和食STYLE

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第31回

日本最北端の島、利尻島の至宝「エゾバフンウニ」に出会う。

少し前の話になるが、北海道は最北端の島、利尻(りしり)島に行ってきた。昨年、喜界島で行われたKDDI社主催の「しまものラボ」第2弾で、今回のエリアが北海道。その中でも最北端の利尻島(となりに礼文島もあります)が選ばれました。

利尻島の食、といえば、何と言っても「利尻昆布」と「エゾバフンウニ」です。利尻島で食するバフンウニの大半はミョウバンを使用せず、塩水に浮かべ保存しているのが特徴です。ミョウバンを使用するとせっかくのウニも変な磯臭さが残り、味が落ちてしまうからです。5月の出張の際には、さすがに生のウニには出会うことがなかったのですが、8月の出張では、どうやらありつけそうです!(本当であれば、ウニ自体は、7月の今が旬・・。)

ただ、ウニ自体が高騰しており、昨年ベースはキロ数万円(!)というから驚きの金額、つまり、「ウニ丼」一杯数千円(!!)という代物になるそうです。

この利尻のバフンウニがうまい理由が、ウニが食べている「利尻昆布」だそうです。ウニは雑食なので何でも食べますが、食べる餌によってウニ自体の味も変わってきます。リマン海流と対馬暖流、2つの大きな海流の恩恵を受け、この海域は栄養分が豊富。また、利尻山などからの雪解け水が川へと注ぎ、山の養分を海へと運ぶため、利尻昆布が茂る豊かな海をつくっています。その昆布を食べているウニだからこそ、最高級のウニが育つ!!自然が作り上げる営みが、私たちの食卓を豊かなものにしている、と改めて感じます。

しかし、そのウニも需要があるからといってたくさん採ると、さすがに枯渇します。そこで利尻では、ウニ種苗生産センターなるものを作り、ウニを育てて海に放流する「養殖」をしています。ウニセンターは1980年(昭和55年)に始まっていますが、昭和から平成になり、海藻をたくさん採りすぎたせいで、ウニのかくれる場所がなくなり、さらにウニを採りすぎてしまったので、ウニが少なくなりました。そこでもっと放流する量を増やすために、1994年(平成6年)に今のウニセンターができました。放流する量は、昔のウニセンターに比べて約5倍になり、今年は400万個放流しました。しかし、簡単には増えないそうです。(一部引用★)

ウニ自体を、数年かけて大きく育て、そこから海に戻すということをしています。ちょうどウニセンターにお邪魔させていただきましたが、稚貝が本当にかわいい・・。たくさんのウニたちが、いずれ海に還る。こうして大事に育てられています。自然との共存と言われますが、私たちの食についても同様です。一部の乱獲や大量生産が、自然界に限らず、私たちの食生活のバランスも大きく崩すことになります。たとえばウニのような高級食品でも、バランスを保てように、この小さな島で、奮闘している姿をみると、改めて「食のスタンダード」とは何か、ということに気付かされます。

少しでも多くの人に利尻のウニを食べてもらいたい。このウニを大事におすそ分けするような感覚で、それこそ「少しでも多くの人」に味わってもらいたいと思うのです。

しかし、利尻のホタテもうまい!!!うまいものには理由がある。。日本は広い!

 

★引用/出典:うみやまかわ新聞—利尻島のウニについて

http://umiyamakawashinbun.net/post/109560841241/%E5%88%A9%E5%B0%BB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E3%82%A6%E3%83%8B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

 

松田龍太郎

松田龍太郎

2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を設立。主に食にまつわる事業開発・店舗開発では、これまで50店舗以上を手掛け、一方企画・プロデュースの分野では、元テレビ局カメラマンとして、食に限らずメディア、PRコンテンツの発信、企画展開を得意としている。2020年4月より「奈良蔦屋書店」2階に「ブラッスリーアンド カフェ ウグイス」として新たなポップアップレストランを、そして同じく同月、青森県弘前市に開館予定「弘前れんが倉庫美術館」に付帯するカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」を、それぞれ立ち上げ、運営・事業を作り上げている。
http://www.oiseau.co.jp