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光文社厳選!和食情報ナビ

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第六回 旅 × 和食文化[後編] 冬の京都の日々の美味。京都美人が家で゙楽しむ、おつまみ。

京都人は節会や旬を大切にし、それをベースに日々の生活を営んでいます。旬の食材を用い、ちょっと工夫を凝らした料理をいただくことで美しい暮らしを送る。それが内面からもキレイになる秘訣かもしれません。

旬を大切にし、日々の暮らしを楽しむ京都美人のお一人が、ストーリーのある器を生み出す陶磁器デザイナーの河原尚子さん。仕事もプライベートも忙しい日々を過ごしていますが、そんな中でも、家でお酒を楽しむときには季節を感じるおつまみをつくるそうです。そんな河原さんの日常の酒肴を紹介していただきました。

白味噌、生麩、京野菜。食材を買い出しに。

母と買い求めた食材を今も料理に

「京都では、白味噌はあそこ、野菜はあそこと決めているお家が多く、わが家でも贔屓にしているお店があります。幼い頃から母と通ったそんなお店に、今も変わらず足を運びます」と河原さん。今回案内していただいたのは、なかでも京都らしい食材を手に入れることができる老舗。
「『山利(やまり)』さんの白味噌は京都のお雑煮には欠かせないもので、ここの白味噌でつくる酢味噌や白和えの衣はとびきりの味に仕上がります。江戸時代以前から続く『麩嘉(ふうか)』さんでは、粟やよもぎなど定番の味に加え、カボチャやバジルなど新しい味も豊富。料亭に野菜を卸す『やお又』さんには、いつ行っても新鮮な季節の野菜がたくさんあって、ついあれもこれもと買ってしまいます」。

店舗紹介

山利商店

京都市東山区山田町499
TEL 075-561-2396 営/8時~16時
休/日曜

やお又

京都府京都市下京区木屋町通松原下る材木町421−4
TEL 075-343-0808 営/6時30分~18時
休/最終日曜

麩嘉

京都市上京区西洞院椹木町上ル
TEL 075-231-1584 営/9時~17時
休/月曜 最終日曜

冬の美味しいものを使ったおつまみをつくります。

「仕事もプライベートも慌ただしい日常を過ごす私にとって、仕事後に家族や友人と愉しむお酒の時間はかけがえのないもの。お酒のおつまみは簡単だけど季節感あるものをと心掛けます」と河原さん。冬に甘味を増す淀大根や京人参のほか、常備しておくと便利な生麩、甘くて旨味たっぷりの白味噌を使った冬のおつまみを紹介してくれます。

白味噌とわけぎのぬた 人参とチーズの洋風なます 生麩の揚げだし 定番料理をちょっとアレンジしてわが家の味に

「『白味噌とわけぎのぬた』の要はなんといっても白味噌でつくる酢味噌。うちでは和辛子を利かせてちょっぴり大人の味わいに。甘いわけぎやとり貝にほどよい酸味の酢味噌がよく合います。『人参とチーズの洋風なます』は、生ハムやモッツアレラチーズを加えて洋風にするのがポイント。人参は千切りではなく、薄めの輪切りにして食感と甘みを楽しみます。米酢だけでなくバルサミコ酢を加えることで味に奥行きがでますよ。『生麩の揚げだし』は、こんがりと焼けた生麩の芳しさに、おだしに溶けた大根おろしとねぎの香味が効いて抜群の相性。もちっとした食感もクセになります」。そして合わせるお酒は滋賀・ 冨田酒造の「七本槍」。「旨味があって幅広い料理に合います」。

つくり方

白味噌とわけぎのぬた(写真左)

わけぎ、とり貝は食べやすい大きさに切ってさっと茹でる。白味噌、米酢、和辛子、甜菜糖をまぜて衣を作り、わけぎ、とり貝に添える。

人参とチーズの洋風なます(写真中央)

人参を輪切りにして塩もみする。米酢、胡麻、醤油、バルサミコ酢を混ぜ合せ、そこに人参、生ハム、モッツアレラチーズを漬けて少し置く。

生麩の揚げだし(写真右)

少量の油でスライスした生麩を焼いて器に盛る。その上に、大根おろし、刻みねぎを乗せ、かつおだしに醤油、塩、砂糖で味を整えた温かなだしをかける。

丸大根と豚肉のたいたん 豚肉の旨味が大根にしみ込んで...

「肉質がぎゅっとつまってきめ細やかな丸大根。ほどよい脂のある豚肉とともに炊くと、脂と旨味が大根にしっかり入ります。ポイントは豚肉の半量を最後に入れて追い豚すること。大根も豚肉もふっくらと美味しく仕上がります」。

つくり方

丸大根は食べやすい大きさに切って、厚めに皮をむく。圧力鍋に、大根、豚肉半分量とかつおだしを入れて炊く。大根が軟らかくなったら、残り半分の豚肉と醤油を入れて、火が通るまでさっと炊く。

生麩の白味噌汁 ほんのり甘くてまろやかで

「京都のお雑煮といえば、白味噌仕立て。お正月は丸もちを入れるところですが、今日はよもぎ麩。もっちりとよもぎが香る生麩と、まろやかでほんのり甘い白味噌がほんとうによく合います。」

つくり方

昆布とかつおのだしをとり、そこに生麩を入れ、白味噌を溶き入れる。好みで和辛子を添えると風味が増す。

冬の食材を使うことが何より料理を美味しくするポイント。「それほど手間をかけなくても、食材それぞれの持ち味を楽しめます」と河原さん。寒い時季だから、温かいおつまみを何品か用意するのもお薦めという。「熱燗とともにいただく、もっちりとした生麩や味のしみた丸大根は格別の味わい。ぜひ、ご自宅でも試してくださいね」。

プロフィール

河原尚子(かわはらしょうこ)

6代続く窯元「真葛焼」に生まれる。2003年から佐賀武雄で約2年間修行を積み、独特の技法での陶板画制作を開始。その後デザイン職につき器の可能性を探求。
2009年、会社を設立し、自身のブランド「SIONE」(シオネ)を発表。生活空間の喜びをテーマに陶板画制作、プロダクトデザイン、茶会などを通して もてなしの空間を提案している。

SIONE

「読む器」をコンセプトに陶磁器を中心としたブランド。
未来の惑星を題材にしたストーリーに沿って展開するコレクションとテーマ性のある器シリーズを2009年から毎年発表している。器以外にも、「読む衣」SIONE YUZENと称して京友禅の技術を用いた蝶ネクタイなども展開中。 日本の技術を大切に繋ぎながら2011年よりミラノサローネなどに出展し海外へ展開している。
SIONEの製品は日常を非日常に切り替える。

撮影・大道雪代  構成・中井シノブ

松田龍太郎

旅×和食文化[後編] 監修

監修者編集後記

今回は「旅」をテーマに、「京都」をお届けしました。どこを切り取っても絵になる京都は、見所満載ではありますが、毎日積み重ね、生きていく中で紡がれる世界に、和食の真髄があるのではと、河原さんにご登場いただきました。
普段とかわらない日常の「旅」。京都に限らず、僕らの日常にある日々の旅の中に大いにヒントがあります。

松田 龍太郎

1977年生まれ。青森県弘前市出身 慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。
その後、2007年企画・プロデュ−ス業に転身。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。