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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第29回

地域の問題は、食で繋いで解決する。お米を売るためには、高齢者を元気にすることが秘訣?!

昨年より、シマネプロモーションさんが音頭をとり、弊社も関わらせていただいている島根県浜田市弥栄町にて、お米や野菜、ジビエやキノコといった地元の食の特産品を活用し、販路を作るための「奥島根弥栄」ブランドが立ち上がった。

特にお米は、非常に出来がよく、いよいよ今年は品評会できちんとした評価をいただこうということになっている。一方で、酒米ではなく食用米のコシヒカリをつかった「どぶろく」はすでに高評価を得ており、金賞を受賞するなどの優れものだ。やはり、その土地のテロワール(土地の性格や風土といった土着のもの)や、水や自然の良さがそのまま品質に現れているのは確かだろう。ただ、こうした「美味い土地」で「耕す人」が減っていることは事実だ。

この事実の一端は「自然減」であり「地域の高齢化」であることはいうまでもない。ただそれをマイナスと考えず、「いかに効率的に、集落単位で、良い品質ものを提供するか」ということをチャレンジしているのもこの弥栄町である。そうした姿勢をみて、私たちも期するところがあり、今年度から本格的に関わらせていただこうとおもっている。

さて、その本気度というのは、なにも「移住定住してそこで根を下ろす」ことが全てではない。いささか、都合の良い耳障りではあるが、僕らができることは限られている。限られているからこそ、その地域にはない視点やアイディア、具体的な施策が、求められるのは確かだ。もちろん、それは1人でやり切れるものでもないし、地域でその主人公やキャストが現れるほど「奇跡的なこと」はなかなか生まれない。だからこそ、特産品ではなく、「そこで生きてきた人」ほど、価値が高いのである。つまりは、いま問題になっている高齢者の皆さんである。それこそ素晴らしい人的リソースだと思う。

お米の栽培から、郷土食の作り方、地域の良き風景のポイントから、人の噂まで(笑)。ありとあらゆることを知っているのが土着の人だ。ただ、知っているからこそ「盲目的」な部分も多く、当たり前が新鮮であることが、時にわからなくなる。その時、僕らのような「よそもの」を使ってもらいたいと思っている。ただそのよそ者も、多種多様だ。1コンサルタントがあたかも大正解をもってくるのではなく、いろんな世代、人種、考え方の人間が地域に入り込んだり、生活したりすることが、それこそ「地域活性化」に繋がっていくと思う。僕らが今回弥栄町で実施したのはそうした内容だ。今までは僕の目線が、Foodnia Japanであったが、これからは僕のチームスタッフ、パートナーがFoodnia Japanの目線になっていく。その目線をまとめたのが、こちらのインスタグラムだ。先日、弥栄町に行った時の模様がアップされているのでぜひチェックしてもらいたい。

https://www.instagram.com/oiseau_foodstandard/

地域の問題は、みんなで考える。課題に対して、一人で臨むのではなく、多くの視点から現場を体験し、肌感覚として情報を掴んだ後に、自分の中で表現につなげていくこと。そのアウトプットはいろんな形であるべきだ。もちろんバラバラにならないように「繋ぐこと」。地域の問題をつなぐことで連鎖した問題が、芋づる式に答えが導かれていく。お米の販路は、地域の高齢者を元気にすることから生まれる。そう、風が吹けば桶屋が儲かると一緒だ。すべては繋がっている。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第28回

chocolate×梅酒とのマリアージュに注目! THE Chocolateの新展開。

先日、このブログで紹介させていただきました、コンビニで絶賛販売中、200円ちょっとで買える本格チョコレート「meiji THE Chocolate」の新商品発売記念イベントにおじゃましてきました!

新商品は「軽やかな熟成感vivid milk(以下ビビッドミルク)」という名前がついた“ダークミルクチョコレート”。

そもそも今回発売されたビビッドミルクは、2017年初めに限定販売され、様々なチョコレートの大会で金賞や銀賞を受賞した「THE Chocolate ドミニカダークミルク(販売価格:1080円)」を、コンビニでも買えるように再開発した商品です。金賞受賞のチョコレートを200円ちょっとで買えるという、ありえない一品。

その秘密が、本品の開発担当である宇都宮洋之さんによるカカオのレクチャーで解き明かされます。年々日本におけるカカオの輸入量は上がってきており、2016年には年間約6.3万トンが輸入されています。すなわちカカオ高配合のチョコレートが日本人に受け入れられはじめていると言えます。

また、新商品に配合されたカカオの主となる原産国ドミニカ共和国は、1980年代から土地に適したカカオを開発し、1989年には他国からのカカオの木の輸入が禁止され、自国のカカオをとても大切に育てています。

加えて、新商品に使われているカカオの生産会社は、丁寧な製造工程と徹底した品質管理で世界の有名ショコラティエからも指名されるほどの工場なのだとか。この高品質なカカオからできたのが、今回の新商品である「ビビッドミルク」。

レクチャーの次は、いざ試食!

今回の試食は、

●エリア・発酵日数・撹拌・乾燥など「カカオ豆処理コントロールによる香りの違い」

●高温・低温焙煎など「カカオ豆の焙煎条件による香りの違い」

を味わわせていただきました。

カカオ豆の加工の仕方によって、素人の私でもわかるほど香りが強かったり、甘みが強かったりと味の違いがありました。

meijiさんは「THE Chocolate」を通じて、「ダークミルクチョコレート」という新しいジャンルの提案をしたいそうです。

ここ数年でよく見かけるようになったBean to Barのチョコレートはカカオ豆70~80%が多い一方、THE Chocolateは45~60%ほど。カカオの風味と苦味を感じながらも、甘みがありさっぱりといただける味わいで、甘すぎず苦すぎず一番「ちょうどいい」チョコレートに仕上がっているなと感じました。

そして後半は、DOMORI創業者のジャンルーカ・フランゾーニ氏が登場。

お酒とチョコレートのペアリングということで、今回はなんと「梅酒×meiji THE Chocolate」をプレゼンテーションしてくださいました。

チョコレートのプロフェッショナルであるフランゾーニさんは、日本の食材の中でも梅が最もお好きとのこと。そのテロワール、職人性、伝承性、植物としての美しさなど、カカオとチョコレートの世界に近しいものを感じるのだそうです。

そして、梅酒になる梅には南高や福井、鶯谷、紅さしなど品種は100種類以上あり、ベースとなるアルコールにも日本酒、焼酎、泡盛、ブランデー、ラム酒など、その組み合わせが無限であるところもおもしろいですね。

それから梅酒のアルコール度数は12〜20℃なので、カルバドスやコニャックよりも組み合わせて食べる食材の味を邪魔することがないので、チョコレートの風味を楽しむのにはぴったりのお酒なんだそうです!

というわけで、早速、テイスティングしてみました。

まずは、萬歳楽加賀梅酒×エレガントビターから。

うまみたっぷりの紅さしを使った加賀の梅酒は甘味もたっぷりですが、エレガントビターと一緒に口に含んでも、どちらもけんかせずにむしろサッパリする感じ。お酒があまり強くなく、甘党の方でも楽しめそうです。

お次はサントリー梅酒山崎樽17℃×ビビッドミルク。こちらもエレガントビターの時と同様の手順で口に含んでみると…口の中の余韻がすごい!チョコレートを転がしながら梅酒を含むと、口の中でボンボンができるみたいだよね!と笑うフランゾーニさん。気さくで素敵な方です。

サントリー山崎の樽で漬けている梅酒はウィスキーのような深みとコクがあり、とってもエレガント。ビビッドミルクのナッツ感と相性が良く、バーでお酒をたしなんでいる時のような上質な感じに驚きました。

うーん、梅酒とチョコレートとは、考えたこともなかったのですが、すごくいい発見になりました。飲み物との新しい組み合わせを知ると、チョコレートを手に取りたくなるシーンが広がりますね。

明治のみなさま、素敵な機会をありがとうございました!

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第27回

「世界のベストレストラン50」初登場。長谷川氏率いる「傳」の魅力。

グルメ界のアカデミー賞とも称される「世界のベストレストラン50」が、先日オーストラリアのメルボルンにて発表されました。実は、ミシュランもさることながら、このベストレストラン50が現在、非常に注目を浴びております。

そのなかで、今年ジャンプアップどころか、新登場45位! 日本でいうと、青山にある18位の「NARISAWA」につぐランクに入って来たのが、「傳(でん)」という和食料理のお店です。店主の長谷川在佑さんは、東京、神保町に出店後、わずか3年でミシュラン2つ星を獲得。18歳のときに神楽坂の料亭で修行し、29歳のときに自らのお店を開店させました。

僕が長谷川さんのお店に共感しているのは、「高級料亭と居酒屋の間の日本食のポジションを作ったこと」です。以前働いていた会社で経営していた和食のお店もそういう店づくりをして、ファンも多く、僕も大好きなお店の一つです。それでいて、アイデンティティとして、和食を大事にしているところです。実は、20−30代の若手で、日本食をメインとし、こうして成功している人は少ないです。そのほとんどが、イタリアンやフレンチの業態ばかり。もちろん一概に業界の問題とはいえませんが、逆に海外の方が、教育や伝承においては、進んでいるのかもしれません。

そういうお店を目指すお客様はもっと素直です。海外からのお客様も多く、先日伺ったときは、外国人グループが団体でこられていました。そして傳のスタッフも外国語でスマートに対応。なにより厨房では、外国人スタッフも研修や勉強をしたいということで、増えているそうです。

先日、神保町から神宮前に引っ越し、新たなスタイルになった傳。今まではカウンターの提供もありましたが、今回はそれをやめて、カウンターが見える大きなテーブルを配置。厨房から全てを見渡せ、それでいて大人数に対応するやり方はとても新しく感じました。

また、おまかせのコースも奇を衒わず、旬なものを、一番美味しい食べさせ方で提供するスタイルには、逆に新鮮さを感じました。私も八百屋を経営する身ですが、旬のものを旬に提供すること、そしてその味わいこそが、野菜の一番美味しい時期であることを知っています。そうした中で、傳がやっていることはとても素直で、なにより美味しく味わえるコツを知っている印象です。

それを提供する長谷川さんのキャラクターもあいまって、より美味しさを増幅させる装置のような存在になっています。僕も傳自体はなかなか行く機会もなく、今回はたまたまキャンセルで空いていたところに飛び込みで行かせていただきました。けれど、世界45位の立ち位置、評価というのは間違っていないと思います。高級料亭でもなく、居酒屋でもなく。世界に打って出る「日本食のあるべき姿」を感じるレストランです。ぜひ予約を頑張ってとって(笑い)、厨房が見えるテーブルに座って、傳ワールドを楽しんでもらいたいです!

日本料理 傳:http://www.jimbochoden.com/

 

The World’s 50 Best Restaurants:http://www.theworlds50best.com/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第26回

旬の名残。長岡京タケノコの里で、今年最後のタケノコ掘り。

大学の先輩から、京都で野菜の卸をしている「アグリジャパン」、そして冷凍食品を展開している「ジャパンフード」を束ねておられる中井会長をご紹介いただいた。

発声一番「松田くん、5月3日にタケノコ掘りをするさかい、GW初日やけど、きてみいひんか?(この辺りは関西弁だと読みやすい 笑)」と。旬の名残も名残、この時期に残っているタケノコは全国見回しても他にはないし、本当に筍があるのか?と半信半疑ではあったが、なかなかこういう機会を得ることができないので、二つ返事で向かうことに決めた。

せっかくなので、良い体験ということもあり、弊社八百屋スタッフ2名を同行させることに決めた。ちょっとした京都日帰りの旅である。しかしGW最中ということもあり、朝から新幹線は激混み。

京都駅から乗り換え、アグリジャパンの方に車で案内されたのは、京都より西に移動した長岡京の山中一面に広がる竹やぶだった。そこではすでに、アグリジャパンのメンバーが総出で、場所にブルーシートがひかれ、テーブルが設けられ、その上に「オリジナルの筍御膳」が用意されていた。

すっかりタケノコ掘りと聞いて、軍手やら着替えやら持ってきたけれど拍子抜け、いきなり自然いっぱい、アウトドアでの「筍づくしのフルコース」を食べることになったのである。

中井会長の挨拶早々「筍の刺身」「筍煮」など、実は今年、ほとんど食べることができなかった筍を、朝採れまもなく湯がいて調理されたものを、やや旬の名残で、最盛期と比べると繊維質があるものの、甘みもあり、新鮮さを保たれた筍をいただくことができた。なによりこれだけの量を食べることは滅多にない。

また、今回この場所を提供してくださった、筍の生産者である五十棲(いそずみ)さんによる「筍掘り」の実践レクチャーも開催。弊社のスタッフも、初めて「堀(ほり)」と呼ばれる道具を使い、筍掘りに挑戦。テコの原理で掘り起こされた筍は、すでに旬が過ぎ去ったものではあるが、とても立派なものが掘り起こされた。

なにより五十棲さんが手を入れた畑の土壌は、非常に手が加えられていて、とても綺麗な畑だ。最盛期には、この一つの畑から1日200−300キロ収穫されるとのこと。毎日毎日筍が出ては収穫し、4月末から5月の頭まで続けられる。

この後5月にはすでに落葉を迎え、竹の伐採が始まり、また来年に備える。ふわふわとした土壌は稲わらが絨毯のように敷き詰められ、さらに肥料がまかれて疲れた竹畑を元気にする。こうした手間暇が美味しい筍を育てているのだ。

なかなか筍掘り自体に参加することもないのだが、長岡京の筍の存在を改めて知ることができ、非常に有意義な時間を過ごせた。特に消費地「京都」が近いこと、自然環境や水が良いことから、非常に良質な筍の産地である一方で、筍農家の後継者不足は深刻になりつつあり、かつ京都の農家の平均年齢は68歳とも言われている。(つまり、20−30代は若手ですらない状況)

いま地域の産地で起きていることは、単に販路を作ることや価値づけ、ブランディングだけではない。圧倒的に「地域づくり。人づくり。」が問題になっている。この業界、産地で生き残っていけるのか、はたまた、継承すべきものであるのか、さらに、産地を守るために僕らができることはなんなのか。一つ一つが鎖のように繋がっていて、どれ一つ過不足なく解決、検討すべき課題が山積みだ。しかし、そこで奮闘する若手生産者や商社がいることに、僕らは勇気付けられる。こうした地域のネットワークをより結びづけ、「foodnia Japan」の骨格を作っていきたい。

ちなみに、アグリジャパンさんは、「鈴かぼちゃ」の販売先としても有名です。実は気になっている商品の一つ。早速試してみようと思う。

アグリジャパン:http://e-loveland.com/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第25回

無糖、アルコール度数38%。ありそうでなかった唯一の梅酒が若狭に。

先日、「梅酒の海外販路相談」ということで、福井県は若狭(わかさ)町まで足を運んだ。

会社に入るなり、僕の目に飛び込んできたのは、この「BENICHU38°」(ベニチュー38ド)」という商品である。梅酒といえば、その甘さと飲みやすさが男女ともに人気が高いリキュールだ。ただ、この商品は、砂糖など糖類を一切使わない無糖の梅酒で、アルコール度数はなんと38%もあるのだ。

試飲させていただくと、飲み口はアルコール感が強いが、味わいには梅の酸味を感じさせ、香りもまた梅の香りが残っている。いわゆる「ドライ」な感じなので、食中酒としても十分合う。

ウィスキーや紹興酒のような深い味わい、ロックでもよし、水割りでもよし、酒好きにはもってこいのお酒だ。この訪問の直前には、香港で試飲会を開催、好評を博し、特に昨年からは中国大陸でも流通が生まれているという状況だ。

僕も意外だったのは、梅が福井の特産品であることだ。福井県の梅の生産量は全国の1~2%を占める程度に過ぎないが、日本海側としては一番の産地であり、特に福井県の梅栽培の歴史は古く、江戸時代末期に若狭町ではじまったといわれている。

栽培されている梅の二大品種は「剣先(けんさき)」と「紅映(べにさし)」。エコファームみかたの商品には、すべて「紅映」を使っているそうだ。品質は、紀州の南高梅に勝るといわれ、一時はその栽培が全国各地に広がったとのこと。しかし栽培の手間、栽培面積あたりの収穫量が少ないなどの理由から、現在その産地は、ほぼ100%福井県内に限られ、しかもその70%以上が紅映梅発祥の地である若狭町で栽培されているそうだ(★)。

商品を販売しているのは福井県若狭町にあり、梅酒や梅加工品を手がける「エコファームみかた」。甘くない梅酒は約4年前に発売し、3年前にBENICHUブランドにリニューアルしたという。むかし僕の祖母が、自宅の軒先に植えられた梅から実を収穫し、焼酎と角砂糖で漬け込み、梅酒にしていた。今回の梅酒は、「無糖」でかつ「アルコール度数が高い」こともあり、非常に興味深い。酒好きな方にはぜひオススメしたい。

(★)参考文献:渡辺 穀著「福井の梅 紅サシ」福井新聞社刊行

・エコファームみかた https://www.ecofarm.jp/

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第24回

地方を盛り上げていく人づくり。食が作り出す新たな雇用。

皆さんは、「バーチ・ディ・ダーマ(以下バーチ)」というお菓子をご存知でしょうか? イタリア語で「バーチ=キス」「ダーマ=貴婦人」⇒『貴婦人のキッス』という意味で、素敵な女性がキスをする時の口元に似ていることからこの名前が付けられたと言われている可愛いスイーツのことです。

このバーチですが、昨年G7伊勢志摩サミットにおいて、安倍総理大臣からG7各国首脳に対するおもてなしの一環として、コーヒーブレイクの機会に提供・紹介されました。

この商品を販売しているのが、1817年にイタリアのミラノで創業。約200年の歴史のなかで、著名なアーティストや音楽家など様々な人々に愛されてきたお店「COVA」です。現在、東京と名古屋にお店を構えており、イタリア好きの日本人に愛されるお店として人気を博しております。特にこのバーチはおもたせ需要も多く、生産が追いつかないという状況でした。

そんな中、昨年10月より、弊社がお手伝いさせていただいている、青森県西目屋村(にしめやむら)という青森県唯一の村との取り組みで、「村内に新たな仕事を作り、雇用や稼ぎを得る仕組みを提供する」一環として、「西目屋スイーツラボ」を立ち上げました。そのスイーツラボにて、このCOVA JAPANのバーチを製造しようという試みがスタートしたのです。

スタートは、まずは村内の製造工場の再稼働。新しいオーブンを入れ、バーチを製造する体制から整えることになりました。もともと村内にあった「味な工房」という加工場には、そば打ち場所をはじめ、様々な加工機材がはいっている施設だったのですが、そのスペックを十分に活かせる担い手がいないことから「開店休業状態」でした。

そんな遊休施設を活用し、今回再稼働につなげたのです。もちろん、新しいオーブンを使いこなせないのは重々承知なので、弊社からパティシエを一人先生として派遣。まずは「お菓子教室」という形で、村民の皆さんにオーブンやお菓子加工に必要な最低限の技術や機材の取り扱いを実践していただくようにしました。

そうするとどうでしょう。村から、おばあちゃんや、子育てママたちが集まってきました。最初は「この施設はどんな風に使われるのか?」「お菓子って本当に作れるの?」とか疑問の声が上がりましたが、やはり実際に稼働して初めて見えてくるリアリティがまさり、今度は村の若手も参加するようになりました。

そうこうするうちに、バーチ製造のめどが立ち、この2月から本格的に製造開始、実際に商品として、店頭に並ぶまでのクオリティを出すところまできました。現在、村の若手が男女2名、他の仕事の合間を見ながら参加、4月からはいよいよ個人事業主として、若手の彼らが新たな取り組みとして昇華していくことになるでしょう。

どうしても「商品開発ありき」となると「作りっぱなしで販売につながらない」とか「販路が生まれず、結果販売中止」とか「こんな製造場所があったら、ぜひ作って欲しい」といったお声がけや相談が多いなかで、私たちが一つの回答として取り組んでいる、地方での成果の一つです。僕ら自身でお店を作るのではなく、あくまでも「夢を作ろうとする人」をサポートすることに徹しております。もちろんサポートが必要でなくなれば、必要ないですから引くこともありますし、引き続き必要な場合はサポートを手厚く行います。

いま地方では「人材不足」と呼ばれておりますが、「人手不足」ではありません。なにより働き場所がないのではなく、「選択できる働き場がない」という認識です。特に食に関して言えば、食の都として日本はもてはやされておりますが、それはきちんと食材のことを理解し、調理提供できる一部のレストランに限られております。

なかなかインバウンドふくめ農家を訪ね、直接食材に触れて食べて仕入れてということは皆無ですし、そうした活動を拒む農家も多くいます。やはり、作り手は作り手、食べ手は食べ手といった役割があるように、きちんとした形で提供できる(もしくは製造できる)場が必要になります。特に、六次化において、全ての産業を1事業主で実施するのは無理があることがわかりました。確実に「規模産業」「市場主義」に陥り、多額な投資と返済に追われ、無理をして生産したり、使われて欲しくない、置きたくない市場に対しても挑まなければならない「消費の渦」に巻き込まれている事業者さんも、ここ数年多く見てきました。その多くは、補助金などで賄われる「設備への投資」です。

ハードに対しては、補助率や項目自体も手厚くサポートされますが、減価償却を経て、儲けが出るのは10数年後というパターンがほとんど。「10数年後の市場」においては、その商品や機材が必ずしも役に立っているかというのは、僕らも予測は不可能です。逆に2017年ということで考えると、2000年頃に流行っていたものが、どれだけ現在の市場に残っているでしょうか。

一方で「人口減少」は顕著です。であれば「人材不足」は、能力やスキルがある人間を積極的に地方に関わらせつつ、地方の底上げを行い、まずは「食のスタンダードを落とさない」ということを僕らはやっていきたい。スタンダードを上げることも両軸だけれども、地方の食生活を下げることは、これだけ食材がある日本において、大変な損失だと考えます。それは郷土食もしかり。いま伝えるべき次世代への食のバトンは、きちんとした連鎖のもとで繋いでいくことが、重要である。

このFoodnia Japanの視点は、そうした「次世代への食のバトン」もさることながら、この食の風景をどうやって残していくか、ということに他ならない。様々な視点がある一方で、それをどうしていくかという答えを出す方法をともに作り上げていくということがこれからの課題である。

まもなく桜も満開である。この日本の風景もまた、10年、20年、そして100年先に残すためにも、いや「残しておくべき」という議論に上げるためにも、日本の食を守らないといけない。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第23回

第一印象を大切に。

常々、僕が講演会や講義などを行うときに伝える言葉が「第一印象を大切に」という言葉です。これは「相手に見られる自分の見た目」ではなく、「自分が見た素直な目」のことです。置き換えるとしたら「直感」ですね。

僕が報道カメラマンだったとき、何より大切にしたのがこの直感でした。現場には、カメラマンは、他社はいても、同じ会社のカメラマンは余程の大きな事件でないと存在しません(もちろん大きな事件の場合は、役割が変わります)。

なので、その場で「何を感じ、何を見て、何を撮影するか」を瞬時に判断し、それをお茶の間のテレビで放送するという仕事は、そうした「冷静に判断し、直感を研ぎ澄ます」感覚が鍛えられます。もちろんそれはすぐにできるものではなく、何年も何十年も培ってこそできる技だと思います。

だからベテランカメラマンのカット(撮影の絵柄のことですね)は、新しくも、「これってどうやって撮影したのかな?」と明らかに僕が撮影したものと異なっていました。それが画面では全くわからなかったので、テープを借りては、わざわざカメラで再生し、ファインダーでみながら、自分の目を養ったものです。

一方で、皆さんの日常でもこの「直感」が研ぎ澄まされる瞬間はありませんか? それは「初めて見るもの」「初めて感じるもの」だと思います。

特に海外旅行でそうした経験をすることが多いのではないでしょうか。空港に降り立った瞬間、売店で水を買う瞬間、タクシーに乗る瞬間、スーパーマーケットに入った瞬間、レストランに入った瞬間。全てが新しいものだらけで、かつそこにはなぜか「熱」が入りやすいと思います。

熱が入ったものは「伝わりやすい」ですよね、どんなものでも。だから、SNSでも、自分とは違う世界、見たことのないものにはみなさん反応しやすいし、なにより、撮影している本人が「これアップしちゃおう」って思うくらい盛り上がっているはずです。僕はこんな瞬間を報道カメラマンのときに体験しました。

ただときにそれが、ルーティンになるときがあるのです。「これは受けるだろう」「これは見たことがないだろう」。そこに落とし穴があります。大事な情報が抜け落ちて、見る人の共感もさることながら、伝えなければならないことを見失いがちです。

今回の写真たちは、そんな日々の中で、僕が何気なく撮影した「食」の写真たちです。人が写っているものもあれば、「え?こんなのものあり?」という驚きまで。これはトレーニングでも、仕事でもありません(笑い)。僕はそういう癖になっている。。これが、地方での仕事や、今の食の仕事に役立っているといっても過言ではありません。

その視点(まさに視ると書きます)が、他の食関係の仕事の方とは異なる視点なのかもしれません。驚くほどの企画力やや調理技術があるわけではありません。この視点こそが、いま食の仕事に必要だと思っています。食の仕事は、僕らが生きている中では、決してなくならないものであり、もっともっと深掘りできるものです。これからさらに時代が進み、技術が進みます。だからこそ食の仕事は魅力的だと思っています。

Foodnia Japan、さらに「第一印象を大切に」、進んで行きたいと思います。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第22回

本物のチョコレートを手に入れやすい価格で。究極のチョコレート作り。

先日、お世話になっているフレンチシェフ、「エディションコウジシモムラ」の下村シェフに誘われて、お菓子メーカーのmeiji(明治)さんにお邪魔してきました。

今回は、現在コンビニなどで発売されている「THE Chocolate(以下THE)」の開発チームのメンバーのお話を聞く特別な会に参加してきました。

Meijiさんといえば「ミルクチョコレート」を筆頭に、「アーモンド&マカダミア」「きのこの山」があまりにも有名で、どなたも一口でも食べた経験があると思います。今回勉強会で出された、この「THE」という商品は、まさに、meijiが総力をあげて作り上げた究極のチョコレートなんです。

カカオの産地から厳選を重ね、一枚のチョコレートに。最近「Bean to Bar」と呼ばれ、実店舗にてカカオ豆を焙煎、砕き、チョコレートをその場で作り上げる場面が増えておりますが、それを一般商材でなんと、90年前からやりきっているところがすごい。その味わいはもとより、香りや色艶、舌触り、どれをとってもこれまでのミルクチョコレートや市販のチョコレートとは格段に違うものでした。

またこだわりは、そうした素材だけではなく、チョコの形状を「スティック型」「ドーム型」「ギザギザ型」などを1枚の板チョコで表現されており、それぞれで味わいや舌触りに変化させるなど、細かいこだわりを感じました。

こうした取り組みは産地があってこそ。より良質なカカオ豆を手に入れるために、原産国にこだわり、そして継続的に良いカカオを手に入れるために、現地農園の改善や、意識改革を行なっているとのこと。現在「メイジ・カカオ・サポート」(http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/mcs/)を現在6カ国で実践されているそうです。自分も原産国に行きたくなりました!

今回の勉強会では、なんと実際にカカオ豆を焙煎し、その場でチョコレートをつくるという体験も行われました。砂糖を入れずに、作られたチョコレートは苦味と酸味が、豆の性質や状態によって、全く違うことを感じることができます。

そして最後に、世界的に非常に希少と呼ばれている「ホワイトカカオ」を使った「明治 ザ・チョコレート メキシコホワイトカカオ」をいただきました!

http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/whitecacao/

これは2017年2月2日(木)~5日(日)に東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内)にて開催されるチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ東京 2017」において数量限定にて発売されたものです。しかも特別に「ホワイトカカオ」の生のものを試食させていただきました。「カカオはフルーツである」とはよく言ったものです。この味わいは、ぜひ一般でも販売してほしいなー。

カカオがチョコレートを面白くする。いま商品の差別化を図る際に、最も手っ取り早いのが、なんといっても「素材」です。この素材をいかに手に入れるかということを、大企業から小さな個人事業主まで、世界中、様々な人がチャレンジしています。コーヒーしかり、カカオしかり。とはいえ、この「消費」自体をどう捉えるかというのが大事だと思います。単に食べるだけではなく生産者も含めて繋いでいく。そして、その産地の良いものを、美味しいものに仕上げるのがパティシエや料理人、そして開発者のような「クリエイター」の存在が必要です。よくBtoBやBtoCと言われますが、僕は「AtoC」、つまり「Agriculture to Creator」、産地からクリエイターにどうやって「食物連鎖」をつなげていくのかが、新しい食品開発のキーワードだと考えます。

次はどんな産地とクリエイターと繋いでいくか。楽しみです。

Editon Kouji Shimomura: http://www.koji-shimomura.jp/

100&ChocolateCafe.: http://www.meiji.co.jp/sweets/choco-cafe/

明治ザ・チョコレート:http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第21回

われ、饅頭に未来を思う。神楽坂「マンヂウカフェ」にて。

日本三大饅頭のご縁から、岡山県にあります大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」の大岸さんと、饅頭談義をしばしばさせていただいております。

実は、大手まんぢゅうさんも、今年の1月で180周年を迎えました。「おまんじゅう」という日本ならではの和菓子、もっというと、大陸、中国から「万頭」という形で伝わったものが、小豆を使ったお菓子に変化したのは日本でかれこれ600年前に生まれたとも言われています。(これは日本三大饅頭の「志ほせ饅頭」さんがその祖とも言われています)

そんなお饅頭も、100年、200年と受け継がれてきている一方で、この先100年、200年と受け継がれるかというのは、正直私たちもわかりません。

和菓子という日本独自のスイーツをどうやって次世代に繋いでいくか。そんなことを僕たち食に関わる人間、さらにお饅頭を扱っている企業さんにとっては重要な課題です。

そうした中、大岸さんと、「このカフェに行ってみませんか?」と足を運んだのが、弊社の地元神楽坂にある「ムギマル2 マンヂウカフェ」です。

建物は古く、2階にあがると、ところどころ隙間風が吹き、ちょうど伺った日は、雪が降るのでは?というくらい寒い日でしたが、若い女性で満席。風情というよりは、「面白がってきている」という印象です。

そこで出されるのは、ここの名物「マンヂウ」です。オーダーが入ってから作られる手作り饅頭は、一階のキッチンで、蒸されて作られます。僕らがオーダーしたのは、「よもぎ地にウグイスあん」「白地につぶあん」など。ほかほか出来立て、湯気が出ている饅頭が出てくるまで10分。コーヒーをいただきながら、不思議な食体験でした。

飲食店を出店する際に、「企画」は非常に大事です。

企画は立地条件をときにこえ、山奥や、路地裏など一見目につかないところに人を呼び寄せる力があります。企画は「流行」になりやすい一方で、「持続性」という部分では、それ相応のパワーが必要です。つまり「人」です。誰が作っていて、どんなものが提供されるか。

このマンヂウカフェは「企画モノ」と簡単に片付けるのは難しく、マンヂウを作る、初老の女性がまたいい雰囲気で、あたかもものすごく昔からあるような風情があります。また土地柄、コーヒーチェーンではなく、こだわりの喫茶店に行きたい、というお客さんも多いです。内装などもよく見ると、なかなかこだわりがあるなかで、とても自然な風合いになっています。

そこで食べる饅頭は、明らかに、これまでの和菓子体験とは異なります。これが正解ということはないのですが、20**年にフィットする饅頭の提供のあり方として「アリ」なのではと思います。これから和菓子や、アンコ、そしてまんじゅうと、視点の切り方、提案の仕方で随分変わるのだと思います。

逆にいまその流れに沿って、伝統を継続されている和菓子屋さんは、そうした努力や「変化」をしてこられているのではないでしょうか。饅頭で「流行」を作るのは、今の流行りにくっつけば簡単かもしれません。とはいえ、それが100年、200年と継続させるのは、同じところにとどまることはできない。どちらかというと「変化」を自らしていく強さが必要になるではないでしょうか。

以前、ラーメンチェーンの「一風堂」の会長である河原成美さんがおっしゃっていた言葉を思い出しました。「変わらないために、変わり続ける」。一商品、一企業が変わらずにこの時代に残っていくためには、変わり続けないといけない。そんなことを、大手饅頭大岸さんとお饅頭を食べながらふと思うのである。

マンヂウカフェ ムギマル2 http://www.mugimaru2.com/

大手まんぢゅう:http://www.ohtemanjyu.co.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第20回

最高の食材は地方にある。耕すシェフが作る「A級グルメ」のまち、島根県邑南町の挑戦。

以前お伝えした島根県浜田市弥栄地区の「奥島根弥栄」の定例会議に出席後、タイミングが合って、友人である佐藤さんのお店、「里山イタリアン AJIKURA( あじくら)」に行くことができました。場所は島根県邑智郡邑南町(おうなんちょう)。弥栄から車で1時間の距離、島根県西部、石見地方に位置し、中国山地の豊かな自然に囲まれています。

ここ邑南町は、「耕すシェフ」と題して、都市在住の農林業や食に関心のある人間が邑南町に移住・定住し、 オーガニックの野菜づくりやバラエティに富む食材生産から加工、販売、さらには飲食店の調理・運営スキルの研修のコーディネートなど食材の供給から、調理・加工までを一貫して、ひとつの新しいビジネスとして創出できる人材を育成しているユニークなまちでもあります。

そんな邑南町のイタリアンレストランを経営している佐藤聡さんは、それまで東京の有名なイタリアンのチーフマネージャーをしていました。当初は東京で独立開業を目指されていたのですが、たまたま佐藤さんが働いていたそのお店に食事来られた邑南町の職員の寺本さん(先日NHKプロフェッショナルで紹介された方です!)が、町のイタリアンレストランを立て直したい、ということで紹介したこの邑南町のお店を、一念発起、平成27年春に町から引き継ぎ、現在ご自身で耕すシェフを引き受ける研修先として、独立開業を果たしました。古い蔵を活用した「里山イタリアン AJIKURA」が新たに産声をあげたのです。彼はもともと埼玉出身。まさにIターンでここ邑南町に来られたのです。

今回は、5500円のコースをいただきましたが、邑南町の採れたての野菜や地元のブランド食材「石見和牛」や「石見ポーク」をふんだんに使ったメニューとなっており、この地域のお店としては、非常にレベルが高いと思う。特に「ホンモロコ」という淡水魚を使ったパスタは、こうした地域でしか味わえない組み合わせと提案である。単なるイタリアンでもなく、「A級グルメの町 邑南町」ならではのイタリアンになっているのだ。もちろんこうしたチャレンジする姿勢や取り組みが素晴らしいと思う。

もちろん邑南町までお客さんを引っ張ってくるには、並大抵の努力ではない。地方のレストランビジネスとしてやっていくには、苦労も絶えないと僕は感じている。その中で佐藤さんは、昨年広島に新しいお店を出している。「海と里山のパスタ&ドルチェ  AJIKURA by アル・ケッチァーノ」だ。こちらはパスタ専門店だが、邑南町まで足を運べないお客様が邑南町の食材や地域ブランド食材を食べていただこうという狙いの元、出店している。こちらは土日になると行列ができるくらいの人気だ。うまく都市と里山をつなぐハブとして機能している。今後、地方出店において、「地域にフラッグシップレストラン、都会にアンテナレストラン」といった、従来のフランチャイズやレストランの考え方と逆のやり方がうまれてくるだろうと予測される。

そうした地方のレストランビジネスを応援する仕組み、そしてその食材や地域ブランド食材が都会で購入できたり、食べられたりする場所を作るといったプロジェクトが生まれていくのが必然だ。Foodnia Japanとしてもそうした動きを応援し、積極的に関わっていきたいと思う。

とにもかくにも、まずその地域に足を運ばないと始まらない。これから暖かくなる季節。この里山イタリアンAJIKURAにぜひ足を運んで欲しい。佐藤さんが、最高の食材とサービスでお待ちしています。

里山イタリアン AJIKURAhttp://si-ajikura.com/index.html

耕すシェフhttp://www.ohnan-kanko.com/jinzai/tagayasu.html

海と里山のパスタ&ドルチェ by アル・ケッチァーノhttp://ajikura-hiroshima.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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