和食STYLE

⾼橋綾⼦のNO SUSHI, NO LIFE – 第五五回 代官山寿し佐藤

第五五回 代官山寿し佐藤

町寿司っていいな

仕事で代官山にいたので近くにお鮨屋さんないかなと「食べログ」で見つけた「代官山寿し佐藤」。評価は3.45(2024年2月12日現在)だし、ふらっと入れるだろうと思いながら念の為に電話したらなんと(失礼!)満席。21時過ぎでよければと言われ一旦諦め他を探すも、逆に気になってしまい再度電話して待つことに。空かなかったらどうするかと問われ、21時に連絡もらった時点で考えますと伝え待っていたら 20時過ぎに空いたとの連絡が来ました。直ちに駆けつけると親方の前の席に案内してもらえました。

「食べログ」でレモンサワーがおいしいと書いてあったので頼んでみる。残念ながら大したことないので即座に日本酒をオーダー。こちらはコースもありますが“好きなものを好きなだけ”がウリなので、仰せのとおりにつまみからとメニュ ーを見ると、まぁ、これが楽しいんです。お鮨屋さんなのにコロッケはあるわ、グラタンはあるわ、アジフライはあるわと思えば、箱ごと出しちゃう「生ウニつまみ」なんてものもある。本日は入荷しました!って暗黙に勧められている「活かわはぎ薄造り」と、意気な一品っていう「目光の唐揚げ」をまずはオーダー。

かわはぎは想像していた食感ではなく肝醤油も「もうちょっと肝入れてよ」と言いたくなるし、目光は結構小骨があって喉に刺さらないようにめちゃ噛まなければならず、はっきり言うとイマイチ。でも個体差があるしなと思い直しお通しの煮凝りを食べると、え、おいしいじゃないか! 親方に何かお勧めしてもらおうかと「おつまみおいしそうで迷いますね。でも量が一人だと…」と話しかけるも「そうですね。少なくできるものはしますよ」と会話がプツンと途切れちゃう。試食会でちょっとお腹膨れていたこともあり、握りにいくことに。

すると握りのメニューが渡されます。◎はお勧めですと言われ、じゃ、全部◎から選ぼうじゃないかと、関サバから。脂がのっててトロンとしてます。酢飯は白酢、酢は弱めです。すると「シャリの大きさどうですか? 小さくもできますよ」と聞いてくれます。このままで大丈夫と告げると、これが通常の大きさじゃなかったのか見てると捨てシャリが多い。手数は 3 手と少ないけど必ず捨てシャリするのは癖なのか? 鮨ダネはどれも可もなく不可もなく。ならば、と炙りものを頼んでみる。やっぱり普通。

親方はニコニコしてるものも話しかけてもくれず、オーダーすると「はいっ、縞鯵ねっ」と快活なんだけど居心地悪いので、〆に煮詰めものと煮ハマグリをお願いする。すると煮詰めがおいしいじゃないか!ってことで穴子でフィニッシュすることに。お会計をお願いすると急に親方が話しかけてくれ、そこからは和気藹々。あがりで居座ってしまいました。来ていた人たちは長年の常連さんで、目の前にはネタケースがあり、つまみも豊富、お土産も出前もあるまさに町寿司の典型です。本日のお会計、レモンサワー、日本酒1合、つまみ2品、握り7貫で9,130円。つまみも握りも最高!というわけじゃないけど、好きな時に好きなものを好きなだけっていいなと思いました。

綾⼦の⾃分勝⼿評価基準
おひとりさま度:ひとりではもちろんのこと、たとえ初めてでも楽しめるかどうか。また何か素敵なことが起こるか、客層はどうかも含む。
⼝福度=価格の満⾜度:鮨⾼騰の折、基準は⾷べて飲んで 4万円以下。おいしいは当然、⽀払いをした時にどう感じたか。
ロケーション&設え:「google map」で迷わずたどり着けるか。内観のセンス、器や酒器、トイレの清潔感など店内の印象。
サービス:スタッフの接客の満⾜度
のどの渇き度:完璧に個⼈的主観だが、塩分過多などでのどが乾くような味が苦⼿。評価は星が多いほど、のどは渇かないということ。

【評価】
おひとりさま度 ★★★
⼝福度=価格の満⾜度 ★★★
ロケーション&設え ★★
サービス ★★★
のどの渇き度 ★★★★

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⾼橋綾⼦
(たかはしあやこ)

フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人⽣そのものに。
その間に培った食のデータと人脈を武器に、年間 1000 軒ほどの外食で“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ⽇々。「綾⼦のギョーカイ総受けグルメ手帖」「BRUTUS」「GQ」「食べログマガジン」「集英社オンライン」などに寄稿。BS フジ「リモート☆シェフ」では審査員として定期的に出演。
東京都主催の食の祭典、「Tokyo Tokyo Delicious Museum 2023」のプロデューサーに就任。また企業のメニュー開発やアドアイザーにも携わる。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。