和食STYLE

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第17回

創業300年。割子そば「粉名屋 小太郎」。

珍しく今年の日本は、日本海側を中心に、大雪に見舞われている。

先日訪れた山形では、駅のホームに雪片付け用のダンプが。ダイヤも乱れがちで、できるだけ余裕を持った移動を、冬場、特に北国を訪問するときには気をつけなければならない。(一方東京は本当に快晴の毎日だが)

そんな山形で訪問した蕎麦屋がまた秀逸。創業300年「粉名屋 小太郎」だ。

「ここにきたら、必ず食べなければならないものがあるんですよ」と、いつも山形を案内してくるK氏は、めっぽう、世話好きで、必ず僕が山形を訪れると、いろんなところに連れて行ってくれる。

「もうオーダー済んでいますからね」と言われて、出てきたのが「割子そば」だ。重で重ねられていて、それぞれに楽しみながら食べるのか?と思いながら、ふとメモ書きに目が進む。

「おそばの上に薬味をのせ、その上から そばつゆをしめす程度かけ、一段づつお召し上がりください。千代口は、そば湯を飲むときに用います」

一段ずつ、そばと薬味をテンポよく、それでいて一つ一つが際立ち、面白い。あっという間に食べられる。ざるそばやそば会席にはない、「提案型のざるそば=割子そば」だ。

割子そば自体は、島根県出雲地方の郷土食としても有名だが、この重箱で積み重なった割子の楽しさを「薬味」で演出するところは、粉名屋小太郎さんの持ち味かもしれない。

「こんな青空久しぶりです、松田さん、いい日に来ましたね」とK氏も僕の割子そばの満足度具合にご満悦だ。

K氏の提案、また楽しみだ。

粉名屋 小太郎:http://www.konaya-kotaro.com/

松田龍太郎

松田龍太郎

2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を設立。主に食にまつわる事業開発・店舗開発では、これまで50店舗以上を手掛け、一方企画・プロデュースの分野では、元テレビ局カメラマンとして、食に限らずメディア、PRコンテンツの発信、企画展開を得意としている。2020年4月より「奈良蔦屋書店」2階に「ブラッスリーアンド カフェ ウグイス」として新たなポップアップレストランを、そして同じく同月、青森県弘前市に開館予定「弘前れんが倉庫美術館」に付帯するカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」を、それぞれ立ち上げ、運営・事業を作り上げている。
http://www.oiseau.co.jp