site_logo

光文社厳選!和食情報ナビ

story

NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 高知の「鰹」

回遊魚の鰹は、春先には九州沖から北上を始めます。
3月末から6月終わりまでがまさに旬の「初鰹」は1.5〜2kgぐらいで、身が締まって脂も少なくあっさりとした味わい。
一本釣りで傷も少ない鰹の姿は本当に美しい。

榊ゆり子さん、南国土佐で、夏の走りの佳味に出合う

3月中旬から下旬、黒潮にのって四国沖に来たのが初鰹。そして鰹料理の代表と言えば「鰹のたたき」。
土佐の一本釣りで有名な中土佐、久礼を訪ねて本場の鰹のたたき作りに挑戦しました。

土佐の一本釣りの地元、久礼で獲れた初鰹でたたき作りを体験しました

鰹をさばく
鰹をさばく

鰹をさばくのに使いやすい鰹包丁を使い、三枚におろしていきます。
頭を落とし、内臓を取り除き、ハランボを切り離します。
尾を持ち上げて尾ビレ方向から中骨に向けて包丁を浅く入れる。

鰹の三枚おろし

奥代さんに教わりながら、鰹を三枚におろし、きれいに2本のさくが完成。我ながら上手にできた!

土佐の一本釣りの地元、久礼で獲れた初鰹でたたき作りを体験しました

高知県は鰹の一世帯あたりの年間支出額と購入数量が全国1位。そしてその中でも特に土佐の一本釣りで有名な中土佐・久礼は、鰹漁が盛んな場所です。土佐沖で早ければ3月末から6月に水揚げされる初鰹の旬の季節がやってきました。
高知と言えば誰もが必ずと言っていいほど食べる郷土料理が「鰹のたたき」。鰹のたたきはとにかく鮮度が命と言われています。地のものだけを使って、まるまる1匹をさばくところから「鰹のたたき」作りの体験ができるところがあると聞いて、さっそく体験しに出かけました。訪れたのは久礼港が見下ろせる「黒潮工房」。鰹を三枚におろすところから藁で焼くところまで体験できます。

まるまる1匹の鰹をさばくなんて初めてのことなので、ちょっとドキドキします。とてもきれいな鰹ですね

今、まさに初鰹の旬の時期で、土佐沖で獲れたものですから。土佐の一本釣りで獲った鰹はきれいでしょ?
一本一本釣り上げられているから、巻き網と違って魚同士がぶつかってこすれ合うこともなく、姿がとてもきれいなんです。

巻き網だとこんなにきれいじゃないんですか?

そうですよ。もっとこすれてこすれて、表面に傷がいっぱいついてしまいますから。

そうなんですね。では鰹のたたき体験、よろしくお願いいたします。出刃包丁じゃなくて細い包丁を使うんですね

これは鰹包丁と言って、鰹だけじゃなく鮪などをさばくときにも使います。細長い包丁なのでとても使いやすいと思います。まず鰹の頭を上にして腹ビレの下に包丁を入れ、次に胸ビレに沿って包丁を入れてグッと力を入れて中骨を切り、頭を落とします。

結構力がいるのかと思ったけど、思ったよりも楽にできました

このとき頭の中にある心臓を取ります。そして尾ビレ付近からハランボを取るように浅く包丁を入れて、内臓を取り除きまず。そのあとハランボを切り離します。

ハランボってなんですか?

ハランボは腹身で脂の多いところ。塩焼きにすると美味しいんですよ。

ものすごく鮮やかな赤い色ですね。鮮度を見るときにはどこを見たらいいのですか?

鮮やかな赤は新鮮な証拠。全体の色とか血合いの色がピンクとか赤なら大丈夫。これが日が経ってしまうと白っぽくなってしまうし、冷凍もんを解凍すると黒っぽい赤になります。鰹は赤の色で鮮度がわかります。とにかく鮮度が命なんです。これで三枚におろして腹節と背節ができました。

なるほど。ところで話は変わりますが、そもそも初鰹と戻り鰹はどういうふうに違うのですか?

初鰹は春先に九州沖から北上を始め、1・5〜2kgと小ぶりで身も締まっているので脂が少なくサッパリしています。でも今年はちょっと大きくて、去年と比べて脂が乗ってますね。今日の鰹は3kgぐらいのものを用意しました。このくらいの大きさが一番使いやすく、一番値も張ります。そして戻り鰹は秋に三陸沖まで達すると南下します。脂が1㎝ぐらい乗っていて、頭を落としたときにすぐにわかる。脂がありすぎると日持ちがしないし、脂がすぐに回って色も変わりやすく鮮度がすぐに落ちてしまいます。久礼は鰹漁の本場だから、高知の中でも鰹を食べる頻度も高いし、鰹の良し悪しもよくわかるのです。

そんな新鮮な鰹をたたきにするなんて贅沢ですね

三枚におろし腹節と背節ができたら、鰹を藁で炙るので網に乗せます。表面の皮が茶色に変わるのが目安。炙りたては藁の香りが鰹に移り、本当にいい香り。
鰹のたたき

自分で三枚におろして、炙って作った鰹のたたき。
藁の香りが香ばしく作りたてをいただくのは初めてです。
さすが、本場のまさに旬の鰹はこの鮮やかな赤い色がきれいで感動しました。

作りたてのたたきには 香ばしい藁の香りが

今でこそ新鮮な鰹がそのまま食べられるけど、昔は氷も効いてなくて鮮度が悪かったことがありましたから、軽く炙って火を通して食べるという食べ方でした。でも美味しい鰹のたたきは何よりも素材。そしてたたきの醍醐味は藁焼きです。

焼くときのポイントは?

焼き目はもちろん大切ですが、香りが一番。藁の香り。皮の表面の色が茶色に変わる、その茶色が目安になります。戻り鰹は脂が乗っているから炙ってすぐに触ると火傷します。脂があることで逆に初鰹ほど火が入らないので、やり過ぎてしまうとよけいに火が入ってしまうので、ほどほどでやめましょう。

このたたき作りの体験のお値段はおいくらですか?

初級と中級がありまして、まるまる1匹さばいて藁焼きまでは中級で鰹料金(時価)+¥1,500です。

ほかに地元の方ならではの美味しい食べ方はありますか?

あと、地のものでもっと鮮度がよければ「グビ」という、まだ身がかたまっていない状態、鯛で身がグリグリしたのがあるでしょ。あんな感じのがあるんですよ。本当の釣りたてにしかない、身が氷で締まっていない状態のもの。ぐにゃぐにゃしているんです。それは地元でしか食べられないものですね。美味しい鰹は何もつけなくても美味しい。あとは夏になったら宗田鰹。地元ではメジカといい、柑橘類を搾って食べます。そんな食べ方も久礼が始まりです。

黒潮工房

地の生の鰹しか使わない、藁焼きの「鰹のたたき」作りを体験

久礼湾を見下ろせる高台に位置する湯宿「黒潮本陣」に併設された「黒潮工房」では、4月から10月は地元・久礼で獲れたての鰹を使って鰹のたたき作りが体験できます。鰹のほか店内ではその季節にしか食べられない旬の魚もある。

高知県高岡郡中土佐町久礼8009-11 / TEL0889-40-1160
8:00〜15:00(食事10:30〜14:30) 休み:第2木曜
鰹タタキ体験(4〜10月)要予約 初級コース/かつお料金(時価)+¥800、 中級コース/かつお料金(時価)+¥1,500

黒潮工房

新鮮な鰹が食べられるから、地元ならではのオリジナル料理も豊富です

  • 和食・宴・あずま
  • 和食・宴・あずま

黒潮に乗って高知の土佐沖に上って、いよいよ初鰹の旬がやってきました。小ぶりで身が引き締まり脂も少ないさっぱりした味が初鰹の醍醐味。
高知の中でも特に鰹をよく食べている中土佐 では、新鮮な鰹そのものが味わえるお 刺身、塩たたきはもちろん土佐巻寿司、ハランボの塩焼きなど地元ならではの鰹料理も堪能できます。
地のもので鮮 度がいい鰹がさらに獲れたてになると、「グビ」というまだ身がかたまっていない本当の獲れたてに出会うことも。
それは本当に珍しくて地元でもめったに食べられない、釣りたてにしかないものだそう。美味しい鰹は何もつけなくても、鰹そのものの味が美味しいんです。赤が美しい鰹が高知の初夏を告げています。

和食・宴・あずま

撮影/谷口 京 モデル/榊ゆり子 スタイリスト/大塩リエ ヘア・メーク/栄 美穂 取材/根田了子 構成/秋山美英