⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第三回 鮨はしもと
第三回 鮨はしもと
ワタクシ、生まれも育ちも鮨屋です!
大将、橋本裕幸さんが修業した「日本橋蛎殻町 都寿司本店」は明治20年創業の老舗で、食べログランキングでトップの「日本橋蛎殻町すぎた」の杉田孝明さんの修業先でもあります。つまり、おふたりは先輩後輩の間柄というわけ。橋本さんはこちらの4代目、山縣正さんから鮨職人としての心を、その後「日本橋橘町 都寿司」を継いだ杉田さんの下で技術を学んだと言っています。ご実家もお鮨屋さんであるから、さながらサラブレッドにとんでもない調教師がついたってことですよ。
だから独立した時から人気店ではありましたが、あれよあれよという間に予約数ヶ月待ちとなり、徒歩数分のところに移転(元の場所は一番弟子が「鮨 美幸」を開業)。まさに出世街道まっしぐらです。
こちらはつまみの後に握りになるおまかせコース。特にお浸しやお造りの後に出る旬の食材を使ったちょっぴり遊び心のある「飯もの」は毎回の楽しみです。鮑の肝ソースや、蛍烏賊丸ごと&花わさびに酢飯を混ぜる「飯もの」のおいしさたるや! その後に「あん肝」や「味噌漬け」など日本酒を飲まずにはいられない酒肴や焼物が出て、いよいよ握りが「小肌」から始まります。小肌ってややもすると口の中が酸だらけになりがちだけど、橋本さんは酢の使い方が実にいい!酢飯は赤酢と米酢をブレンドしていてタネによって温度を変えています。舌の上にのった後すぐにホロホロとゆっくり崩れてタネと一緒に喉を通るという握り方もいい!
おまかせコースは27,500 円~。この日はハイボール1 杯と日本酒5 種類で37,000円でした。平日と土曜日は17:30 と20:30、日曜祝日は17:00 と20:00 の二部制。若手のホープだった橋本さんも40 歳を超して心も技も貫禄が出て、そのお人柄を写したような味わいに予約争奪戦はますます白熱しています。
(たかはしあやこ)
フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“⾷” へのこだわりは、その後の素晴らしい⼈々との出会いと相まっていつしか⼈⽣そのものに。その間に培った⾷のデータと⼈脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外⾷で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ⼿帖」「BRUTUS」「GQ」「⾷べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。
【評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★★
ロケーション&設え ★★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★