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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第40回

[シンプルという言葉の意味を考えてみる。]

シンプル、と言われると、僕の意味合いとしては「潔い」という言葉が当てはまる。奇を衒わずに、伝えたいことがはっきりしていること。見た目が、特に食べ物においては、「期待と同等」ということが何よりも条件だ。どんなに綺麗に整ったものでも、美味しくなければ価値は下がる。一方で、見た目はさほどでも、こんなに美味しいものが世の中にあるなんて!というモッタイナイことだって、まだまだある。

このブログでも紹介してきた離島シリーズ。KDDIさん、そしてNPO法人離島経済新聞社さんとともに、日本各地の離島の産品にスポットを当て、最終的に購入につながる販売促進のコツとプラットフォームの提供を実施している企画ですが、3島目の今回は東京都伊豆大島、大島町に相成りました。浜松町駅から海側へいくと、竹芝桟橋ターミナルがあり、そこからジェット船にのり90分弱。大島は心理的、物理的距離含め今までの離島シリーズよりは断然近い。しかし、そこは太平洋に浮かぶ島だけあって、この冬の時期は西風も強く、船の欠航率が高い。またクジラやイルカの生息地ということもあって、結構な頻度で、このジェット船とぶつかる(というより乗り上げるようだ)確率もある。

一方、東京から飛行機もある。プロペラ機ではあるが、こちらは風にはめっぽう強い。毎日3往復飛んでいるが、空港が調布の奥、、、便利なのか不便なのか。悩ましいところである。そんな大島町との取り組みは年明けも続いていくのだが、大島町といえば、「椿」である。国産の椿は、この伊豆大島と、五島列島が唯一だ。今、事業者含め、この椿商品たちをどうやって見せていくかを検討中。乞うご期待。

さて、今日ご紹介するのは、「べっこう寿司」だ。

ちょうど記者会見と講義があった日にお昼に皆に配られたのがこのお寿司。「島島寿司」と名付けられたこのお寿司は、外観は洒落た「縞模様」、船をイメージしたこのパッケージがまた可愛らしい。

伊豆諸島の家庭料理として長く愛されてきた「べっこうずし」は、もともとは温暖な島で生魚を美味しく保つための知恵から生まれたもの。島とうがらしと醤油で魚を漬け込み、刺身が鮮やかな「鼈甲(べっこう)色」に染まることからこの名前はつけられたそうです。今日のお魚は白身の「目鯛」。コクのある醤油と、梅ゴマの酢飯で、表面にはオリーブオイル、極め付けは、明日葉をあしらうなど、まさに伊豆大島を象徴している商品だ。

そんなべっこう寿司が、可愛らしい小舟のようなパッケージに収められ、これまた伊豆大島の自然塩と青じそで煮た「塩こんにゃく」と「ガリ(レモン生姜でしょうか)」が添えられていた。とてもコンパクトに収められ、日持ちは難しいけれど、とても「島らしい商品」だなと改めて思いました。

離島は本土と離れていて、どうしても「物流」「輸送」「賞味期限」を問われてしまいます。特に物販だけではなく、ECですと、お届け先によっては、5−6日かかる場合もある。そうなると、どうしても自分たちの技術や思いだけでは届けられない島ものができてきます。そのなかで「シンプルに立ち返る」ということが大切ではないかと思うのです。もちろん島のものを、より多くのお客様に味わってもらい、ビジネスにつなげるのが食に関しては当然なことではありますが、そのために特徴を無くしてしまっては意味がありません。僕が「潔い」という言葉を「シンプル」であると言い得るように、この島島弁当には、ある種「潔さ」を感じます。聞くところによると、この島島弁当をこしらえている寿司屋さんは竹芝桟橋ターミナルに出店されていると聞きました。まさに、シンプルで、島ならではだなと思うのです。

離島は正直遠いです。けれど、離れているからこそ、未開の地で、それこそ自然に生かされた食材が本当に多い。食にまつわる生態的にも非常に面白いと思っています。その食材を、新鮮なままでお届けするのではなく、知恵を持って生かす、ということが大事になるのではないでしょうか。写真は東京で唯一牛乳を作っている「大島牛乳」さんの見学の様子。バターやアイスクリームも絶品。新しいプロジェクトを仕掛けたいと思っています!

●竹芝桟橋ターミナルにある『鼈甲鮨 BEKKOUZUSHI』

http://www.bekkouzushi.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp