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光文社厳選!和食情報ナビ

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WASHOKUでおもてなし Vol.6

湯山玲子さん 私がデイヴィッド・ホールバーグさんをもてなすなら……

音楽やアートの分野のハイカルチャーだけでなく、サブカルチャーにまで造詣が深い湯山玲子さん。その人脈は多岐にわたります。一筋縄ではいかないお相手のおもてなしのツボを伺いました。

土地のパワーが凝縮された野草料理にノックアウト

私が東京でおもてなしをするお相手は、アーティストやミュージシャン、デザイナーなどが主。みなさん何度も日本を訪れていることも多く、三ツ星の高級寿司屋から下町の居酒屋まですでに制覇しているので大抵のことでは驚かない強者ばかり。
そんな彼らをぜひ次回、連れて行きたいと思っているのが武蔵小山の禅料理のお店「蔬菜坊」です。どの駅からもアクセスがよくない路地裏のような場所にある一軒家でご夫婦ふたりで切り盛りしている、こぢんまりとしたお店です。
こちらのお店が際立っているのは徹底した精進料理に取り組んでいること。素材も国内に自生する季節の〝野草〟を取り入れているので、土地のパワーをそのままいただけます。野草は和食がブームになっても、日本でしか食べられないもの。ベジタリアンで過ごしている友人たちも大丈夫。プリンシパルダンサーのデイヴィッドは、非常に食の好奇心が強いタイプなので、絶対に好きなはず。

蔬菜坊(そさいぼう)

作家・ディレクター。東京都出身、学習院大学法学部卒。音楽家の湯山昭氏を父に持ち、現場主義をモットーにクラブカルチャーや映画、音楽、ファッション、食など文化全般に通じる。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」主宰。TOKYO MXテレビ「バラいろダンディ」(月〜金21:00〜21:55放送)の金曜日レギュラーコメンテーターとして出演中。

感謝と共にいただく食べる修行=禅料理

心と体で味わう禅料理ワールドに乾杯!

仏教のひとつの宗派である『禅』。その考えを料理に落とし込んだのが禅料理です。こちらの料理には一品一品に禅のストーリーが組み込まれていて、サービスされるたびにご主人自らが料理の成り立ちを丁寧にお話ししてくれるんです。
たとえば、名物でもある前菜の盛り合わせ。ひとつのお盆の上に〝甘・辛・酸・苦・塩〟の5つの味が盛り込まれています。
これは、それぞれの違いを個性として味わい、関わりあい、生かし生かされているという五行思想にも通じるルールを体現しているもの。
禅料理が単なるベジタリアンではなく、ここまで踏み込んで考えたうえでの料理だということは、まずガイドブックには書いてありませんから、知的好奇心の強いアーティストにはとてもびっくりされます。
禅鍋もお出汁にかつおぶしを使わない、徹底した精進料理なので生粋のベジタリアンの方でも安心。お酒は日本酒をぜひ。徹底した温度管理がされているので、間違いがありません。
海外の方でなくても、ちょっとした旅行気分になれる不思議な空間。
冬は鴨や鰤なども取り入れたお鍋も美味。雰囲気的にちょっと敷居が高いかもしれませんが、一度訪れたらその魅力をわかっていただけるはずです。

徹底した精進料理

徹底した精進料理

出汁は昆布、干し椎茸、人参、かんぴょう、大豆がベース。かつおぶしも使っていない完全なベジタリアン出汁。ベジタリアンのゲストにはこの出汁袋を見せると安心してくれるそう。鍋はもちろん、すべての料理に出汁として使用。

素材からインスパイア

素材からインスパイア

ご主人の野口勝朗さんは湯山さん曰く「神の手を持った料理人」。元来の料理好きでその土地でしか手に入らない稀少な食材を探して日本各地に出かけている行動派。日本酒も蔵元まで出かけてからでないと取り扱わないという徹底ぶり。

温度管理された日本酒

温度管理された日本酒

日本酒を美味しくいただくにはワイン同様の温度管理が大切。店奥のお座敷に鎮座しているのが巨大な日本酒用の2つの冷蔵庫。ラベルを眺めながら選べるので、自分とセンスの合うラベルで「ジャケ飲み」も楽しめます。

手土産にお渡しするなら

手土産には京都に本店のある宝永久2年頃に創業の香りの老舗、松栄堂の「塗香」(ずこう)を。お坊様が身を清め、邪気を近づけないために用いるお香で、一般の人でも写経をする時等に使うもの。黒檀でできた専用の塗香入れと巾着袋をセットにして差し上げます。

選んだ理由

撮影/石井宏明 ヘア&メーク/田中宏典(LA DONNA) 取材・文/安西繁美