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連載 第2回

「はせがわ酒店」へとっておきの1本を探しに。社長に聞けば聞くほど迷うことに!?

新連載2回目の今回は、ブームにのる日本酒の最新事情を探りに、俳優の前川泰之が有名酒販店へ。前回の日本酒フェアに引き続き、エンドレスな美酒銘酒のテイスティングに、またしても足元が揺らぎっぱなしのナビゲーター。30年以上にわたり日本酒業界をけん引してきた長谷川浩一社長の巧みなリードで、日本酒熱に拍車が掛かる!

ジャケット¥32,000ジレ¥20,000シャツ¥43,000パンツ¥19,000(以上トゥモローランド)チーフ¥2,800(ビームス エフ/ビームス 銀座)

前川泰之

販売の9割を占める純米酒。タブーだった酸が今、主流に!?

酒といえばビールにワイン、焼酎やハイボールが人気だけれど、ここに来て日本酒がブームの兆し。そうと聞けば、ナビゲーターとしては黙っていられない! 理由を探りに(もちろん飲みも♪)『はせがわ酒店』へ。長谷川浩一社長によれば、意外にも東日本大震災が影響しているらしい。「全国で東北の酒を応援しようという機運が一気に高まりました。東北は酒どころでいい日本酒も多く、このことをきっかけに本当の美味しさに目覚めたのだと思います」と長谷川社長。なるほど。震災で失ったものは計り知れないけれど、日本の文化を見直すことができたのは確か……。

海外でも日本酒人気は凄いらしい。ニューヨークではアッパーミドルに好まれていて、高い日本酒ほど、よく売れているそう。パリでは高級レストランが日本酒をオンリスト。ワイン好きを唸らせるだけの味わいはもちろん、日本酒の「手づくり感」に共感する人が多いようだ。日本人以上にわかっているかも(ヤバいぞ、オレ)。  長谷川社長に頼んで注目の日本酒を薦めてもらった。三重県津市の寒紅梅酒造「寒紅梅」は現蔵元・杜氏が銘酒「東一」の醸造責任者に弟子入りして、格段に旨くなったという酒だ。愛知県の萬乗醸造「醸し人九平次」に京都府の松本酒造「澤屋まつもと」。静岡県の磯自慢酒造「磯自慢」、秋田県の新政酒造「新政」も注目株だ。

今出回っている酒は、ほとんどが純米酒(※1)。ひと昔前に淡麗辛口(※2)が流行ったけれど、その反動でボディがしっかりした「十四代」のような酒が支持され、今は酸を基調にした日本酒が主流だそうだ。これまで日本酒業界では酸や甘みはタブーだったというから興味深いよね。技術が向上して良質な酒が増えたけれど、一方では味わいや香りが似る傾向にあるらしい。山田錦や五百万石に次ぐ酒米(※3)で新たな酒造りを始めた蔵もあるらしい。どの蔵も頑張っているのは、センスのある若手。「高級白ワインに負けない味になってきた」と長谷川社長も言うように、ワイングラスで飲んでもまったく違和感がない。「日本酒はワイングラスに限る……」なんてセリフ、オレにはまだ早いか(笑)。 結局、絞り切れずに「寒梅紅」「澤屋まつもと」“打倒シャンパン”を目指した微発泡うすにごり(※4)「美丈夫」の3本をマジ買い。長谷川社長いわく「偏らずにいろいろな種類を楽しむのが日本酒上級者への近道」だそう。あとは実践あるのみ!とか何とか言いながら、結局のところ、飲む口実が欲しいだけだったりして(笑)。

はせがわ酒店 パレスホテル東京店

1.長谷川浩一社長が推す6本。〈左から〉寒紅梅 純米吟醸55¥1,512。十四代 純米吟醸白鶴錦¥3,240。東一 雫搾り純米大吟醸¥5,400。新政 純米吟醸 S-type¥1,650。澤屋まつもとうるとら純米大吟醸¥3,402。磯自慢 大吟醸純米 エメラルド¥3,822。この他、醸し人九平次 純米大吟醸 雄町¥1,786、美丈夫 舞 うすにごり(微発泡)¥1,080も試飲。2.マジ買いに走るナビゲーター。この日、酒好きの親類に贈る手土産を3本購入。3.全国各地の蔵元を巡り東奔西走する長谷川浩一社長。4.昔ながらの酒販店とは一線を画すグレーを基調にしたスタイリッシュな空間。5.日本酒をグラスでテイスティング。1本に絞れないほど、どれもレベルが高い。

純米酒米、米麹、酵母、水のみで醸された酒。純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸、特別純米酒がある(特別、吟醸、大吟醸は精米歩合により異なる)。純米とつかない酒は、醸造アルコールが添加されている。
淡麗辛口日本酒の口当たりが水のようにさっぱりとしていてクセがないこと。一般的に、糖度と酸味の低いものを指す。厚みがあり芳香が立ち、濃醇な味わいは「芳醇旨口」。
酒米「日本酒を醸造する原料。酒造りに適した米のことで、大粒で、中心部が白く不透明に見える部分「心白」があり、デンプン質の含有量が多いのが特徴。山田錦、五百万石、美山錦、雄町などがある。
微発泡うすにごり「美丈夫 舞 うすにごり」のような発泡性のある日本酒はスパークリング清酒とも呼ばれ、麹の味わいと爽やかな飲み口で女性に人気が高い。噴出しやすいため、キャップは少しずつ開けては閉めてを繰り返す。
はせがわ酒店 パレスホテル東京店

撮影/寿 友紀 ヘア・メーク/山口理沙(+nine) スタイリング/中西ナオ 取材・文/粂 真美子