和食STYLE

⽇本名産紀⾏ 柘いつか 第 8 回 下仁⽥納⾖

作家/旅行作家 柘いつか – Itsuka Tsuge –

⽇本の朝⾷から、⾷卓を明⽇へと繋ぐ伝統⾷
群⾺県最南端に位置し、⻑野県との県境に位置する⾃然豊かな下仁⽥市。古来より商品物流の拠点として栄え、ネギとこんにゃくが有名ですが、最近では納⾖が話題になっています。

⼤⾖は昔から、⽇本の⾷⽂化を⽀えてきました。
⾷卓にいつも並び、⾝近にある納⾖を深く考えてみたら、⾖の味をしっかり感じる下仁⽥納⾖に⾏き着きました。
昭和の時代の⼦供の頃「ナットー、ナットー︕」と、納⾖売りが⾃転⾞やリヤカーで売り歩いていた下仁⽥で、50年余年続いている昔ながらの納⾖店が始まりです。
朝⾷を国産の納⾖にして⾝体を整えれば、⼀⽇の暮らしも良いスタートを迎えることができます。

炭⽕・経⽊・⼿造りの真髄
ほとんどの納⾖が発泡スチロールのパッケージが多い中、懐かしい経⽊(きょうぎ)に包まれた納⾖のほうが、今や⾼級品となりました。経⽊には、独特の良い⾹りがあり榛名⼭の麓で栽培された⾚松を使⽤しています。
通気性に優れ、乾かずベタつかず、松ヤニの天然抗菌作⽤がありと、いいことづくめです。 アンモニア臭も控えられ、微⽣物によって分解される⽣分解性も⾼いと⾔われています。

納⾖造りの⾏程は、⼤⾖を⽔に浸し、七輪による備⻑炭で暖を取り、やかんの蒸気で温度湿度を保った室(ムロ)で20時間発酵させます。
圧⼒釜で蒸し煮した後、ジョウロで納⾖菌を散布し、冷ましながら熟成させ、天然の抗菌発酵作⽤により、最適な柔らかさに蒸し上げ、⼿作業で経⽊に⼊れて、そして包む。 季節により⽇々の温度や⾖の具合によって浸漬時間を調整し、釜の圧⼒を調整するので、芯まで温まり、ふっくらと仕上がります。 炭⽕発酵による遠⾚外線の優しい熱で、不⾃然な温度変化がない環境で発酵がゆき届き、旨味のある最上級の納⾖が出来上がるのです。
えぐみをしっかり取り除くので、飽きのこない美味しさが味わえます。

⼿造りゆえに、⽣産量は増やせない
群⾺県産と北海道産の⼤⾖の苗⽊畑は、緑⾊⼀⾯の美しさが⾃慢です︕
農薬を使わず、草取りも⼿作業で⾏い、⼤切に育て、収穫された⼤⾖の美味しさが納⾖の味を⽣み出します。
⼤⾖から調味料、からしに⾄るまで、有機 JAS 認証を受けたものを使⽤しています。 ⾃信と誇り情熱を持って、粘り強く地域の森林有効活⽤を循環させ、体や環境を⼤切にと地域で SDGS にも取り組んでいます。

経⽊と菌、⾃然の⼒⼿作業で、⼤⾖の⽢みや⾷感をダイレクトに味わえる、⼤粒、中粒、⼩粒、⿊⾖や有機⼤⾖。
近所でも評判だった納⾖がよりどりみどり、全国で楽しめるようになりました︕

ネギ、卵⻩、キムチ、梅⼲し、⼤根おろし、オクラ、しらす、海苔、めかぶ、海苔、とろろ芋、ゴマなど、お好みの⾷材と薬味でいただくのもいいですが、これからの季節は納⾖そばもおすすめです。

刻みネギと⼀緒にお椀に⼊れて、味噌汁を注いでも納⾖好きにはたまらない⼀杯になりますし、近頃⼈気の醤油焼きそばの具材に使っても、⾷欲をそそる⾹りが引き⽴ちます。

下仁⽥納⾖

https://www.shimonita-natto.jp

柘いつか – Itsuka Tsuge –

作家。東京都⽣まれ。世界50カ国以上を訪れ、各界に多彩な⼈脈を持ち、日本の良さを再認識している。
『⼀流のサービスを受ける⼈になる⽅法 極(きわみ)』(光⽂社)が好評発売中。ベストセラーとなった『別れたほうがイイ男 ⼿放してはいけないイイ男』『成功する男はみな、⾮情である。』はアジア各国で翻訳された。
https://itsuka-k.com