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光文社厳選!和食情報ナビ

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農園の採れたて野菜フレンチ、美肌温泉の酵素朝ごはん、宿坊の精進料理……このひと皿のために出かけたい

旅のメインディッシュは「ニッポンの美人食」

便利な世の中になっても、そこに行くことでしか食べられないものがあります。
採れたてのみずみずしい素材や、心安らぐ空間だけでなく、
そこに関わる人々の真摯な姿、心づくしのおもてなしも、大切な要素。
一期一会の感動を約束する「ニッポンの美人食」を探す旅へ、いざ行かん。

季節のテイスティングコース

コースの中盤に登場する、野菜のエチュベ(蒸し煮)は、お店を象徴する一皿。カリフラワー、白菜、芽キャベツや、カラフルな根菜、ほうれん草などの葉野菜、ハーブなど、20種類近くの野菜が楽しめます。生ハムの泡がアクセント。

採れたての野菜が主役。「里山から発信するガストロノミー」を味わい尽くす

レストランビオス

富士山麓の豊かな自然のなか、有機肥料だけで育てた旬の露地野菜を、都内有名レストランなどに卸している「ビオファームまつき」。
その直営店が「レストランビオス」です。オーナーの松木一浩さんは、かつて都内のグランメゾンでプルミエ・メートル・ドテル(第一給仕長)を務め、レストランの楽しみを知り尽くしている人。畑に最も近いレストランから、最先端のガストロノミーを発信しています。
周辺に点在する自家農園から、その日に使う分だけの野菜を収穫し、二十四節気ごとのコース料理に仕立てるスタイルは、農園レストランならでは。
里山の料理というと、素朴なものを想像しがちですが、若きシェフ・坂本啓さんの料理は、そのプレゼンテーションも含め、北欧あたりのモダンなレストランを彷彿とさせます。
例えばこの日のスターターは、牛乳を焦げる手前まで煮詰めて作る皮膜で、紫芋のペーストをくるっと巻いたものだったり、一見普通のじゃがいもを割ってみると、スモークしたクリームチーズがトロリと出てきたり。パッと見の「?」と、食べたときの「!」が、何とも楽しく、いきなり心を鷲摑みされてしまいます。

RESTAURANT BIO-S
その日使う分だけを収穫するから、野菜はいつだって新鮮そのもの

冬は根菜が盛りだくさん。にんじん、ラディッシュ、大根などは、カラフルな種類が続々登場。メインダイニングの中央にもどっさりとディスプレイされる。

RESTAURANT BIO-S
若きシェフがみずみずしい感性で作り上げる、モダンキュイジーヌ

シェフの坂本啓さん、スーシェフの加藤順一さんは、タテルヨシノやカンテサンスなどの名店を経由してこちらへ。それぞれの感性を生かした意欲的な料理が楽しみ。

RESTAURANT BIO-S
RESTAURANT BIO-S静岡県富士宮市大鹿窪939-1 ☎0544-67-0095
営業時間:11:30~14:00、17:30~22:00(ともにL.O.) 休み:火・水曜 12/30~1/1
ランチ・ディナーともメニューは同じ。季節のテイスティングコース(12皿~)¥8,500、ショートコース(6皿~)¥4,500。12/20~25はクリスマス特別コースで、ランチ¥5,500~、ディナー¥10,000。
メニュー内容は、二十四節気ごと(約2週間ごと)に、旬の素材を組み込みながら少しずつ変わっていく。
定期的に訪れて、季節の移ろいを感じたい。
キレイになる朝ごはん

最初に並ぶのは生野菜とフルーツのサラダ、小菜6品のおかず。添えられた小さなリーフレットには「キレイになる朝ごはん」の文字。イラスト入りで食べ順と、どうキレイになれるかが書かれています。やってみようと思わせるさりげない演出。

お風呂はすべて源泉かけ流し癒やしの空間と女将のこだわりが詰まった

おとぎの宿 米屋

「キレイになる朝ごはん」は、美魔女世代の女将さんの気づきから始まりました。40代後半から体型や肌のくすみが気になり、自分のキレイを見直すために食について勉強。そこでわかったことは、ダイエットやカロリーを気にするよりも、何をいつどのように食べるかが大切だということ。
実践したのは朝食の最初に生野菜や果物など酵素が豊富なものを食べてから他の物を食べる方法。
それだけで気づけば体重は5㎏減り、お肌のツヤも戻ってきたそう。これはぜひお客様にもおすすめしようと料理長と考えたのが「キレイになる朝ごはん」。朝の体は排出に向かう時間です。酵素、ビタミン、ミネラル、食物繊維はスムーズな代謝をサポート。
米屋の朝ごはんの始まりは、すりおろしにんじん入りのジュース。体を目覚めさせて内臓を活性化します。
そして生野菜と果物を一緒にいただくサラダを先に摂ることで血糖値の急上昇も抑えられ、食べすぎを防ぐこともできます。生ものだけでは内臓が冷えてしまいますので、次に温かいスープ。
あとは、つやつやの炊きたてごはんや幸せな旅館の朝食を自由に。美肌湯も美空間も美食もたっぷり楽しんでキレイになれる習慣が学べます。

福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
楽しい! カワイイ!
美味しい! で大興奮

夕食はおとぎ会席「しあわせな王子」。前菜はニンジンの王冠のカップをあけるとキューブ野菜が溢れ出します。福島牛の絶品すき焼きは白い冬野菜と一緒に。

福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
くつろげるデザインの客室は
専用温泉付き

デザイナーズチェアが印象的な部屋「花のあめ」は、朝になると寝室の窓に隠されたビー玉がキラキラ。源泉かけ流しの専用温泉があります。

福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
とろとろの感触にうっとり。
お肌すべすべの美肌温泉

敷地内に湧く自家源泉はこの宿でしか入れない美肌湯。大きな内湯や広い露天風呂はもちろんミストサウナまですべて源泉かけ流し。

福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
本を読んだり、お茶したり
思い思いの時間を過ごして

旅館内にあるカフェは宿泊者専用。有機栽培コーヒーやオーガニックティーも自由にいただけます。お土産は自家製シフォンケーキ、冬はジンジャーシフォンでほっこり。

福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
福島県 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋福島県須賀川市岩渕字笠木168-2 ☎0248-62-7200
平日2名利用の場合1泊2食付き1人¥24,000~¥33,500、「花のあめ」は¥30,500。
全室専用温泉付き・部屋によって内装デザインと値段が異なります。名物の夕食「おとぎ会席」は、
季節ごとにお話と内容が替わります。「きれいになる朝ごはん」は、一組ごとに白米と十五穀米が選べます。
宿坊の精進会席

塗りのお膳にのってやってくる精進料理は、京懐石のような美しさ。写真以外にも、前菜、お椀、揚げ物、焼き物、煮物などがある。使われる素材は、穀物や、豆、野菜、海藻。ボリュームはあれど食後感は軽く、デトックス効果も高い。

弘法大師 空海上人によって開創された高野山の清らかな空気に包まれ、自分と向き合う

高野山 別格本山 總持院

平安時代、弘法大師によって開かれた、標高900mの天空の聖地・高野山。山内にある117の寺院のうち、52カ寺が「宿坊」として利用できます。宿坊というと、そこに泊まること自体が厳格な修行のイメージですが、高野山の宿坊は、比較的おおらか。古くから宗旨を超えて人々を受け入れ、もてなしてきた歴史があるためでしょう。ただ、普通の宿と違うのは、お寺ならではの清らかな空気と、僧侶の方々がお世話をしてくださること。高野山大学に通う学生さんたちの、修行の一環ともなっているそうです。
高野山の中核を成す総本山金剛峯寺に隣接する「別格本山 總持院」は、とりわけ精進料理に定評のある宿坊。動物系の素材――肉はもとより鰹節や乳製品などは一切使わず、穀物、豆、旬の野菜や海藻などを駆使したお料理を、会席スタイルで楽しむことができます。
塗りのお膳にのって運ばれてくるのは、京懐石の料理人が監修した、見た目にも美しい品々。高野山名物の「ごま豆腐」をはじめ、魚の刺身に見立てた「生盛り(いけもり)」、旬の素材を使った「吹き寄せ」など、いずれも素材の滋味を堪能できるものばかりです。

高野山 別格本山 總持院
騒がしさとは無縁のお寺で
心静かに写経体験

右:夕暮れの町に浮かびあがる門をくぐると、大きく枝を広げる白藤の老樹が迎えてくれる。中:住職の宮田永明さん。左:希望すれば、写経体験も可能(1,000円)。般若心経の透かしのある半紙に、一字一字、書き入れていく。

高野山 別格本山 總持院
’15は高野山開創1200年の
記念すべき年。行くなら今です

右:弘法大師がおわす「奥の院」へと続く参道。四国遍路などを終えた人々が、結願の報告をする地でもある。樹齢約1000年の杉木立が気持ちいい。左上:高野山の入口にそびえる「大門」は、結界のシンボル。左右には金剛力士像(左下)が安置されている。

高野山 別格本山 總持院
宿坊で、朝まだ暗いうちに
始まる勤行に参加する

朝6時の鐘が鳴ると、勤行が始まる合図。本堂は、本尊の阿弥陀如来をはじめ、仏教美術的に見るべきものが多い。お経に耳を澄ませていると、身も心も洗われるよう。

高野山 別格本山 總持院
約1時間の勤行のあとの
朝食は、格別の美味しさ

炊きたての白いご飯に、味噌汁、炊き合わせ、湯豆腐など、シンプルながらも充実した朝食。勤行のあとなら、より美味しくいただくことができます。

高野山 別格本山 總持院
食事は客室で。大人数対応の
お部屋やテーブル席も

昼食だけでも利用可能。夜とほぼ同じメニューを味わえます。庭を望む客室に座っていただくもよし、正座が苦手な人やお年寄りのためには、テーブル席の用意も。

高野山 別格本山 總持院
高野山 別格本山 總持院和歌山県伊都郡高野町高野山143 ☎0736-56-2111
1泊2食付き¥16,000~、昼食¥5,000~(完全予約制)。※各料金はプラン、季節などによって変動あり。
チェックイン15:00~17:00・アウト10:00全14室の客室はすべて和室だが、収納ベッドのある部屋、
バリアフリーの部屋、浴室付きの部屋も。男女別の大浴場は、22時まで入浴可能。
設備のよさは、高野山の中でもトップクラスで、外国人、お年寄りにも人気。

撮影/楠 聖子、田村浩章 取材/石井宏子〈温泉ビューティ研究家〉、伊藤由起