和食STYLE

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第8回

ミニ庄内柿×ミニャルディーズ 小さい秋、見つけました。

「小さい秋、小さい秋、小さい秋みーつけた・・」という童謡を歌うかの様に、小さい秋を見つけました。

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それがこの「庄内柿」のミニです。手のひらに4個も乗るくらい小さい。

こんなミニ庄内柿を扱っているのが、山形が産んだ「柿オタク」金三郎18代目、五十嵐大輔さんだ。
まさに柿のために生まれてきたんじゃないかと思えるくらいの柿オタク。柿について語らせたら、2時間でも3時間でもずっと話をしている。

そもそも柿自体は、幾千もの種類があり、だれが親で子なのかということも分かり難いくらい。一般的なものとして「富有柿」「平核無柿」がある。
また柿は、日本原産の果物で、「KAKI(カキ)」の名前で世界に流通している。なにより栄養価が高く、他の果物には少ないビタミンAや、みかんの2倍と言われているビタミンCも豊富。ただ、「渋柿」と評されるほど、渋みも多く、この渋を抜いて食べるのがポイントだ。

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そんな五十嵐さんがこのミニ庄内柿と出会ったきっかけは、まさに「偶然の産物」。

主に、商売用に柿を生産している五十嵐さんは、柿の木を増やすために、「接木」と呼ばれる方法を取っている。その「突然変異」で生まれたのがこのミニ庄内柿だ。

普段の柿であれば、摘果(わざと果実を間引く手法)して、調整するのだが、このミニ庄内柿は、まさに鈴なりにたくさん育てる。そして丹念に渋を、ヘタに焼酎をつけて変化させることで、あの甘い柿に転化させるのだ。(どうやら「渋を抜く」という表現は異なるらしい)

そんな「ミニ庄内柿」に興味を持ってくれたのが、これまた「一粒のお菓子」で、2016年スイーツ業界に旋風を起こした「UNGRAIN(アングラン)」の若きシェフ、金井史章(かないふみゆき)だ。「ミニャルディーズ」という一つまみサイズのお菓子を展開しており、お土産、お持たせで大変人気のパティスリーである。

http://www.ungrain.tokyo/

そのUNGRAIN(アングラン)が月に3日だけ実施する「シェフズテーブル」という催しで、これまた金井シェフの右腕、スーシェフの昆布氏(こんぶさん、というのはこれまた珍しいが)が、ミニ庄内柿を、これまた凝縮されたお菓子の世界に封じ込めた。

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砂糖を一切使わず、少しのコアントローというリキュールと、真空冷凍したミニ庄内柿を、解凍してソースにしたものに、さらにオレンジ果汁とオレンジの果皮に一晩マリネした柿をいれたものを合わせたスイーツにした。

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※左から金井シェフ、五十嵐さん、昆布スーシェフ

残念ながら、このシェフズテーブルが人気すぎて、予約叶わず食べることができなかったが、ちょうど東京に訪れていた五十嵐さんと、金井シェフ、昆布スーシェフを引き合わせることができた。

ぼくの仕事は、日本全国津々浦々見てきたものを、さらに付加価値をつけて世に送る、料理人やパティシエの存在を大事にしていくことである。食に関わる仕事は本当に多い。ぼくがやっていることは微々たることかもしれない。けれど、小さな商いほど、飽きないし、継続ができる。それを少しでも多く活動を広げたり、回したりすることで成り立つものが生まれる。

そうした「小さな商い」がいま、食周辺で必要な活動である。作ることも大切だが、まず食べること。そしてそれをつなげて、やがていろんな人に食べてもらうこと。

そうした「食物連鎖」を生み出すのがFoodnia Japanだ。

松田龍太郎

松田龍太郎

2010年より株式会社oiseau(オアゾ)を設立。主に食にまつわる事業開発・店舗開発では、これまで50店舗以上を手掛け、一方企画・プロデュースの分野では、元テレビ局カメラマンとして、食に限らずメディア、PRコンテンツの発信、企画展開を得意としている。2020年4月より「奈良蔦屋書店」2階に「ブラッスリーアンド カフェ ウグイス」として新たなポップアップレストランを、そして同じく同月、青森県弘前市に開館予定「弘前れんが倉庫美術館」に付帯するカフェ「CAFE & RESTAURANT BRICK」を、それぞれ立ち上げ、運営・事業を作り上げている。
http://www.oiseau.co.jp