和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第二十回 鮨 心白

第二十回 鮨 心白

移転して洗練された石田ワールド もいと楽し!

移転してからお伺いするチャンスがなかった「鮨 心白」。以前のお鮨屋さんという佇まいは何処へやら。「ここですか?」と聞かなきゃわからないほどの隠れ家になっていました。変形カウンターには 2席ごとにウォーターサーバーが置かれ、自分でお水を注ぐスタイルだし、日本酒を頼めば酒器箱が選べませんから〜ってくらい出てくる。こだわりは相変わらずですが、大将の石田大樹さんはしばらくしてからゆっくり登場してくることと、握りはいつ始まるのか心配になるほど出されたつまみは初めに 3品出たあとは握りの合間にちょいちょいと差し込まれて TOTAL9品になったこと、終わりの時間は 0時を回らないことには少し寂しさを覚えたり。

でも始まってみればやっぱり石田ワールドは健在。どうやって探し出すのか「幻の数の子」みたいな希少 食材を提供してくれるし、「 アスパラ 」を「目光」で巻いちゃったり、数種類のイカで“握り比べ”させてくれたりと、まぁ楽しくって仕方がない。しかもそのイカ、 後で写真見るとそれぞれ 包丁の入れ方を変えてるんですよ。歯切れだったりねっとり感だったり、そのイカの個性を見極めて手を入れ、その理由も説明してくれる からおいしさに納得する。そういえば昔は必ず全員に 石田さんが使っているタコの締め方の動画観せてたっけ。ただおいしいものを食べさせるだけのお店じゃなくて、ホント、勉強になる。それだけ石田さんが勉強してるってことですよ。さすがだなぁと思いましたね。

酢飯は赤酢でお米ひと粒ひと粒の輪郭がはっきりしています。「赤身」や「中トロ」にはもちろんだけど、本日はほんのりあったかい温度の酢飯で握った「サヨリ」がいちばんだったかな。じゃ、なぜ写真を出さない!と怒られそうですが、色のバランスを考慮してってことでご容赦ください。さて、つまみは品数が限られたので握りが永遠に続くのか?と思ったけど普通に14貫と玉でフィニッシュ。時計を見たら3時間ちょっとでした。あの6時間近く食べて飲んでた時代が懐かしい。

確かに所要時間は半分になったけど満足度は変わらず。私史上5本の指に入る「石田さんのからすみ」はやはり素晴らしくおいしかったし、こんがりしっとりとしたカステラのような「玉」も最高のデザートです。かなりお久しぶりだったのでうっかり頼むのを忘 れてしまった“裏”日本酒は次回飲みたいと思います。今日のお会計は 29,000円。本当にいいの?ってお値段でありがたい。ま、当然のことながら予約困難であります。が、耳寄り情報をひとつ。扉のお隣にもうひとつ扉がありまして、中へ入ると 1Fにあたるのですがそこは石田さんの2店舗目、朝食とバーの「刻刻」というお店です。こちらは今のところ予約なしでお伺いできるので通っているうちにお鮨の空席情報も GETできるかも?「刻刻」もそのうち「ちらし寿司」をランチで始めるかもと仰っていたのでお楽しみに。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★★★
サービス ★★★★
のどの渇き度 ★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。