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能登で伝統を守る酒蔵を見学

山口で「獺祭」三昧、能登で新進の酒蔵めぐり 東でグビッ、西でグビッ 日本酒呑み歩きの旅

「名水のあるところに美酒あり」と言われるほど、日本酒造りに良質な水は欠かせません。水が良い土地では、自ずと美味しい食材が生まれます。海と山と名湯に恵まれた、自然豊かな能登と山口を訪ねました。

  • 鶴野酒造店
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  • 鶴野酒造店
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  • 鶴野酒造店

1.怪我で酒造りの現場に立てなくなったご主人に代わって、創業200年を越える老舗、鶴野酒造の酒造りの指揮を執っているのが、蔵元の女将である鶴野みどりさん。2・3.何種類かの銘柄のラベルを女将自ら手書きをしています。蔵の片隅でラベルを書くこともあるそう。お酒を大切に想う心が伝わります。4.長女の薫子さんは、貯蔵されていた昔の吟醸酒を再現し造りたいとのこと。一樽任される日も近いとか。5.経験豊富な蔵人たちが昔ながらの製法でお酒造りをしています。

伝統を守りながらも
新たな試みに挑戦して
日本酒の人気を
けん引し続けています

母親の背中を追って蔵人の世界へ
酒造りに魂を込めた24歳の挑戦

漁師町の鵜川町に母と娘が切り盛りする鶴野酒造店があります。二人が精魂込めて造るお酒は、やさしい旨みとキレのいい辛口が特長。一度口にしたら、必ずまた飲みたくなる味です。厳しい酒造りを生き甲斐とする母の背中を見て、この世界に飛び込んだ娘。母娘2代で引き継ぐ酒蔵の伝統と個性がそこにあります。

  • 鶴野酒造店
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鶴野酒造店

石川県鳳珠郡能登町鵜川19-64 ☎0768-67-2311
営業 8:30〜19:00(土日祝~18:00) 休み 年末年始

❶谷泉 特別本醸造 スッキリとした旨みが口に広がり、冷やでも燗でもいけるお酒。
❷谷泉 純米吟醸 なめらかなさらりとした飲み口。米の旨みを秘めた吟醸香が漂い、心地よい酸味も味わえます。冷やかぬる燗で。

若手が活躍する能登の酒蔵

新しい動きによって酒蔵が活気に溢れています

次世代を担う若き蔵元社長と
若女将が作り出す新しき伝統

あばれ祭りで有名な宇出津の数馬酒造は昨年、長年の杜氏制度を廃止し、20代の若き社長を中心に蔵人たちと、勘と経験だけに頼らない、社員が主体となった酒造りに挑戦し始めました。若女将のしほりさんは、その革新的な発想を外に向けて発信するのが仕事。新たな伝統作りはまだ始まったばかりです。

数馬酒造
若女将のしほりさんは、蔵見学の案内、ホームページのリニューアル等で会社をサポートしています。
  • 数馬酒造
  • 数馬酒造
  • 数馬酒造

1.数馬社長と米農家・裏さん、地元企業が中心となってスタートした「N-project」。「若者が能登も農業も日本酒も盛り上げよう」と県内の大学生が休耕田を利用し、無農薬の米作りから始める日本酒をプロデュース。蔵に泊まって仕込みを行いオリジナルの酒を造りました。2.愛知県の販売店の社員さんが酒造り体験に。酒造りを知ることで、販売にも熱が入ります。3.昨年から杜氏制度を廃止し、平均年齢34歳で酒造りに挑んでいます。

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数馬酒造

石川県鳳珠郡能登町宇出津へ字36番地 ☎0768-62-1200
営業 8:30〜18:30 休み 毎月第2・4日曜

❶能登純米は、能登産の山田錦で造られた純米酒。2014年マドリッドフュージョンで絶賛された力強さと喉越しのよいお酒。❷竹葉吟醸無濾過袋しぼりは、熟した果物のような吟醸香と綺麗な後味が特長の大吟醸生酒。

姉妹のアイデアから生まれた
新ジャンルの日本酒リキュール

能登町松波で約145年酒造りを行う松波酒造は、姉妹が酒蔵を守っています。女性に日本酒をもっと気軽に楽しんでほしいと作ったのが日本酒のリキュール。中でもゆず酒は、自家農園のゆずを丁寧に搾って作り、日本酒のコクとゆずの豊かな香りが絶妙。女性ならではの発想が生み出す、日本酒の新ジャンルです。

松波酒造
酒造りは杜氏を中心に社長をはじめ、蔵人の美貴子さんと社員全員で行います。槽(ふね)という昔ながらの道具を使い、2日間かけてモロミとお酒と酒粕に分けます。
  • 松波酒造
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  • 松波酒造
  • 松波酒造

1.能登産のトマト、自家農園で育てたゆずや柿を日本酒に漬け込んだ能登リキュール。2.伝統的な和釜甑で酒米を蒸します。3.お客さんの質問に答えられるようになりたくて蔵人になったという次女の美貴子さん。長女の聖子さんは、蔵元として日本に留まらず海外へも日本酒の美味しさを広めています。4.糟袋から1枚ずつ酒粕を取り出します。

  • 松波酒造
  • 松波酒造
松波酒造

石川県鳳珠郡能登町松波30-114 ☎0768-72-0005
営業 8:00〜19:30 休み1月1日〜4日

大江山 にごり酒「波の花」は、毎年最初に仕込んだ本醸造のモロミを手作業で粗く漉しています。加熱処理をしないため酵母が生きています。アルコール度数20%でのどごしがよく、女性好みのスパークリングのにごり酒。

能登を満喫する食事やお風呂

里山里海の旨いもんを輪島塗でいただく

毎日の暮らしが豊かになる
食卓に寄り添う漆の器

漆器をハレの日だけでなく普段使いできるスタイルを提案しているギャラリー蔦屋。とかく漆器は扱いが大変で使いにくそうと思われがちですが、他の食器と同様、中性洗剤とスポンジで洗えるそう。和でも洋でも料理を選ばない万能な漆器。手に取って、口に触れてみれば、大らかさと温かみが伝わってきます。

ギャラリー蔦屋
ギャラリー蔦屋
七代目にあたる長男・大工治彦氏デザインの片口は、鳥のくちばしをモチーフにしたデザイン。片口と杯は上塗りを朱色で塗って、その表面に透明な漆(透き漆)を塗り重ねて仕上げた溜塗の手法。
漆特有な茶褐色の表面から下の層の朱色がぼんやり顔をのぞかせ、使うほどに艶が出て、味わいが増します。
片口¥60,000 杯¥12,000
  • ギャラリー蔦屋
  • ギャラリー蔦屋
ギャラリー蔦屋

石川県輪島市河井町3-103 ☎0768-22-0072 不定休 営業10:00〜17:00

蔦屋は曹洞宗の本山、總持寺の御用達として、万延元(1860)年創業の老舗。築88年の自宅の一部と蔵を改装し、ギャラリーとして公開。ギャラリーでは、漆器の扱い方や使い方の提案、実際に使ってみることもできます。

魚を買うならここ!
輪島の朝市といえば
「おとみさん」

輪島の朝市は、威勢のいい女衆の「買うてくだぁー」の呼び声で活気に溢れています。88歳になるおとみさんの露店は人だかりができるほど大人気。おとみさんは、朝市だけではなく、住吉神社の境内で開かれる夕市にも出店し、輪島の台所を支えています。

輪島 朝市
輪島 朝市
輪島の朝市は千葉県の勝浦朝市、岐阜の宮川朝市と並ぶ日本三大朝市のひとつ。野菜などは周辺農家のお母さんが、魚介や海藻は漁師町の女衆が売りに出ます。
値段は売り手と買い手の交渉次第。それも朝市の楽しみのひとつです。
  • 輪島 朝市
輪島 朝市

現在では200以上の露店が並び、毎朝にぎわっています。☎0768-22-7653(輪島市朝市組合) 営業 8:00〜11:30頃、休み第2・4水曜(1月1日〜3日は休み、臨時休業あり)

世界農業遺産に選ばれた
能登の新鮮な食材をフレンチに託して

明治時代の塗師屋をリノベーションした、輪島らしさ漂うフレンチレストラン。「料理を通して、能登の食材や生産者の声、輪島塗の文化を知っていただき、それを多くの人に伝えてほしい。この店が輪島の情報発信の拠点になれたら」という池端シェフ。その想いが料理に込められています。

ラトリエ・ドゥ・ノト
ランチ¥5,250(税別)のコースは、2品の前菜から始まり、つきだし、リゾット、魚料理、お口直しのグラニラ、肉料理、デザートの全8品。つきだしは、石目乾湿気泡のプレートで、前菜は黒の輪島塗のプレート。いずれもギャラリー蔦屋の漆器を使っています。
ラトリエ・ドゥ・ノト
ラトリエ・ドゥ・ノト

石川県輪島市河井町4-142
☎0768-23-4488(予約受付番号)ランチ11:30〜13:30(L.O.)¥3,300、¥5,250、¥8,400 ディナー18:00〜21:00(L.O.)¥5,250、¥8,400、¥12,600 休み 月曜(終日)、火曜(ランチ)

能登の食材にこだわり、ここでしか食べることのできないスペシャルメニューです。

刻一刻変わる穏やかな
九十九湾の景色に心を奪われます

日本百景にも選ばれている、穏やかな九十九湾の眺望が、どのお部屋からも楽しめる洞窟風呂の宿。四季折々の里山、里海の料理を堪能し、海洋深層水の洞窟風呂に入って心身ともに癒される。百楽荘の名前の由来である、思い思いの過ごし方、百通りの楽しみが思う存分満喫できます。

百楽荘
1.77歳の老石工が、3年の歳月をかけてつるはし1本で掘った手掘りの洞窟風呂。九十九湾からくみ上げた海洋深層水は、美肌、保湿作用が。2.能登島の高野農園の野菜と能登牛を能登の珪藻土で作られた七輪で焼いて。3.専用の釣り桟橋では、アジやカワハギなどの魚を釣ることができます。4.景色を楽しめるスイートルーム。5.3月〜4月は宗玄の酒粕を使ったお出汁で、桜鯛や富山湾のホタルイカなどのしゃぶしゃぶをご用意。
百楽荘
百楽荘

石川県鳳珠郡能登越坂11-34
☎0768-74-1115

全室露天風呂付きスイートルームは4つのタイプから選べます。その他、様々なお部屋のタイプやプランをご用意。
スイートルーム2名1室ご利用時、お一人様あたり¥42,500(税別)〜(季節により変動あり)
チェックイン15:00〜、チェックアウト11:00

現代化された獺祭の酒造り

型にはまらない自由な発想で
日本酒のイメージをくつがえし
獺祭ブランドを確立しました

斬新なひらめきと緻密な計算によって
世界に誇れる日本酒が生まれました

岩国市の小さな集落にある旭酒造は、モダンフレンチの巨匠ジョエル・ロブション氏をして「日本酒と知らず口にして、恋に落ちた」と言わしめた、世界に通じる日本一有名な日本酒です。これをきっかけにフレンチと日本酒のマリアージュが広く知られることになり、獺祭はまさに日本酒の文化を担う親善大使となりました。

獺祭ストア 直売所
米の磨きにこだわり軽やかな味わいが
女性の間でも大人気に

(左)獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分は、山田錦を23%まで磨き、最高の大吟醸に仕上げました。華やかな香りと蜜のような甘みが特長。美しい余韻が続きます。(中)獺祭 磨き三割九分 スパークリングは、きめ細やかさとパワフルな発泡が同時に味わえる。「ワイングラスで美味しい日本酒アワード」2015年スパークリング部門で金賞を受賞。
獺祭ストア 直売所
今では、日本一入手困難な日本酒としてその名を轟かせる「獺祭」。その名前の由来は、カワウソが獲った魚を河原に並べる習性が、神仏に供え物をするようだということから付いた名称だそうです。
  • 獺祭ストア 直売所
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新たな革新に挑んでかつてない酒造りを開拓する

(左)23%という米の精米歩合は、米の磨き歩合としては日本最高峰。華やかな香りと芳醇な味、濃密な旨みが一体となり世界が賞賛する獺祭が生まれるのです。(右)麹室は衛生面を重視し、ステンレスの壁に。天井の除湿機が湿度をコントロールし、麹の状態はデジタル数値で管理しています。繊細な床もみ作業は手作業で行います。

  • 獺祭ストア 直売所
  • 獺祭ストア 直売所

製造環境を整え徹底した管理のもと安定した酒造りが叶う

(左)3,000ℓのタンクが100本設置されている発酵室では、年間を通して室内を5℃に設定し、自然発酵熱ともろみの櫂入れ作業の強弱のバランスで発酵を制御をしています。1タンクごとにデータを取り毎日正確に管理されています。(右)通常のお酒のように袋など機械的に圧をかけて絞るのではなく、無加圧状態で、もろみからお酒を遠心分離させると雑味が出ません。

  • 獺祭ストア 直売所
  • 獺祭ストア 直売所
  • 獺祭ストア 直売所
獺祭ストア 直売所

山口県岩国市周東町獺越2128 ☎0827-86-0800
営業 月〜日・祝日 9:00〜17:00

直売店では、実際に試飲ができます。2種類飲み比べの場合、各¥100。獺祭の最高峰である「磨き その先へ」は1杯¥1,000でお試しできます。入手困難な獺祭を購入することができますが、購入は本数制限される場合があります。

山口の歴史と文化を感じる

それぞれの熱き想いが重なって
山口に新しい風が吹いています

若手作家を発掘し
器の魅力を多くの人に伝えたい

何気ない日々の食卓に彩りを添える器、作家の個性が光る存在感のある器。JIBITAが提案する器は、作り手の想いに触れるような力強さが発見できます。萩焼だけに留まらず、まだ世に出ていない若手作家を発掘するのも得意だそう。デザイン性だけではなく、すぐに使いたくなる器に出合えます。

JIBITA
萩焼の徳利とぐい呑みは、若手作家の渋谷英一氏のもの。萩焼は、萩の七化けと呼ばれ、使ううちに渋みが加わり経年美が楽しめます。徳利¥15,000、ぐい呑み¥10,000、萩焼を身近にと考えて作ったJIBITAと作家のコラボのお皿。
JIBITA
JIBITA

山口県萩市大字古萩町25-27
☎0838-25-6994
営業 9:00〜17:00
休み 第三日曜日、他不定休
http://www.jibita.com

JIBITA代表熊谷信力氏が活動する「N-400」プロジェクトは、萩焼を再興することを目的として、窯元とコラボし毎日使いたくなる器作りを目指して活動を行う。器だけではなく、料理やお酒などトータルにブランディング。

湯田温泉の情報発信地!
足湯に浸かりながら情報収集できます

湯田温泉の情報を一気に収集できる最新スポット「狐の足あと」には、屋内外に3種類の特徴ある足湯があります。
併設されているカフェでは、地元のお酒や地ビール、スイーツもいただけます。足湯に浸かりながら情報をキャッチしたら、湯田の街に繰り出して買物を楽しんでみては。

狐の足あと
併設のカフェメニューには、足湯に浸かりながら楽しめる利き酒セットがあります。山口在住の明石峰子さんは「湯田から車で30分セット」を注文。「貴」「わかむすめ」「山頭火」の3種類が味わえます。獺祭など県下18蔵の銘柄が揃います。
狐の足あと
狐の足あと

山口県山口市湯田温泉2-1-3
☎083-921-8818
営業 8:00〜22:00 無休 入場無料

足湯利用は大人¥200、小中学生¥100利き酒セットは¥500。湯田温泉はアルカリ性単純温泉でお肌をすべすべにする効果があり、美人の湯ともいわれています。神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復に効果があります。

一皿から景色が思い浮かぶように
山口の食材にこだわる

メニューが観光マップになるように徹底的に地元食材にこだわるという橋本シェフ。「スポットが当たっていない食材を探して、それを料理に使う。生産者が自分の作ったものに誇りを持てたら嬉しいです」。料理と器の組合わせが美しく、料理そのものから山口の景色を感じる一皿です。

ル・ソルシエ
器も景色の一部。料理をイメージして器をオーダーすることも。
¥5,400の昼のコースも地元食材にこだわった上質なフレンチ。
ル・ソルシエ
ル・ソルシエ

昼と夜4名まで1組とし予約が可能。
4日営業(水・木・金・土)日曜日は要相談。住所、電話番号は非公開。
連絡先はメールにて
sorcier@le-sorcier.net
営業 昼12:00〜15:00 夜18:00〜22:00メニューは¥5,400(お昼限定)、¥7,560、¥10,800の3コース。

「ただいま」の感覚で
いつも変わらないおもてなしを

開湯600年を誇る山口随一の歴史を持つ長門湯本温泉の「別邸 音信」。日本文化の真髄を随所に取り入れたモダンな佇まい。「履物を脱ぐ」「座る」「風通しのよさ」といった和の暮らしのエッセンスを、さりげなく感じることができます。「ただいま」を声にしたくなる癒しの宿です。

音信otozure
1.三土料理(土産、土法、土食)の哲学を季節の食材で表現。2.部屋は全部で18室。全室露天風呂が付いています。3.日本酒好きの間で注目の山口県のお酒。4.お風呂はとろみがあるアルカリ性単純泉。美肌、保湿に優れています。5.グランデスパotozureでは、獺祭の酒粕と米粉を用いたフットスクラブが体験でき、精油を使用したボディトリートメント(60分)+スカルプケア(10分)80分 ¥22,000のコースを用意。
音信otozure
音信otozure

山口県長門市湯本温泉
☎0837-25-3377

テラス付き和洋室2名1室の場合1泊2食付きひとり¥48,000〜 、グランデスパアロマトリートメント付きプラン(60分のコースがセットに)(平日2名の利用)10畳和室+TW 2食付き¥100,000。チェックイン14:00〜チェックアウト11:00。客室は、和室の部屋の他に洋室のリビングを備えた和洋室、メゾネット型の洋室など、7タイプの部屋を用意。

撮影/吉澤健太 取材/前田美紀
撮影協力/加賀能登 食べる通信 http://taberu.me/kaganoto

美ST 2016年5月号より