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光文社厳選!和食情報ナビ

食の国日本〝食〟プロデューサー 松田龍太郎ブログ

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第42回

[人と食の接点を、よりよくすること]

早いもので2018年1月も、もう終わろうとしています。

ずいぶん前のことのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、みなさまは今年どんな予定で年を越しましたか?

私はというと、本当に「何もない」年末年始で、妻と子ども、そして妻の姉妹とまた子どもたちと一緒に昨年と同じ栃木県にて年を越しました。

さて、今回私が掲げる大きなポイントとしては、今回のテーマでもある「人と食の接点を、よりよくすること」です。

これまで、私たちは「食のスタンダードをあげていく」ことをテーマに、食品メーカーさんのプロモーションや商品開発に紐づいた販促活動を主に実践してまいりました。そうした中で私たちが気づくこととして、「朝も昼も夜も、この商品、この場所にたどりつくお客様の性質は異なる。けれども、商品には『ターゲット』があり、実は紐づけられていないのでは?」と思うことが多くなりました。

2001年から、もはや18年。

当時の販促活動と今実施すべき販促活動は大きく異なります。SNSを活用しながらも、人口減少に押され、「人材募集」を謳う会社も多いという現象が見え始めています。

そのような中、朝起きて(例えば7時)夜寝るまで(例えば24時)、商品のある「場所(コンビニ、冷蔵庫、レストランなど)」、この商品に「いつどこで出合えるのか?」というセレンディピティを考えていく時間がとても大事だと思うようになりました。

その出合う場所や売り場を私たちがより良くすることによって、お客さんが「ホッとする」「嬉しくなる」「健康になる」というタイミングに出合うのであれば、農家や食品メーカー、スーパーなど、これまで単にお仕事として考えていたお客様とまったく違った方向で、お仕事ができるのではと思い始めています。

そういう中で、私たちは、この会社名である「株式会社oiseau(オアゾ/英語小文字です!)」を変更させて、新たなステップに踏み出そうと思っています。

まもなく会社名、発表間近です。是非楽しみにしていてください。

さて今回は珍しく「写真ゼロ」です(笑)

引き続きよろしくお願いいたします。

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第41回

[おともあってのご飯です。]

「今日夕飯何食べる?」と聞かれて、

「お米食べようか?」という会話はほとんどない。

「おかずなににしようか?」と聞かれて、

「お米にしようか」ということもない。

お米にいわゆるマーケティングやプロモーションをかけていこうとしたとき、事業者自体が、生産者でない場合は、そのお米の良さを最大限に伝えていかなければならないのだが、お米屋ではないその人たちにとっては、結構難題であることがわかる。そう、つまりお米メインの直接的な伝え方ではなく、実は伏流のような、「お米を生かしていく」方法論が必要になる。そう、僕からすると、印籠を出さない水戸黄門は「だれ、この爺さん・・?!」という考え方だ。

少し極論めいたことを書いているが、日本全国のお米のプロモーションをみていくと「伏流」の筋ではなく、本流筋で「ど直球」ばかり。

そこで、僕らは「伝わり方」を考えてみることにした。お米は食べているけれども、主食というよりは、なにか「副食」のような存在にもなりうるお米、という捉え方だ。

「おともあっての、お米です。」

ちょっと謙虚な態度で、僕らがお手伝いさせていただいているお米「奥島根弥栄米」と向き合ってみようかと思ったのです。品種は「つや姫」「コシヒカリ」。品種を聞いただけだと、他の地域と代わり映えありません。「うまいの?まずいの?粘り気あるの?有機なの?なぜこの土地なの?」も、アバウトにいうと、実はかなりグレーな表現で、「作り手の思い」に寄りすぎて、そのお米を食べているお客さんが少し置き去りになっている。もっと言うと「個人的な意見です」的な健康食品みたいな感じです。お米の良さは、お米単体では図れないほどマニアックな食材だなと思っていました。(もちろん評論的に食べ比べできて、違いがわかれば大したものです!)

だから、お米を食べてもらうには、お米だけでは成り立たない。そこで企画したのが「おともアワード」。お米だけではなく、おかずだけではなく、全部が一つになって、美味しい食卓が生まれる。どちらが主役ではなく、一緒に美味しくなる関係を目指すアワード。そして今回は第一回ということもあり、全国発信ではなく、まず地方、地元島根県でしかやらない企画をつくりました。

その企画は、まずお米が取れる地域で行われる小さな地域のお祭りで、おともとともに、お米をみんなに食べてもらいました。もちろん食べた人は一票いれます。そこで一等を取ったのが、島根県雲南地域の「雲南山椒 ジャコのり」という商品です。なかなか病みつきになる商品。

そしてもう一つはモニター企画として島根ゆかりのいろんな人に食べてもらいました。これも本当に接戦となって、こちらで一等をとったのは、島根県仁多地域の「しょうゆ味 ごまふりかけ」です。

今回、おともとしてノミネートさせていただいた9品目は、すべて島根のものばかり。島根で生まれたものだから、島根のものとマッチングして欲しいし、そこから全国区になるのが楽しみだなと思っていて、なかなかのラインナップです。先日おとも探しで、食べ比べたら、ご飯が何杯あっても足らない。米が食べたくなる!(笑)

これをきっかけに、全国でもいろんな「おともアワード」が生まれると、全国おともアワードっていうのもありかもですが、まずは島根から。

ちなみに、この一等をとったおともたちと、お米が来年セットで販売になります。ぜひお試しいただけると嬉しいです!

 

●奥島根弥栄米 「おともアワード2017」

http://okushimane.jp/otomo-award2017/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第40回

[シンプルという言葉の意味を考えてみる。]

シンプル、と言われると、僕の意味合いとしては「潔い」という言葉が当てはまる。奇を衒わずに、伝えたいことがはっきりしていること。見た目が、特に食べ物においては、「期待と同等」ということが何よりも条件だ。どんなに綺麗に整ったものでも、美味しくなければ価値は下がる。一方で、見た目はさほどでも、こんなに美味しいものが世の中にあるなんて!というモッタイナイことだって、まだまだある。

このブログでも紹介してきた離島シリーズ。KDDIさん、そしてNPO法人離島経済新聞社さんとともに、日本各地の離島の産品にスポットを当て、最終的に購入につながる販売促進のコツとプラットフォームの提供を実施している企画ですが、3島目の今回は東京都伊豆大島、大島町に相成りました。浜松町駅から海側へいくと、竹芝桟橋ターミナルがあり、そこからジェット船にのり90分弱。大島は心理的、物理的距離含め今までの離島シリーズよりは断然近い。しかし、そこは太平洋に浮かぶ島だけあって、この冬の時期は西風も強く、船の欠航率が高い。またクジラやイルカの生息地ということもあって、結構な頻度で、このジェット船とぶつかる(というより乗り上げるようだ)確率もある。

一方、東京から飛行機もある。プロペラ機ではあるが、こちらは風にはめっぽう強い。毎日3往復飛んでいるが、空港が調布の奥、、、便利なのか不便なのか。悩ましいところである。そんな大島町との取り組みは年明けも続いていくのだが、大島町といえば、「椿」である。国産の椿は、この伊豆大島と、五島列島が唯一だ。今、事業者含め、この椿商品たちをどうやって見せていくかを検討中。乞うご期待。

さて、今日ご紹介するのは、「べっこう寿司」だ。

ちょうど記者会見と講義があった日にお昼に皆に配られたのがこのお寿司。「島島寿司」と名付けられたこのお寿司は、外観は洒落た「縞模様」、船をイメージしたこのパッケージがまた可愛らしい。

伊豆諸島の家庭料理として長く愛されてきた「べっこうずし」は、もともとは温暖な島で生魚を美味しく保つための知恵から生まれたもの。島とうがらしと醤油で魚を漬け込み、刺身が鮮やかな「鼈甲(べっこう)色」に染まることからこの名前はつけられたそうです。今日のお魚は白身の「目鯛」。コクのある醤油と、梅ゴマの酢飯で、表面にはオリーブオイル、極め付けは、明日葉をあしらうなど、まさに伊豆大島を象徴している商品だ。

そんなべっこう寿司が、可愛らしい小舟のようなパッケージに収められ、これまた伊豆大島の自然塩と青じそで煮た「塩こんにゃく」と「ガリ(レモン生姜でしょうか)」が添えられていた。とてもコンパクトに収められ、日持ちは難しいけれど、とても「島らしい商品」だなと改めて思いました。

離島は本土と離れていて、どうしても「物流」「輸送」「賞味期限」を問われてしまいます。特に物販だけではなく、ECですと、お届け先によっては、5−6日かかる場合もある。そうなると、どうしても自分たちの技術や思いだけでは届けられない島ものができてきます。そのなかで「シンプルに立ち返る」ということが大切ではないかと思うのです。もちろん島のものを、より多くのお客様に味わってもらい、ビジネスにつなげるのが食に関しては当然なことではありますが、そのために特徴を無くしてしまっては意味がありません。僕が「潔い」という言葉を「シンプル」であると言い得るように、この島島弁当には、ある種「潔さ」を感じます。聞くところによると、この島島弁当をこしらえている寿司屋さんは竹芝桟橋ターミナルに出店されていると聞きました。まさに、シンプルで、島ならではだなと思うのです。

離島は正直遠いです。けれど、離れているからこそ、未開の地で、それこそ自然に生かされた食材が本当に多い。食にまつわる生態的にも非常に面白いと思っています。その食材を、新鮮なままでお届けするのではなく、知恵を持って生かす、ということが大事になるのではないでしょうか。写真は東京で唯一牛乳を作っている「大島牛乳」さんの見学の様子。バターやアイスクリームも絶品。新しいプロジェクトを仕掛けたいと思っています!

●竹芝桟橋ターミナルにある『鼈甲鮨 BEKKOUZUSHI』

http://www.bekkouzushi.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第39回

[美味しいものを届ける努力。]

11月、紅葉も終盤、まさに「凍(しば)れる」ような季節になりはじめました。そんななか、私たちが運営している「神楽坂 八百屋瑞花(すいか)」では、全国各地の農家さんから、露地物(主に屋外で育てられたもの)で自然栽培、有機栽培のものを中心に、野菜や果物を仕入れされていただいており、月に一度、その取引先の農家さんを巡る「ご挨拶出張」を執り行っています。

先日も、群馬の農家、埼玉の醸造場(味噌、醤油など)など関東近郊を巡りつつ、今月は私の実家がある青森県を一泊二日の強行軍で、三八地方(「三沢」「八戸」の地域のことを総じて「さんぱち」と呼ぶ)、そして津軽地方(主に弘前を中心とした津軽平野の地域を総じて「つがる」と呼ぶ)を回る旅に出ました。

まずは、三八地方では2つの農家、土嶺さんと赤石さんです。土嶺さんは、「長ネギ」の農家さんです。主に青森県内で流通させていますが、たまに東京のマルシェなどにも出店されていて、非常に元気なネギを育てています。(とはいえこの時期の長ネギは、この地域ではほぼ終盤。今年は全国的に品薄で高騰の兆し。)元気の証が、このどろっとした透明な液体。ネギから出てくる水分が粘質を持って、主に葉先の濃い緑の部分にたまるのですが、これがネギ自体がミネラル豊富な証拠です。

次に赤石さん。彼は、元々は弊社のスタッフだった人間です。新規就農を経て、自然栽培のハーブ農家になりました。CONSE(コンセ)という屋号です。今では、県内はおろか、東京のレストランからもお声がかかるほどの人気。

彼の農場は、一定の温度を保つために、ハウス栽培となっていますが、土も食べられるほど健康な農場。また三八地方は、津軽地方と比べて積雪も少なく、日照時間も長いため、ハーブを育てやすい環境とも言われています。管理している2つのハウスはおおよそ100メートルほど。その中を往復すると、この季節でも20-30種類のハーブやエディブルフラワーをみながら、 試食体験することができました(一般のお客様はできません)。同行した八百屋スタッフもその「エグ味」「甘み」「苦味」などを体験し、味覚が刺激されていました(笑)。

こうした30台前半の若い農家たちが、全国各地におり、自分たちのこだわりを産物に与えていこうという気構えがあり、共感できます。彼らの食材は、私たちの八百屋瑞花でもスポットで入る可能性がありますが、まだまだ「スターティングメンバー」にはいってきません。

その八百屋のスターティングメンバーとして頑張っているのが、津軽地方にいるお三方です。

まずは、ぶどうとセリの農家である伊東竜太さん。伊東さんは神奈川出身。大学時代を弘前ですごし、その後そのままIターンで弘前に移住。現在は、スチューベンと呼ばれるぶどうを主品目に、栽培をしています。また彼が農地を持っている地域は「一町田(いっちょうだ)」と呼ばれる地域で、津軽地方でも岩木山(いわきさん)の麓にあり、水が清らかで豊富。その地の利を生かした「セリ」の名産地でもあります。

そのセリを地元の農家さんと共同で管理しており、私たちの八百屋にも届けてくださっています。まずなにより、彼の農園は「綺麗」です。行き届いた管理状態と、そこで育った産物の「生きの良さ」が特徴的で、私たちも自信を持ってお出しすることができる商品を作っています。特に今年のスチューベンは、出来が良い。生で食べても良いし、彼が特に力を入れている「100%ジュース」は、全国でも秀逸の一品です。

次に、りんご農家「あっぷりんご園」の水木たけるさん。彼の、りんごにかける思い、もちろんりんごの状態もさることながら、「どうしたらマーケットで受けるか」をきちんと考えられている人です。そのために、わざわざ管理が難しい、完熟に近い状態でマーケットに出すため深夜早朝と、収穫から手入れまでに時間を割いています。この努力はいつもFacebookでも拝見しておりますが、いつも感心します。彼のりんご、そしてこちらもジュースを八百屋瑞花でも取り扱わせていただいております。

また彼は加工品などの「りんごの付加価値づくり」にも力を入れております。いまとあるミシュラン二つ星のフレンチレストランと共同で、商品開発を進めております。私が彼の紅玉をシェフに進めたところ、気に入っていただき、今に至ります。本当に良いものは、一般のお客さんもさることながら、飲食店などで付加価値をつけようとするオーナーさんやシェフ、パティシエには必要であり、彼らはそれを探すために日夜力を入れております。

八百屋瑞花は飲食店卸販売を基本実施しておりませんが、問い合わせがあれば、全国各地から良いものをご提案すべく、準備はできています。(実際にパティスリーやレストランでの需要も多く、小口ですが実施しています)

そして、八百屋瑞花には欠かせない農家、あおもり健康村の成田陽一さんです。八百屋瑞花創業主でもある矢嶋文子が独立する際に、「この人の野菜を是非仕入れたい!」とわざわざ仕入れた農家さんです。

成田さんは自然栽培の農家さんで都心の百貨店にも取引がある、小規模ながらも非常に卓越した技法と栽培を実施されています。特に、葉物、根菜などの味わいは秀逸で、八百屋でもリピーターが続出している人気商品です。

この時期は「赤カブ」「ビーツ」「インゲン」「長ネギ」などがメインで、まもなく雪が降ると来春まで収穫が終了という段階でしたが、ギリギリの段階で畑を視察することができ、私たちも成田さんのこだわり、作っている様子を改めてみることができ、人気の理由を改めて感じることができました。

飛び込みでお店に直接来られて野菜を持ち込まれることもしばしばあるのですが、できるだけ農地を実際に「見て」そして「食べて」という作業があって始めて、きちんと取引することにしています。消費者と生産者を結ぶハブとしての八百屋ですので、お互いのニーズや要望、説明をきちんと把握した上で「美味しさのコツ」を伝えられるように努力しております。(なので、何でもかんでも仕入れることはできません。良いものだからこそ、自信を持って販売したという自負があります。)

いま来春に向けてチャレンジすることがあるので、農家巡りをふくめて八百屋スタッフともども全国各地を飛び回っております。食のスタンダードをあげていくことが私たちの使命なので、皆様の食卓に届くまでの手間を惜しまず、チャレンジしてまいります!

八百屋瑞花:http://www.suika.me

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第38回

[香港で日本酒を売り込め! 牡蠣と日本酒の組み合わせはベストペアリング!]

11月初旬。僕は香港へと飛ぶことになった。

今回のミッションは、新潟清酒組合の皆さんとともに、香港マーケットに日本酒を売り込むこと。さらに、新潟のお酒に特化したプロモーションを仕掛けるにあたり、昨年度より新潟清酒組合と日本貿易振興機構(JETRO)が企画していた、「食材と新潟清酒のペアリング」をBtoB向けマーケット(いわゆるバイヤーやインポーター向け)に提案すること。マーケティングリサーチと、「地域団体商標」としての「新潟清酒」のブランディングを実施するという役割を担っている。

今回仕掛ける大きなテーマは、食材となる「牡蠣」と新潟清酒の組み合わせ提案だ。牡蠣を含む魚介類は、ワインを合わせると生臭みが発生し食事を楽しめないことが多い。なぜなら、魚介に含まれる過酸化脂質と、ワインの鉄分がバッティングし、生臭みが発生することがわかったのだ。特に鉄分が1ppm以上だとより一層生臭みを感じやすいというもの。ちなみに牡蠣といえば白ワインの「シャブリ」を思い出す方がいらっしゃるかと思いますが、シャブリは、そのワインのなかでも、とりわけ鉄分が低く、牡蠣と相性が良いことからフランスでもペアリングで好まれているというわけだ。

そんな中、新潟清酒の鉄分含有量は、ワインのなんと1/100! なるほど魚介と日本酒が合うのは、単に日本で刺身などの生魚を食する文化があり、それと日本酒が合う、だけではなく、科学的にも相性が良いということが証明されていたのである。また牡蠣と合わせることで味のバランスがよくなるタイプや、酒で口の中をリフレッシュさせるタイプ、牡蠣と調和して味が広がるタイプなど、味香り戦略研究所と、新潟県醸造試験場とでそれぞれ分析、セレクトいただいたものを香港に持ち込む作戦だ。

さてその魅力が香港人に伝わるであろうか。もちろん単純に持ち込んだだけでは「伝わらない」。

みなさんは「酒サムライ」という存在をご存知だろうか。日本酒造青年協議会が定めた、「日本酒を愛し、日本酒の素晴らしさを国内外に広めることに貢献している、または貢献できる可能性を持つものが、推薦され、叙任」されるもので、日本人、外国人などが任命されております。

そこで今回、新潟清酒のアンバサダーとして、酒サムライでもあり、香港在住のミッキー・チャン氏に、牡蠣と新潟清酒のペアリングについて、プレゼンテーションしてもらい、よりBtoB向けにもわかりやすく、現地の言葉で伝えていただくことを企画した。あわせて、BtoB商談会の他に、今年で5回目となる、すでに香港でも人気の日本酒イベント「新潟 ミニ酒の陣 Niigata Sake Festival」も合わせて開催。

さて、そんなプレゼンテーション&イベント当日。久しぶりの香港は11月にしては暖かく、天候も晴れやか。会場となった香港市内のホテルのボールルームでは、新潟清酒組合から90の蔵元のうち、海外に販路を持っていたり、これから仕掛けたりすることを考えている蔵元30が出店。もちろん「牡蠣」とペアリングする日本酒もあらかじめ選定され、各蔵元で用意、万全の体制である。

プレゼンテーションは、ミッキー氏の軽快な広東語で進められ、生牡蠣と「シャブリ」そして新潟清酒からは「吟醸 極上吉乃川(吉乃川)」「北雪 純米吟醸NOBU(北雪酒造)」の2種類とともに、バイヤー、インポーター、そして現地メディア関係者に試食試飲をしていただいた。

実際に食べて、飲んだ印象として、皆日本酒との相性の良さを感じ、感触としては上々だ。一方で、香港においての「日本酒市場」については、ここ最近需要が非常に伸びており、可処分所得も高いゆえに、「ワイン」の次の高級酒として「Sake(日本酒)」は非常に人気である。またその嗜んでいる大半は、いわゆる「若い女性」が多いのだ。Sake festivalでも、多くの参加者に恵まれ、300人を超えるお客様が来場した。なかなか新潟の酒蔵30、そしてそのフェスティバルだけは、残りの60蔵のお酒も登場し、全部でおおよそ200品目の日本酒にありつけるというから、舌の肥えた香港人は見逃せない企画だろう。蔵元も、インポーターや、外国語を話せる日本人の営業スタッフを配置し、それぞれ思い思いのプレゼンを来場者に仕掛けている。関係者によると、この光景は5年前とは違い、圧倒的に日本酒を嗜む香港人が増えているという印象だそうだ。確かに、欧米人よりは純粋な香港人が嗜んでいるという形だ。単に「日本食」「和食」がブームというだけではなく「日本酒(Sake)」も浸透していることは間違いない。

いま、全世界にみると、やはり圧倒的に日本酒が流通しているのはアメリカで、ニューヨーク、サンフランシスコ、フロリダ、ハワイの飲食店やスーパーなどの小売に販売されている。特に、高級業態や日本料理屋では、ワイン1本と同量の日本酒の四合瓶(720ml)がワインと変わらない値段、8000-15000円で値付けされている状況だ。これからのマーケットはアジアに広がっていくだろうが、所得や環境、価値などを考えると、まだまだ5-10年はかかると予想される。一方で国内は「作り手、担い手不足」といった社会的状況から、どのくらいの酒蔵が伝承され、収量が確保できるかが読みきれない。この日本酒に対する期待値と、それを実現していくフィジビリティが、今後の鍵になるのではないか。海外における販路拡大と販売促進には、大きなビジネスチャンスとともに、リスクも潜んでいることは間違いない。

日本の食を海外に伝えていくことは増えているのは間違いないからこそ、それを支える基盤と、担い手育成の必要性を感じた香港であった。

新潟清酒組合:http://www.niigata-sake.or.jp/

新潟 ミニ酒の陣:http://afoods247.com/sakefestival.jp.html

酒サムライ:http://www.sakesamurai.jp/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第37回

[Martレコメンド!毎日の食育手帳、全国書店で発売開始!]

ようやく発表することができます!

実は、光文社さんが制作したこちらの手帳「Martレコメンド 毎日の食育手帳」に付属する小冊子「四季の旬食材BOOK」を、弊社運営の八百屋瑞花(すいか)が記事執筆とあわせて監修させていただきました。

私たちは「野菜・果物」について、春夏秋冬おおよそ20種類ほどご紹介、その品目の特徴や食べ方について記載させていただいております。

今回のお話をいただいた時に、ご担当者のM氏より「朝食・昼食・おやつ・夕食・夜食・その他」を記録するスペースが、1週間見開きスケジュールについている手帳ができる。手帳のコンセプトは『体は毎日の食事でできている』ということから、子供はもちろん、家族、そして自分の健康管理を手帳に記載できるスペースを設けてレコーディング(記録)し、かつオススメの旬の食材を紹介したら、とても便利だと思っているんです」というお言葉をいただき、二つ返事でこの企画に参加させていただきました。

ちなみに「魚介」については一般社団法人日本さかな検定協会さんが監修しております。よって、この一冊で「野菜・果物・魚介」は春夏秋冬カバーできるかと思います。

私たちの八百屋でも、二十四節気にそって野菜の一番美味しい時期(=旬ですね)を見極め、選び抜き、全国から仕入れて販売しています。そして、「食べて元気になる」が僕ら八百屋のモットーでもあります。どんな野菜があるんだろうという「気づき」から、美味しさのコツを知ることで、すこやかに毎日を過ごせるとしたら、この手帳があれば、さらに楽しく食卓や自分の食事のレパートリーを増やすことができ、その大きな助けとなるのではと考えています。

実はこの流れこそ、僕らの会社のコンセプト「食のスタンダードをあげていく」ことに繋がると思っています。必ずしも良い食材に出会えなかったとしても、今何が旬で、どんなものを食べれば良いのか、そんな気づきをこうした身近な手帳一冊が担ってくれるのであれば、スタンダード向上に寄与していると僕らは思っています。

なんとこの手帳、全国の書店で販売されてます(1000店舗)! もちろんネットでも購入が可能です。ぜひお手元に一冊いかがでしょうか。もちろん僕ら八百屋スタッフも全員持っています(笑)。ぜひチェックしてみてください。

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体の基本!食事内容を記録して、家族の健康をサポート

「毎日の食育手帳」 1,200円(税抜)

「来年のスケジュール帳どうしよう?」と新しい手帳をお探しのあなたに!「STORY」、「Mart」、「JJ」。光文社人気雑誌レコメンドの手帳が発売されました。 シンプルなスケジュール&TO DO LISTタイプ、毎日の洋服コーディネイトを記録できるファッションタイプ、毎日の食事を記録できる食育タイプと個性豊かなラインナップ。充実した1年をバックアップしてくれる相棒としてぜひ手に入れてください。

ウェブでの購入はこちらから:http://kokode.jp/products/list.php?category_id=3420

松田龍太郎

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1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
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http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第36回

[フランス生まれの、マカロンコンクールが日本で開催!]

マカロン(macaron)というフランスのお菓子、皆さんも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。卵白と砂糖とアーモンドを使ってオーブンで焼きあげた菓子で、直径数センチの半円形をしている、見た目も可愛い、小さなお菓子です。

そのマカロンの腕を競う世界大会が毎年フランスで開かれています。それが「マカロンコンクール」です。2010年にフランス西部ナント市のパティシエ ヴァンソン・ゲルレ氏が、アマチュアを対象としたマカロンコンクールを創設しました。初年度はナント市1か所での開催であったものが、年々ゲルレ氏の主旨に賛同するパティシエがコンクールに審査員として加わり、現在では、フランス国内11か所に加えて、日本、イタリア、ベルギー、カナダでも開催される国際大会へと発展してきました。 全日本マカロン協会が主催する全日本マカロンコンクールは、優勝者が国際大会の最終選考会に日本代表として出場できるオフィシャル・コンクールとして認定され、フランスのコンクール事務局の全面的な協力を受けて開催されています。

そのマカロンコンクールを主宰する全日本マカロン協会の一人として私も携わっています。また日本大会には世田谷用賀Ryouraの菅又さん、表参道UN GRIANの金井さん、本GLACIELというアントルメグラッセ専門店から、この夏、中央林間にお店を開店させたメゾン ジブレーの江森さんなど、国内の新進気鋭のパティシエの皆さんが審査員として参加しています。

今年も多くの出品者がでて、先日最終選考会が行われました。最終に残った作品は20。ここから審査員による最優秀賞の決定が行われます。出品作品は、日本の素材や季節の果実などを使ったものなどが多く、また、マカロンの形も綺麗に揃っていて、審査員からも「本当にアマチュアか?!」という驚きが出るくらい、ハイレベルな争いになったかと思います。

そんな中、栄えある最優秀作品に選ばれたのが和菓子のようなマカロンを作った「胡麻琥珀もち」でした。私も試食させていただきましたが、マカロンの形も秀逸で、ゴマの風味を生かしながら、フィリングと呼ばれる中の餡も、餅を使って、味のまとまりを持たせたマカロンに仕上がっていました。審査員にもとても好評の作品でした。

他のマカロンも試食させていただきましたが、小さなマカロンの中に世界観、味を入れこむこと、バランス感の難しさを感じました。ものすごく甘かったり、香りがなかったり、塩っぱかったり。。やはり最後は「美味しいか」というところがキモだと、一人の審査員がお話しされていました。小さい世界の中での完成度は、マカロンならではの面白さであり、魅力なんだなと思いました。さて最優秀者は来年のフランス世界大会にむけて準備が始まります! 頑張ってください!

また今年から、全日本マカロン協会が提唱する「10月9日マカロンの日」をもって、全国の著名パティシエによる新作マカロンをご用意いたしました。販売は各店舗にて全国一斉に10月9日から販売開始しております(店舗によって終売が異なりますのでお気を付けください!)

さて、お菓子づくりが好きなあなた!そしてマカロンが好きなあなた!

ぜひ来年開催予定の全日本マカロンコンクールに出展してみませんか?

ぜひウェブやFacebookをチェックしてみてください!

 

全日本マカロン協会:http://macaron-association.jp/

全日本マカロンコンクール2017:http://www.cotta.jp/macaron_concours.php

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第35回

北海道木古内からやってきたコッペパン屋

コッペパンって、にくい。ほんと、にくい。

なにがにくいかって、こんなオールラウンドで、誰にでも愛され、しかも安くて美味しいものはない。サンドイッチと比較しても食べやすいし、老若男女問わず、人気の商品の一つである。なかなか商品開発屋もこれを超えるパン食品を作るのには頭が痛い。

そんなコッペパン専門店が、昨年神奈川県にある市が尾(いちがお)という場所にオープンした。その名も「コッぺん道土(こっぺんどっと)」。北海道は木古内町というちいさな町で生まれた、地元人気店。オープン以来テレビでも取り上げられ、連日長蛇の列。警備員がでて、ご近所からもクレームがつくくらいの人気だ。主なラインナップは「ジャム」「惣菜」を挟んだ、いわゆる定番のコッペパン。オーダーから作り上げ、あっという間に、食べられる。中には10個、20個と大量買いするする人もいるから、お目当のものにたどり着くには時間がかかる。

もともと、なぜ北海道の小さな町から出てきたのか。木古内町は、2040年までに若年女性(20~39歳)の人口が半減する自治体=消滅可能性都市5位(日本創成会議・人口減少問題検討分科会による)だという報告がある。創業した近藤社長の思いは、「東京をはじめとする都会で、木古内町を発信するアンテナショップがほしかった。それに気づき、木古内を知ってもらい、足を運んでもらいたい」のだという。

確かに彼らの地元には「どうなんdes」という、アル・ケッチァーノ奥田政行シェフプロデュースのお店に併設させる形で「コッぺん道土」がある。この木古内でも、パン屋は大人気。朝から多くの人が並び、わざわざは1時間かけて函館から来られるひともいるのだとか。そこで成功体験が、彼らを都会に引き寄せ、さらにそこから木古内を含めた魅力の発信をしている。とても理にかなった展開だと思う。

確かに、市が尾店にはいると「木古内紹介コーナー」があり、特産品もいくつか置いてある。県単位のアンテナショップはあるのだが、今後は市町村や、民間が自分たちの手で地域おこし、アンテナショップを経営、運営していくのはありだろう。

実は、このお店のもう一つの人気商品がある。それがこの「ぱくぱく塩パン」だ。

特産である「みそぎの塩」を使い、秘匿サイズの小さなフォルムがかわいい。外はサクッ、なかはモチモチした歯ごたえ。ひと口いただくと濃厚なバターがふわっと広がり、塩っけもあり、なかなか楽しい。

今は行列もだいぶ治まっているようだが、狙い目は平日の夕方。パンがなくなりしだい閉店になるそうだが、選ぶ楽しさ、そして北海道木古内の一端を、ぜひ味わってほしい。

コッぺん道土:http://coppendot.com/

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第34回

「Tree to Bar」 大手食品メーカーが挑む、『お客様に届けつづける誠意』

9月初旬。以前もこのブログでお伝えした明治さんからのお誘いで、急遽ベトナムへ。僕自身、先日の大分や利尻島に続き、これまたはじめての場所。

空港に着くと、南国特有の暑さと湿気が漂う。

今回のツアーは、明治が現在取り組んでいるチョコレートの原材料「カカオ」の実験農園を視察するというものであった。僕自身、チョコレートの成り立ちについては、情報として知っている程度だったので、実際にカカオがどんな状態で育ち、収穫され、それがどんな工程を経て、チョコレートになるのかを現場でみたかった。

またアジアにおいてカカオを生産している国自体はまだまだ少なく、日本に入ってくる数量も少ない。一方で、いわゆるカカオの産地である中南米の政情不安もあり、輸入や現地での調達状況も最近芳しくないと聞く中で、「アジアのカカオ」は非常に興味があった。

ホーチミンから平坦な道のりを車で移動して1時間半。鬱蒼とした木々の中に、そのカカオ農園があった。ちょうど、明治の実験農園の開設式と重なり、村の人たちも多く集まっていた。

さっそく薄暗い木々の間を通り、カカオ農園に近づくと、木の幹に天に向かって突き出したように生えるカカオを見つける。少し赤紫のような発色の良いカカオ、まだ十分に色づきが終わっていない緑のもの、また種類が異なり黄色がかっているものなど大きさはまちまちではあるが、カカオが花の状態から実を結び、こうした大きさになるのは新鮮。

さっそく身を割ってみると、先日明治本社でみたような、果実のような実が中から出てくる。かじると実自体は落花生、コーティングされた周りの白っぽいところは、グレープフルーツのような酸味を帯びたゼリー状。また完全に熟していないものは、メロンやキュウリなどに似た食感で、熟したものよりは酸味は少ない。

収穫したカカオを今度は、その実を取り出す作業をし、それを搾汁し、絞ったカカオを発酵。

そして発酵させたものを天日干しし、乾燥したものを、今度は、機械にかけてカカオマスを焙煎、カカオニブと分離。

そのカカオニブを砕いてカカオマスにし、練り上げて香りを出し、そしてよく言われる温度調整としての「テンパリング」を仕掛け、ようやくチョコレートへ。ここまでをなんと1日で体験させていただきました(もちろん発酵の部分は割愛しましたが)。

普段私たちが目にしている商品からは、こうして手間をかけて出来上がったチョコレートであること自体、分かり得ないことです。

食してみると、ベトナムのカカオで作られたチョコレートは、特に酸味が強く、これまで敬遠されてきたきらいがあるのですが、昨今のサードウェーブコーヒーにも牽引され、「酸味のある味」が、選択肢として認められてきており、最近ではベトナムのショコラティエが世界の権威のあるチョコレートの賞を受賞するなど、目を見張る成長を遂げようとしています。

こと明治も、10数年前にベトナムのカカオ農園に進出を果たすが、カカオの質やこうした農場自体の質が整わずに断念した経緯がありました。ただ近年のチョコレートブームや産地の中南米の政情不安を含め、アジアでの実験農園としてその価値を見直され、あらためて復活を遂げました。将来的にベトナムのカカオで作られたチョコレートが、僕たちの生活に入ってくる可能性はあると思いますし、実際にベトナムカカオの生産量もここ数年で少しずつですが増えている現状です。

なにより、日本に近いという立地特性、そしてベトナム人の真面目な気質が、よりよい農園とカカオをプロデュースするのでは、という期待を感じさせます。また何より、明治の取り組む姿勢に感銘を受けました。多くの人にチョコレートを「届け続けること」の大変さは、並大抵なものではありません。「希少」「数量限定」といったことではなく、それと同等のものを、「安価」で「お届けしやすく」「誰の手にも届く」という、公平さ、安定感、スタンダードを整理させる大手食品メーカーの使命を感じるたびでもありました。

最後に、今回のツアー参加者一人一人に、カカオの木が明治より贈呈されました。3年後、無事にカカオが栽培できれば、まさにBean to Barではないのですが、「Tree to bar」ということで(笑)、自らの木からの栽培、そしてチョコレートまで作ることができます。たぶん板チョコ数枚程度かもしれませんが、そんな貴重な体験を経験できたことに感謝です。

●メイジ・カカオ・サポート

http://www.meiji.co.jp/csr/stakeholder/meiji-support-for-cocoa/index.html

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
http://www.oiseau.co.jp

Foodnia Japan 食の国 日本 連載 第33回

人生初の大分県、最初の食事はB級グルメ「日田焼きそば」

東京は十数日、日照りもなく、雨が続き、なんとも言えない天気が続いている。そんな中、九州に縁をいただき、8月だけで2回、しかも全て日帰りで福岡から、佐賀の鳥栖、そして今回の大分県日田市へと足を運ぶ。

その中でも大分県は、人生初である。

当初は、7月に訪問予定でいたのだが、8月の訪問となった。7月初旬に起きた九州北部大水害によって、日田市の一部は今でも土砂崩れの跡を残している。一方で、その水害以降は日照りがつづき、日田市を訪ねた日は気温36度。山梨の甲府のような盆地地帯ということもあり、すこし湿気も感じながら、無風の乾燥サウナに入っているような感覚で、立っているだけで汗が吹き出すという気候だった。

そんな暑い中、同行者と行ったランチがこのお店「元祖!日田焼きそばの想天恋(そうふれん)」だ。

「日田といったら焼きそばです!」とアテンドするO氏。彼は転勤族で、2年前にアメリカからこの大分に赴任し、日田にはじめて訪れるお客さまが来られた際に、お決まりのコースにしているようだ。実は僕自身、町の中華屋でまずメニューで気になるのが「ソース焼きそば」だ。初めての土地で、大好きなソース焼きそばにありつけるなんて。

「どちらにしますか?」と促され、メニューを見ると、定番の焼きそばに「生卵入り」「山かけとろろ入り」といった魅力的なトッピングに心惹かれる。僕はめっぽうトッピングに弱い。ちなみに、とあるチェーンカレー屋だと、決まって「野菜」「チーズ」を入れるのがお決まりのトッピング。大好物ほどアレンジしたくなるのだ。迷いに迷って、「生卵入り」を選択。「小ライスサービスですが付けますか?」と店員さん。もちろん迷わずオーダー。

ほどなくして、テーブルに届けられたのは、小ライスと高菜の漬物。そしてお待ちかねの「生卵入り焼きそば」である。もはや、ご飯のお供で焼きそばなのか、焼きそばのお供で、ご飯なのか。もうその迷いだけで、お腹いっぱいなのだが、早速焼きそばを食す。

焼きそばは、なにより麵が短い、合わせてある「もやし」とほぼ同じくらいの長さで、むしろ「ご飯のお供」のような感覚。小ライスが憎いくらいに存在感を増していくのである。中ライスで行けばよかった、とか、セットにすべきだった、とかよぎる悪い癖が出るくらいの満足度。それでいて少し硬めに焼き上げられた麺は、このうだるような暑さを吹っ飛ばすような軽快な食感とソースの甘さが相まって、病みつきになる。そこからはテンポよく「ライス、焼きそば、ライス、焼きそば、すこし高菜」といったコンビネーションで、あっと言う間に完食。

こういう時って、妙に名残惜しいですよね。大分県日田市、第一印象最高です(笑)

さて人生初の大分県、そしてこの日田市ですが、「四季を通して日田の梨」といわれるくらい、全国でも有名な「和梨」の特産地です。すでに「幸水」が完売し、これから「豊水」「新興(しんこう)」「新高(しんたか)」「あきづき」といった和梨銘柄が9月下旬から10月にかけて収穫の時期を迎えます。そのほとんどは国内消費となりますが、近年は台湾や香港などを中心にアジアでも出回るようになってきました。今回その「日田梨の海外展開に関するブランドづくり」のお手伝いを、ジェトロさんとともに実施することになったのです。これから月1くらいの頻度で大分県日田市に行きます。焼きそばも楽しみですが、これからは梨も楽しみ!10月にはこの記事でもご紹介できると思います!

●元祖日田焼きそばの想天恋:http://www.sofuren.com/

●四季を通して日田の梨  :http://www.hitanashi.com/

 

松田龍太郎

松田龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。
報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。その後、2007年企画・プロデュース業に転職。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。現在神楽坂6丁目に「八百屋瑞花」という青果販売する八百屋 を展開中。
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