タケムラダイの日本全国・美味しい冷食
第二十二回 十勝スロウフード「牛とろフレーク」
第二十二回 十勝スロウフード「牛とろフレーク」
素材そのものの味が堪能できる、肉丼の完成形!!
美食の宝庫・北海道には美味しい冷凍食品が数限りなく存在しており、本連載でも既に2度ほど北海道冷食をご紹介させて頂いたのだが、いずれもここ数年の間に出会った商品だった。
しかしながら、今回の「牛とろフレーク」は違う。
出会いから数えれば実に20年以上になるだろう。
その間、現在に至るまで、メディアなどでも幾度となく取り上げられ、全国各地で開催されている数多の賞レースにおいて、いずれも非常に優秀な成績をおさめるなど、味における信頼と実績を積み重ねてきた珠玉の逸品なのだ。
初めて口にした時は、これまで出会った事のなかった新しい味と食感にただただ感動したのを覚えている。
元来、ユッケなどのローフード(生肉)が大好物だったので、それからというもの、ハレの日にはこの「牛とろフレーク」を堪能していたのだが、2011年の4月に発生した焼き肉チェーン店における集団食中毒を境に、生食用牛肉の安全性が問題視されるようになり、「生食用牛肉の規格基準」が施行された事で、旧来の「牛とろフレーク」は一時的に市場から姿を消す事になる。
食品衛生法の規格基準を満たす形で、これまでと変わらぬクオリティを出すにはどうすれば良いか。
製造元である十勝スロウフードは、新基準に則って表面加熱をするなどの方法も試みたそうだが、いずれも以前よりも明らかに美味しさが半減してしまうという結果に終わる。
味に妥協して販売し続ける事もできたのであろうが、「これまでの美味しさを半減させてまで、生で食べて美味しい牛肉を加熱したくない」という強いこだわりの末、ようやくたどり着いたのが「非加熱食品加工」という食肉加工品の分野だった。
詳しくは同社の公式ページにて、いかにして製品の安全性とクオリティを維持したのかを知ってほしいのだが、この選択はこれまで以上の手間と時間を要するものであり、こだわりと信念無くしては実現し得なかったものである事がヒシヒシと伝わってくる。
この商品にかける同社の並々ならぬこだわりと情熱を知ってもらってこそとの思いで、少々、前置きが長くなってしまったが、味についても言及していこう。
北海道の十勝地方で育った厳選された牛肉が、上記した独自製法によって加工されているのだが、最大の特徴は凍ったままの状態で食べられるという点だろう。
いや、むしろ非常にデリケートな商品なので、食べる前に解凍してはならないのだ。
フレーク状の牛とろを凍ったまま、熱々のご飯にふりかけると、ご飯の熱でみるみるうちに溶けていく。この凍った牛肉が溶けて鮮烈な赤みをおびていく様が、口に運ぶ前の興奮度をMAXまでかきたててくれるではないか!
肉特有の臭み的なものは一切無く、牛肉本来の濃厚な旨味と脂の甘みのみがギュッと凝縮された味わいとなっており、これが白米にとんでもなく合う!
温泉卵と浅葱をトッピングして、わさび醤油で食べるのが私のオススメする食べ方だが、パスタやうどんなどにももちろん合わないはずがない。
価格は、200gのカップで2,700円と額面だけ見れば少々お高いように感じてしまうかもしれないのだが、お茶碗にすれば10杯分は作れるので、そう考えれば一食あたり270円と非常にリーズナブル!
ぜひ一度、この舌がとろける美味しさを実際にその目と舌で体感して頂きたい。
タケムラダイのワンポイントアドバイス!
凍ったままの牛とろフレークを熱々のご飯に乗せたら、しばし牛肉が溶けていく様を鑑賞すべし!
タケムラダイの冷食品評
美味しさ:自信をもってオススメできる商品のみ紹介するので基本的には星5。(星5超えがあるかも?)
入手のし易さ:数量限定品や季節限定品などは星が少なくなる。
デザイン性:パッケージや盛り付けなど、商品としての美しさ。
ボリューム感:成人男性基準での満腹度。
調理の手間:調理の手間が簡単であればあるほど星が多い。
【評価】
美味しさ ★★★★★
入手し易さ ★★★
デザイン性 ★★★
ボリューム感 ★★★(茶碗一杯分とした場合)
調理の手間 ★★★★★
今回紹介した冷凍食品
商品名:牛とろフレーク
製造者:十勝スロウフード
価格:2,700円(税込) 200gカップ
公式ページ:https://www.gyutoro.com/
購入できる場所:オンラインショップ
オンラインショップ:https://www.gyutoro.com/SHOP/81020.html

冷凍食品マイスター/電子レンジ料理研究家/フードコンサルタント
商品プロデュース業で多忙を極めていた際に、手軽で便利で美味しい冷凍食品と出会い、その魅力に取り憑かれる。毎日欠かさず、20年以上に渡って冷凍食品を食べ続ける筋金入りの冷凍食品マニアとして知られるようになり、テレビやラジオ、雑誌など多数のメディアに出演。現在は通算10000食以上の冷凍食品を食べた経験を活かし、冷凍食品のプロデュースやアレンジレシピの考案、食品メーカーや飲食店などのメニュー開発を手掛けるなど、料理研究家としての活動も多岐に及んでいる。
Twitter:@dai_takemura
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