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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第23回

第一印象を大切に。

常々、僕が講演会や講義などを行うときに伝える言葉が「第一印象を大切に」という言葉です。これは「相手に見られる自分の見た目」ではなく、「自分が見た素直な目」のことです。置き換えるとしたら「直感」ですね。

僕が報道カメラマンだったとき、何より大切にしたのがこの直感でした。現場には、カメラマンは、他社はいても、同じ会社のカメラマンは余程の大きな事件でないと存在しません(もちろん大きな事件の場合は、役割が変わります)。

なので、その場で「何を感じ、何を見て、何を撮影するか」を瞬時に判断し、それをお茶の間のテレビで放送するという仕事は、そうした「冷静に判断し、直感を研ぎ澄ます」感覚が鍛えられます。もちろんそれはすぐにできるものではなく、何年も何十年も培ってこそできる技だと思います。

だからベテランカメラマンのカット(撮影の絵柄のことですね)は、新しくも、「これってどうやって撮影したのかな?」と明らかに僕が撮影したものと異なっていました。それが画面では全くわからなかったので、テープを借りては、わざわざカメラで再生し、ファインダーでみながら、自分の目を養ったものです。

一方で、皆さんの日常でもこの「直感」が研ぎ澄まされる瞬間はありませんか? それは「初めて見るもの」「初めて感じるもの」だと思います。

特に海外旅行でそうした経験をすることが多いのではないでしょうか。空港に降り立った瞬間、売店で水を買う瞬間、タクシーに乗る瞬間、スーパーマーケットに入った瞬間、レストランに入った瞬間。全てが新しいものだらけで、かつそこにはなぜか「熱」が入りやすいと思います。

熱が入ったものは「伝わりやすい」ですよね、どんなものでも。だから、SNSでも、自分とは違う世界、見たことのないものにはみなさん反応しやすいし、なにより、撮影している本人が「これアップしちゃおう」って思うくらい盛り上がっているはずです。僕はこんな瞬間を報道カメラマンのときに体験しました。

ただときにそれが、ルーティンになるときがあるのです。「これは受けるだろう」「これは見たことがないだろう」。そこに落とし穴があります。大事な情報が抜け落ちて、見る人の共感もさることながら、伝えなければならないことを見失いがちです。

今回の写真たちは、そんな日々の中で、僕が何気なく撮影した「食」の写真たちです。人が写っているものもあれば、「え?こんなのものあり?」という驚きまで。これはトレーニングでも、仕事でもありません(笑い)。僕はそういう癖になっている。。これが、地方での仕事や、今の食の仕事に役立っているといっても過言ではありません。

その視点(まさに視ると書きます)が、他の食関係の仕事の方とは異なる視点なのかもしれません。驚くほどの企画力やや調理技術があるわけではありません。この視点こそが、いま食の仕事に必要だと思っています。食の仕事は、僕らが生きている中では、決してなくならないものであり、もっともっと深掘りできるものです。これからさらに時代が進み、技術が進みます。だからこそ食の仕事は魅力的だと思っています。

Foodnia Japan、さらに「第一印象を大切に」、進んで行きたいと思います。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp