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日々是和食

さかな歳時記「二十四節気・大寒」 とろとろ溶ける冬の珍味

二十四節気●大寒●1月20日

西日本であまりなじみがなく、もっぱら関東から北海道で親しまれています。もともとは漁師の間でしか食べられていませんでしたが、今では一般にも流通、タラより相場が高いことも度々あるそうです。
築地市場での通称は「たち」や「たつ」、いずれも北海道や東北地方での呼び名。このほか地域によってたくさんの地方名を持ちますが、マダラの白子とは異なる呼び名を選びなさい。

①菊子   ②雲子   ③助子   ④だだみ

【解説】

初雪の便りが聞こえるころになると、獲れだすのが鱈。マダラは晩秋から冬にかけて北海道や東北、北陸で水揚げされる。
多くの魚が春の産卵に備えて、冬には脂がのってくる。小寒(1月5日頃)の寒の入りから、大寒を経て、立春(2月4日頃)を迎える寒明けまでが、一年中で寒さが最も厳しい時季。この寒の頃に味がよくなるマダラを「寒鱈」と呼ぶ。
北国の産地ではとれたてを昆布締めにして刺身で食べる。クセがなくとりわけ昆布と相性がよいので、身のエキスが汁に溶けだすちり鍋(たら鍋)にするのが好まれる。津軽では‘じゃっぱ汁’。秋田の‘だだみ汁’。これらの地方には、タラの身がとても煮えやすいことをいう「鱈は馬の鼻息でも煮える」という言葉がある。
寒い夜フーフーいって食べる鍋は、体を芯から温めてくれる。



やさしい白身の味は鱈ちりや湯豆腐にすると、ほかの具材と生かし合っておいしく体が温まる。火が通りやすく、身が崩れやすいので、先に野菜、後からタラがいい。

雪が深まる山形・庄内地方でもこの季節の愉しみは鱈だ。当地の名物は寒鱈の‘どんがら汁’。どんがらとはアラのことで、頭から内臓まで豪快にいれた汁のことをいう。
酒田の冬の風物詩「酒田日本海寒鱈まつり」が今年もこの1月27(土)・28日(日)に、酒田駅前や‘さかた海鮮市場’など市内4ヵ所で開催され、寒鱈汁が味わうことができる。



寒ダラのどんがら汁。タラの旨みすべてが溶け込んだ汁は極上。岩ノリを入れて食べるのが庄内風。写真:酒田市提供

身は脂が少なく淡泊であっさり、だが白子はこってり。この白子を魚の卵だと思っている人が多いそうだが、精巣だ。タラに限らず魚類の精巣は白子という。
この季節、北国を旅すると、魚のうまい店では必ずといっていいほど白子の品書きを目にする。ところが、「白子」と書かれている店にはとんとお目にかからない。
函館あたりから青森にかけては「たち」か「たつ」、または「たご」。岩手、宮城だと「きく」「きくわた」「菊子」。秋田から山形、そして福井では「だだみ」、京都に行くと「雲子」が通り名だ。
素性がわかると、次にはいつもといっていいほど、選択に悩む。「ぽんン酢」か「天ぷら」、いずれを選ぶべきか。甲乙つけがたし。



「白子のぽん酢」 新鮮な白子は口の中にいれるとプリッとする。噛んだ瞬間、とろっとクリーミイな舌触りが広がる。

白子もタラの身同様、火を通しすぎるとぼそぼそになってしまう。沸騰したお湯に30秒浸し、氷水でしめるときゅっと身がしまっておいしくいただけるそうだ。



醤油の味と白子の濃厚さが相まって、ご飯のおかずにぴったりの「白子の甘辛煮」。醤油、みりん、酒で5分ほど煮る。煮詰めない程度に火を止め、冷ます。冷めるときにぐっと味がはいるとか。

白子は高たんぱくで低脂肪。貧血を防ぐなどの効果があるビタミン12が豊富だが、コレステロールも多いのでご用心。一時に「ぽん酢」も「天ぷら」も、は・・・。



鱈は食欲旺盛。貝や小魚、イカなど手あたり次第に食べる。実際に食べ過ぎが原因で胃潰瘍にかかる魚もいるらしい。この大食いの性質から「鱈腹(たらふく)」という言葉が生まれた。
世界でもタラはポピュラーな魚で、揚げたタラにフライドポテトを添えた英国の‘フィッシュ&ポテト’は有名だ。

③助子はスケトウダラの白子。卵巣は「たらこ」。これを唐辛子などで味つけしたものが「めんたいこ」である。

 

日本さかな検定協会 代表理事 尾山 雅一

【解答】③助子(すけこ) 
 

日本さかな検定(愛称:ととけん)とは

近年低迷が続く日本の魚食の魅力再発見と、地域に根ざす豊かな魚食文化の継承を目的として2010年から検定開催を通し、思わず誰かに伝えたくなる魚介情報を発信する取り組みです。 この四半世紀に街の魚屋さんが7割近くも姿を消し、またいまや地方にも及ぶ核家族化により、魚の種類・産地・季節・調理の情報や、祖父母に教えられた季節の節目に登場する魚の由来や郷土の味が伝わらなくなっています。
魚ほどそれをとりまく情報や薀蓄が価値を生む食材は他にないのに、語るべき、伝えるべき魅力が消費者に届かなくなっているところに、「魚離れ」や特定魚種への好みの偏りの一因があると捉え、愉しくおいしい情報を発信する手段として日本さかな検定が誕生しました。
2010年の第1回を東京・大阪で開催、2015年の第6回では八戸から福岡の12会場、昨年の第7回では函館から福岡にいたる11会場へと広がり、小学生から80歳代まで累計2万名を超える受検者を47都道府県から輩出しています。
平成29年は、6月25日(日)に札幌(初)・石巻・東京・静岡・名古屋・大阪・兵庫香美(かみ・初)・宇和島・福岡の全国9会場で、6歳から88歳まで2800余名を集めて開催しました。詳しくは、「ととけん」で検索、日本さかな検定協会の公式サイトをご覧ください。

  日本さかな検定協会 http://www.totoken.com/