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NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 郷土料理編 佐渡の「煮しめ」

朱鷺
朱鷺と人間が共生していくことを目指している佐渡では、自然に放鳥された朱鷺の姿を見られることも。

榊ゆりこさん、朱鷺の住む島で素朴な家庭料理に出合う

全国に伝わる郷土料理を発見する旅の第2回は、榊ゆりこさんが佐渡を訪ねました。お祭りや、冠婚葬祭に欠かせない島の伝統料理の「煮しめ」を習い、漁師料理の「沖汁」や郷土菓子の「型おこし」作りも体験。特別天然記念物の朱鷺に偶然遭遇するというラッキーな出合いもありました。

集落ごとに、家庭ごとに味が異なる、行事には欠かせない故郷の味

煮しめ 旬の食材をあごだしでじっくり煮しめたおでん風の煮物

煮しめ
佐渡を代表する郷土料理を教えてくれたのは、市民の健康推進を目的とする団体「しまびと元気応援団」のひとつである「にしめの会」の皆さん。

煮しめ 旬の食材をあごだしでじっくり煮しめたおでん風の煮物

お祭りや法事、お正月など人が集まるときに必ず食卓に並ぶ佐渡を代表する伝統料理が「煮しめ」。年末には、煮しめの材料となる焼き豆腐やごぼう巻きなどがスーパーに大量に並ぶ光景が見られます。
佐渡の産物といえば、魚介のイメージが強いけれど、野菜や山菜など農産物も豊富で、家の畑で採れた野菜をはじめ、春には蕗などの山菜や筍、秋にはキノコなど、煮しめの具には季節のさまざまな食材を使います。
材料には事欠かないため、決まったレシピはなく、地域によってはスケトウ(スケトウダラ)やイカを入れる所もあり、集落ごとに作り方は異なるそう。
一般的な具材としては、焼き豆腐や昆布、大根、人参、里芋、ごぼう、こんにゃく、練り物などが入ることが多く、文字どおり汁が残らないほどゆっくり「煮しめる」のが佐渡流。煮物というよりはおでん風でもあり、特徴は焼きあごで出汁をひくこと。あご(飛魚)は焼いてから干しているため、香ばしく深い旨みが引き出されるのだそう。
行事の前日から煮込んでは火を止めて味を染み込ませ、何度も煮しめるのがおいしさの秘訣。滋味深く、食べたらホッとする、島人が愛するおふくろの味です。

材料は季節の島のもん

  • あご(飛魚)出汁にはあご(飛魚)を使うのが特徴。焼いてから干しているので、湯に浸けてゆっくり時間をかけて戻します。
  • 具材入れる具材にこれといった決まりはなく、〝みーんなそこらへんにある佐渡のもんを使うっちゃー〟とのこと。
にしめの会

「にしめの会」では月に一度集まって佐渡の郷土料理を作り、味わうことで皆元気になるそう。美味しい佐渡米と煮しめ、ギンバソウやナガモなど島の海藻も定番の副菜。

「にしめの会」の皆さんに自慢の味を教わりました

にしめの会

煮しめに入れる食材にはそれぞれ意味があるんですよ。たとえば、昆布は“喜ぶ”、ごぼうは根菜で“根を張る”“一代を作る”、大根は“どんな味にも煮しまる”というように。蕗も“富貴”で縁起物です。

昔は濃かったけれど、最近は減塩志向でお醬油を控えめにしています。

じゃあ、ぜひたこ天も食べてみて。ぶつ切りにするところも多いけど、ここでは足をそのまま1本揚げするんです。衣に塩水を入れるんだけど、配分は企業秘密なのでごめんなさいね。

野菜がたくさん摂れるし、旬のものも入って本当に体に優しいお料理ですね。煮しめは全国にあるので味もそう違わないだろうと思っていましたが、あごだしを使うだけでこんなに違うんですね。佐渡の味、ひとつ覚えました。

(左)焼き豆腐は水から下茹でしておくと味が染みやすく、美味しく仕上がる。(中)煮しめた具材は一度ざるに取り、汁けを軽く切ってから皿に盛り付ける。(右)蕗や結び昆布は長いまま煮て、盛り付けの際に切ると鍋から取り出しやすく、サイズも揃えられ、見た目もきれい。

カーディガン¥17,000(アン レクレ)

材料(8人分)

  • 焼き豆腐2串
  • 大根150g
  • 人参1本
  • ごぼう1/2枚
  • 椎茸1本
  • こんにゃく1/2枚
  • 昆布1本
  • 4本
  • 車麩1枚
  • 100g
  • さつま揚げ2枚
  • 蒲鉾(板なし)1本
  • あご1尾
  • だし汁2.5カップ
  • 砂糖大さじ1
  • 醬油大さじ3
  • 小さじ1
  • 大さじ2
  • みりん大さじ2

作り方

  1. 大根は皮を剝き輪切りにし、面取りをして十字に隠し包丁を入れる。
  2. 人参、ごぼうは斜め切りにし、水に浸けておく。
  3. こんにゃくは湯がき、縦に切り目を入れて片側をくぐらせ手綱形にする。
  4. 昆布は水に戻し、結び昆布を作る。
  5. 車麩は水に戻して柔らかくする。
  6. 筍は米のとぎ汁で湯がいて、食べやすい大きさに切る。
  7. さつま揚げは湯通しする。
  8. 焼き豆腐は水から入れて煮ておく。
  9. あごだし(煮干しでも可)を取り、調味料を加え、煮えにくい材料から入れていく。
    蒲鉾はあとで加える。
  10. 1時間ほど煮込んで火を止め、味を染み込ませる。
  11. 一度ざるに上げ、蕗や昆布、さつま揚げは食べやすい大きさに切って皿に盛る。

煮しめが食べられる店(要予約)

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地元の旬の食材を使った温もりのある手作りの味が評判

新鮮な野菜や魚介をバランスよく取り入れたボリュームたっぷりの日替わり定食(750円)が人気の家庭料理の店。女将さんは、国指定重要無形民俗文化財の伝統芸能「文弥人形」の座長で、隣の建物には舞台が併設された広間もあり、予約制で人形の舞台と食事を楽しむことも。煮しめも5〜6名分から予約注文が可能。写真はハチメ(メバル)入りの煮しめ(3,000円)

ときわ館
佐渡市泉104 ☎0259-67-7555
営業:8:30~17:00 休み:日曜

撮影/谷口京 モデル/榊ゆりこ スタイリスト/菊地ゆか ヘア・メーク/高梨舞 取材・構成/秋山美英

STORY 2015年5月号より