和食STYLE

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第41回

[おともあってのご飯です。]

「今日夕飯何食べる?」と聞かれて、

「お米食べようか?」という会話はほとんどない。

「おかずなににしようか?」と聞かれて、

「お米にしようか」ということもない。

お米にいわゆるマーケティングやプロモーションをかけていこうとしたとき、事業者自体が、生産者でない場合は、そのお米の良さを最大限に伝えていかなければならないのだが、お米屋ではないその人たちにとっては、結構難題であることがわかる。そう、つまりお米メインの直接的な伝え方ではなく、実は伏流のような、「お米を生かしていく」方法論が必要になる。そう、僕からすると、印籠を出さない水戸黄門は「だれ、この爺さん・・?!」という考え方だ。

少し極論めいたことを書いているが、日本全国のお米のプロモーションをみていくと「伏流」の筋ではなく、本流筋で「ど直球」ばかり。

そこで、僕らは「伝わり方」を考えてみることにした。お米は食べているけれども、主食というよりは、なにか「副食」のような存在にもなりうるお米、という捉え方だ。

「おともあっての、お米です。」

ちょっと謙虚な態度で、僕らがお手伝いさせていただいているお米「奥島根弥栄米」と向き合ってみようかと思ったのです。品種は「つや姫」「コシヒカリ」。品種を聞いただけだと、他の地域と代わり映えありません。「うまいの?まずいの?粘り気あるの?有機なの?なぜこの土地なの?」も、アバウトにいうと、実はかなりグレーな表現で、「作り手の思い」に寄りすぎて、そのお米を食べているお客さんが少し置き去りになっている。もっと言うと「個人的な意見です」的な健康食品みたいな感じです。お米の良さは、お米単体では図れないほどマニアックな食材だなと思っていました。(もちろん評論的に食べ比べできて、違いがわかれば大したものです!)

だから、お米を食べてもらうには、お米だけでは成り立たない。そこで企画したのが「おともアワード」。お米だけではなく、おかずだけではなく、全部が一つになって、美味しい食卓が生まれる。どちらが主役ではなく、一緒に美味しくなる関係を目指すアワード。そして今回は第一回ということもあり、全国発信ではなく、まず地方、地元島根県でしかやらない企画をつくりました。

その企画は、まずお米が取れる地域で行われる小さな地域のお祭りで、おともとともに、お米をみんなに食べてもらいました。もちろん食べた人は一票いれます。そこで一等を取ったのが、島根県雲南地域の「雲南山椒 ジャコのり」という商品です。なかなか病みつきになる商品。

そしてもう一つはモニター企画として島根ゆかりのいろんな人に食べてもらいました。これも本当に接戦となって、こちらで一等をとったのは、島根県仁多地域の「しょうゆ味 ごまふりかけ」です。

今回、おともとしてノミネートさせていただいた9品目は、すべて島根のものばかり。島根で生まれたものだから、島根のものとマッチングして欲しいし、そこから全国区になるのが楽しみだなと思っていて、なかなかのラインナップです。先日おとも探しで、食べ比べたら、ご飯が何杯あっても足らない。米が食べたくなる!(笑)

これをきっかけに、全国でもいろんな「おともアワード」が生まれると、全国おともアワードっていうのもありかもですが、まずは島根から。

ちなみに、この一等をとったおともたちと、お米が来年セットで販売になります。ぜひお試しいただけると嬉しいです!

 

●奥島根弥栄米 「おともアワード2017」

http://okushimane.jp/otomo-award2017/

松田龍太郎

松田龍太郎

2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を設立。主に食にまつわる事業開発・店舗開発では、これまで50店舗以上を手掛け、一方企画・プロデュースの分野では、元テレビ局カメラマンとして、食に限らずメディア、PRコンテンツの発信、企画展開を得意としている。2020年4月より「奈良蔦屋書店」2階に「ブラッスリーアンド カフェ ウグイス」として新たなポップアップレストランを、そして同じく同月、青森県弘前市に開館予定「弘前れんが倉庫美術館」に付帯するカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」を、それぞれ立ち上げ、運営・事業を作り上げている。
http://www.oiseau.co.jp