鯛」「スチームホタルイカ」「紫雲丹&イカ」「太刀魚」「毛蟹の稲庭うどん」、まさかの海老フライにタルタルソースがのった「海老フライ軍艦」などアイデア満載の握りとおつまみが 18品出たところでおまかせコースが終了。続いて追加のタネが発表され、好きなものを好きなだけ選べます。どれも基本がしっかりあった上での“男駆オリジナル”にすっかりハマってしまいました。
結局、追加も入れて21品+お味噌汁+デザートのソフトクリーム で 36,000円 。今回はドリンク代をお友達がごちそうしてくれたので いつものごとく麦焼酎ソーダ割り2杯と日本酒3合くらい(写真を撮り忘れたのトータル金額は不明ですが、おそらく 45,000円前後じゃないかと思われます。ちょっとお高いけど、楽しくっておいしいので またぜひお伺いしたいと思います。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★ (知ってたら★★★★)
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。