- レモン生産日本一を誇る広島県瀬戸田町では珍しいハート型レモンも栽培。
低農薬の安心安全なエコレモンです。
全国に伝わる郷土料理を発見する旅シリーズの3回目は、たこ好きで知られる倉本康子さんが「たこ飯」をお目当てに広島県三原市を訪ねました。広島はご両親の故郷で親戚も多く、やっこちゃんにとっても特別な場所。
大好きな場所で大好物を堪能して、笑顔溢れる旅でした。
- 広島県三原市は、瀬戸内海沿岸のほぼ中央に位置する城下町。真だこの産地としても有名で、たこ漁の漁師飯がたこ飯のルーツです。
広島県内でも最も小島が多く、絶景の多島美を楽しめる三原は、江戸時代から代々世襲制で引き継がれているたこつぼ漁が盛んなことでも知られています。水質がきれいで水温が一定な三原沖は、適度に岩場があって餌となる甲殻類なども豊富。
たこの棲みかには絶好の場所だそう。三原のたこは、足が短くて太いのが特徴で、身が詰まっていてぷりぷりとし、甘みがあるといわれています。好物である海老や蟹を食べて育っているので美味しいという説も。
地元では、新鮮な真だこを使ったさまざまな料理法が伝えられていますが、代表的な料理のひとつが「たこ飯」です。代々続く漁師の家系に育ち、50年以上漁を続けている三原市漁業協同組合・組合長の濵松照行さんに話を伺うと、たこ飯は、もともと漁師が船の上で獲ったばかりのたこをぶつ切りにして、ごはんに炊き込んで食べていた漁師飯で、それが家庭の食卓に広がっていったのだそう。
漁業協同組合でも漁師直伝のたこ飯を、道の駅などで販売していますが、水揚げ直後に活け締めにして、瞬間冷凍したものを自然解凍して使用するのがポイントとのこと。
生のたこを塩で洗うと身が硬くなるけれど、一旦冷凍すると、水洗いでたこのぬめりが簡単に取れ、身も柔らかくなるそう。卵を持つ前の6月〜8月、寒に入る11月〜はたこの旬。いちだんとプリプリした歯ごたえの、絶品たこ飯が味わえます。
- 漁港にはたこつぼがズラリ。資源保護のため、産卵期は休漁して、たこつぼの掃除をするそう。
- 潮の流れが速いため三原のたこは足が太くて短いのが特徴。身が引き締まってぷりっとした食感が楽しめる。
たこからたっぷり出汁が出て、ほんのり赤い色に染まったごはんが食欲をそそる三原のたこ飯。カラッと揚がったたこ天と、生わかめのお味噌汁もご馳走。
漁協組合長の奥様、濵松眞弓さんが作るたこ飯は、道の駅でもすぐに売り切れてしまう評判の味。漁師町に伝わる元祖たこ飯の作り方を教わりました。
倉本道の駅でも販売しているそうですが、毎日たこ飯を作るんですか?
――そうです。平日でも150g入りで70パック、土日は140〜150パック作っています。
倉本わぁー、すごい量。地元でも大人気なんですね。もういい香りがしてる。早く食べた〜い。私、食べ物の中でたこがいちばん好きなんです♡
――じゃあ、ぜひたこ天も食べてみて。ぶつ切りにするところも多いけど、ここでは足をそのまま1本揚げするんです。衣に塩水を入れるんだけど、配分は企業秘密なのでごめんなさいね。
倉本塩味が効いて美味しそう! 大好きなたこをいっぱい食べられて、今日は本当に幸せ。
家でも絶対作ります。
三原市漁協組合長の奥様、眞弓さんも漁師の家庭に生まれ、たこ料理はお手のもの。横で手伝うやっこちゃんは、大好物のたこを目の前にして大興奮。
- 具材は、たこ以外にも人参、ささがきごぼう、油揚げ、枝豆を入れるのが定番。
材料(8人分)
- 米7合
- たこ500g
- 人参1本
- ごぼう1本
- 油揚げ1枚半
- 枝豆適量
- 出汁の素6g
- 塩大さじ1
- 酒大さじ2
- 醬油大さじ3
- 砂糖適宜
- うまみ調味料4g
- たこは1cmのぶつ切り、人参は千切り、ごぼうはささがきにする。
- 油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、短冊に切る。
- 炊飯器に洗った米と具材、調味料を入れ、目盛り通りに水を加えてスイッチを入れ炊飯する。
三原市漁協組合長の濵松さん(左)と、たこ漁名人に囲まれて、たこ飯を頰張るやっこちゃん。カーディガン¥8,900ノースリーブブラウス¥15,000ジーンズ¥28,000(すべてアン レクレ)ピアス・サンダル(ともに私物)
- 60年続くベストセラー
「元祖珍辨たこめし」「かきめし」や「あなごめし」など広島名物の駅弁、空便を販売している「浜吉」は、たこめし弁当の元祖でもあり、「珍辨たこめし」は、昭和28年から発売している人気商品。たこめしの上に、たこの旨煮、錦糸卵、海老、椎茸、筍、山菜、ウズラの卵、漬け物がトッピングされた八角形のお弁当で、ぷりぷりの食感を生かしたたこの旨煮が絶妙な美味しさ。JR三原駅、福山駅構内売店で販売。¥980
たこの町三原では、たこ料理の専門店もあり、多彩なメニューが楽しめます。広島にはたこ以外のブランド食材も豊富で、とくに牡蠣は全国有数の養殖地として有名ですが、残念ながら冬が旬。
逆にこれから脂がのって美味しくなるのが穴子。穴子めしや穴子寿司もぜひ味わいたい郷土料理です。また、国産レモンの生産量も広島が日本一。農薬や化学肥料を低減した瀬戸田のエコレモンも評判です。そして、必食のお好み焼きは、尾道焼を満喫しました。
活き造りからたこ釜めしまで
三原たこをコースで味わえる
三原名物のたこ料理をはじめ、瀬戸内海の新鮮な海の幸が楽しめる店。カウンターの奥に大きな水槽があり、旬の地魚をその場で捌いてくれるのが魅力。三原の地たこ料理コースは¥1,600〜¥3,700まで4種類。活きたたこの足を切って、薄造りにする鮮度抜群のたこ刺しは、なかなか味わえない逸品です。
三原市城町3-2-7 ☎0848-62-7393
営業:11:30~13:30(L.O.)、17:00~21:30(L.O.)
休み:水曜
たこコースA(¥3,200)は、「活たこ刺身」、口の中でとろけるような「やわらか煮」、なめらかなじゃがいもの中に刻んだたこを入れ、お出汁でいただく「たこ入りじゃが芋まんじゅう」、歯ごたえのよい「たこ天」、コチュジャンを使った「たこピリ辛鍋」、「たこ釜めし」に吸い物とフルーツが付きます。Bコースは、「たこしゃぶ」や、「ホイル焼き」などが入ります。
イカ天、砂ズリが入った
尾道焼の草分け的な存在
尾道通り商店街にあるお好み焼きの人気店。
江戸時代から続く漆器店を営みながら、27年前にお好み焼き店を併設したそう。
いちばん人気は尾道焼で、キャベツ、もやし、天かす、そばまたはうどんをベースに、砂ズリ(砂肝)とイカ天を加えるのが特徴。ふわっと蒸し焼きにされたキャベツも絶妙。
尾道市十四日元町1-23 ☎0848-37-2325
営業:11:30~15:00、17:00~19:30(L.O.)
休み:木曜(祝日の場合は営業)
ふっくら焼き上げた穴子寿司や
希少な穴子の刺身も楽しめる
しまなみ海道・生口島の瀬戸田は、日本画の巨匠、故平山郁夫画伯の出身地で、好物の穴子料理を味わいによく訪れていたのがこちら。
瀬戸内海の穴子を使った料理がメインで、シャリにも穴子のたれが染みた箱寿司や、珍しい穴子の刺身なども人気。季節限定で、地元特産のレモンを用いた鍋も楽しめます。
尾道市瀬戸田町瀬戸田520-1 ☎0845-27-0170
営業:11:00~15:00、17:00~21:30(L.O.)
休み:火曜(祝日の場合は翌日)
撮影/谷口 京 モデル/倉本康子 スタイリスト/加藤万紀子 ヘア・メーク/高梨 舞 取材・構成/秋山美英
STORY 2015年6月号より