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食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第20回

最高の食材は地方にある。耕すシェフが作る「A級グルメ」のまち、島根県邑南町の挑戦。

以前お伝えした島根県浜田市弥栄地区の「奥島根弥栄」の定例会議に出席後、タイミングが合って、友人である佐藤さんのお店、「里山イタリアン AJIKURA( あじくら)」に行くことができました。場所は島根県邑智郡邑南町(おうなんちょう)。弥栄から車で1時間の距離、島根県西部、石見地方に位置し、中国山地の豊かな自然に囲まれています。

ここ邑南町は、「耕すシェフ」と題して、都市在住の農林業や食に関心のある人間が邑南町に移住・定住し、 オーガニックの野菜づくりやバラエティに富む食材生産から加工、販売、さらには飲食店の調理・運営スキルの研修のコーディネートなど食材の供給から、調理・加工までを一貫して、ひとつの新しいビジネスとして創出できる人材を育成しているユニークなまちでもあります。

そんな邑南町のイタリアンレストランを経営している佐藤聡さんは、それまで東京の有名なイタリアンのチーフマネージャーをしていました。当初は東京で独立開業を目指されていたのですが、たまたま佐藤さんが働いていたそのお店に食事来られた邑南町の職員の寺本さん(先日NHKプロフェッショナルで紹介された方です!)が、町のイタリアンレストランを立て直したい、ということで紹介したこの邑南町のお店を、一念発起、平成27年春に町から引き継ぎ、現在ご自身で耕すシェフを引き受ける研修先として、独立開業を果たしました。古い蔵を活用した「里山イタリアン AJIKURA」が新たに産声をあげたのです。彼はもともと埼玉出身。まさにIターンでここ邑南町に来られたのです。

今回は、5500円のコースをいただきましたが、邑南町の採れたての野菜や地元のブランド食材「石見和牛」や「石見ポーク」をふんだんに使ったメニューとなっており、この地域のお店としては、非常にレベルが高いと思う。特に「ホンモロコ」という淡水魚を使ったパスタは、こうした地域でしか味わえない組み合わせと提案である。単なるイタリアンでもなく、「A級グルメの町 邑南町」ならではのイタリアンになっているのだ。もちろんこうしたチャレンジする姿勢や取り組みが素晴らしいと思う。

もちろん邑南町までお客さんを引っ張ってくるには、並大抵の努力ではない。地方のレストランビジネスとしてやっていくには、苦労も絶えないと僕は感じている。その中で佐藤さんは、昨年広島に新しいお店を出している。「海と里山のパスタ&ドルチェ  AJIKURA by アル・ケッチァーノ」だ。こちらはパスタ専門店だが、邑南町まで足を運べないお客様が邑南町の食材や地域ブランド食材を食べていただこうという狙いの元、出店している。こちらは土日になると行列ができるくらいの人気だ。うまく都市と里山をつなぐハブとして機能している。今後、地方出店において、「地域にフラッグシップレストラン、都会にアンテナレストラン」といった、従来のフランチャイズやレストランの考え方と逆のやり方がうまれてくるだろうと予測される。

そうした地方のレストランビジネスを応援する仕組み、そしてその食材や地域ブランド食材が都会で購入できたり、食べられたりする場所を作るといったプロジェクトが生まれていくのが必然だ。Foodnia Japanとしてもそうした動きを応援し、積極的に関わっていきたいと思う。

とにもかくにも、まずその地域に足を運ばないと始まらない。これから暖かくなる季節。この里山イタリアンAJIKURAにぜひ足を運んで欲しい。佐藤さんが、最高の食材とサービスでお待ちしています。

里山イタリアン AJIKURAhttp://si-ajikura.com/index.html

耕すシェフhttp://www.ohnan-kanko.com/jinzai/tagayasu.html

海と里山のパスタ&ドルチェ by アル・ケッチァーノhttp://ajikura-hiroshima.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp