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光文社厳選!和食情報ナビ

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最先端のモダンフレンチで世界が求める日本酒を実感!

フランス料理と日本酒のマリアージュに答えはあるか?

これまでの連載を通して、どんな料理とも相性がよく、食中酒に最適であることを証明してきた日本酒。
今号はさらにハードルを上げて、最先端をいく新世代のガストロノミーとの関係性にクローズアップ。
注目のシェフによる革新の料理とのマリアージュを探ってみた。いつもより格好よさも増し増しで(?)、驚きの体験をリポートしよう。

前川泰之
経産牛と牡蠣に合わせたのは、ナビゲーターが愛飲する「新政」。
モダンガストロノミーの最先端を走る料理と日本酒のマッチングに「旨~い」と叫ぶしかない前川泰之。ジャケット¥110,000ジレ¥45,000(共にL.B.M.1911/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター)シャツ¥25,520(TAKEO KIKUCHI)パンツ¥18,000(デザインワークス/デザインワークス ドゥ・コート銀座店)チーフ私物

前川泰之のSAKEを巡る冒険

ワインと比較にならない“旨味”が強み

日本酒が飲みたくなると、迷わず和食を選んでいたかつての俺。連載スタート後は、どんな料理も受け止める日本酒の懐ろの深さにますます心酔し、気がつけばすっかり骨抜き状態に。今回は新しいチャレンジとして、フランス料理とのマリアージュを試みてみた。
訪れたのは、外苑前のフレンチ・レストラン「フロリレージュ」。予約が取りづらいだけでなく、「アジアのベストレストラン50」※1で本年度の「注目のレストラン」賞を受賞したことでも話題だ。
シェフの川手寛康さんはフレンチでありながら日本の風土を感じさせる国産食材にこだわり、メッセージ性の高い料理をコースで提案している。
「日本人シェフが日本で作るフランス料理ならば日本酒を使わない手はない」と、早くからメニューにオンリスト。
現在は、料理ごとに最良の酒やカクテルを合わせる「ペアリング・コース」を打ち出し、注目を集めている。

期待が高まるなか、まず登場したのが「すっぽんのコンフィとフラン」。合わせる日本酒は「仙禽一聲」※2だ。
すっぽんは4時間ほど塩水につけてクサみを抜くそうだが、川手さんによればわずかに残る匂いは「日本酒でしか流せない」とか。
脂にくどさはないがゼラチン質らしいこってりとした旨味があり、日本酒を飲むとすっきりとさせ、ひと口ごとにリセットできる。合うわ~合う、合う!

2品目の「サスティナビリティー、牛と牡蠣」には「新政 新年純米しぼりたて生酒」をチョイス。
「牛肉イコール赤ワインという単純な図式は成り立たない。この料理のポイントは、牡蠣の旨味成分。
ワインとは比較にならないほど旨味があり甘味もある日本酒が最適です」と、川手シェフ。こちらは美味の余韻が広がる、広がる!

料理によっては日本酒にショウガのしぼり汁を1滴落としたカクテルや、熱燗にすりおろしたチーズを加えて提供することもあるそうだ。
「日本はもともとヒレ酒のように日本酒に何かを加えて飲む習慣があります。5~6度の温度変化しかないワインと違い、日本酒は冷酒から熱燗まで幅があるのも強みです。フレンチは味を重ねていく料理でしたが、最近は素材をよりストレートに表現するシェフが増えてきた。
そうした傾向もあり、世界中で日本酒が求められているのだと思います」と、川手シェフ。現代フレンチと日本酒は相思相愛の関係ということをしみじみ実感させていただきました。あまりの感動に、ちゃっかり予約を入れたりして(←実話)。

フロリレージュ フロリレージュ フロリレージュ フロリレージュ フロリレージュ フロリレージュ フロリレージュ
  1. 『恵比寿Q.E.D. CLUB』『オオハラ エ シイアイイー』『ル・ブルギニオン』『カンテサンス』ではスーシェフを経験後、独立。次世代を牽引するシェフの川手寛康氏。
  2. 経産牛と牡蠣のタルタル、トマト、じゃがいものピュレの燻製を巻き込んだひと品。牛乳にかわり、海のミルク=牡蠣を合わせて。
    料理は共に¥11,500のディナーコースよりの一例。
  3. 日本酒×和食のセオリーから解き放たれ、モダンガストロノミーとの組み合わせにご満悦の様子。
  4. 日本酒愛がますます加速中の前川。
  5. すっぽんのコンフィとフラン。他の部位に比べ味が深い前腕を90度で30分間コンフィに。
    和食にはないこってり感を、キリッとした「仙禽一聲」が余韻を残しながら洗い流す。
  6. 酸味のある「仙禽 ドルチェ・ロッソ」の熱燗に長野県清水牧場の長期熟成硬質チーズ「バッカス」を合わせて。意表を突くペアリングも魅力。
  7. 左からテロワールのポテンシャルを引き出し、すっきりとした味わいの「仙禽一聲」。搾りたてのりんごのようにフルーティな「新政 新年純米しぼりたて生酒」。
アジアのベストレストラン50 ※1イギリスの専門誌『レストラン・マガジン』が主宰しサンペレグリノ&アクアパンナがメインスポンサーを務めるイベント。料理評論家、シェフ、レストランオーナー、著名な美食家などが評議員となり、世界中のレストランから時代の先端をいくレストランをランキングする「世界のベストレストラン50」のアジア版として2013年にスタート。
仙禽 ※2江戸時代後期1806年に創業した栃木県さくら市の老舗酒蔵。大谷石の蔵で醸される酒には、鬼怒川の伏流水と栃木県産の米を使用。木桶仕込みを復活させるなど伝統的な酒造りにこだわる一方、現代人の嗜好に適応して「酸」を意識し、変革する柔軟性をテーマに酒を醸している。
フロリレージュ
フロリレージュ

2015年の移転を機に、オープンキッチンのカウンターを採用。国産食材にこだわるコース料理を提案する。
●東京都渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑B1/電話03-6440-0878
営業 12:00~13:30L.O.、18:30~20:00L.O. 休み:水曜

前川泰之
1973年生まれ。俳優。ドラマ、映画、バラエティで活躍。NHK大河ドラマ『真田丸』では武将 春日信達役を熱演。近況はアメブロ「前川泰之Official Blog」でチェックを。趣味は釣り、アウトドア、陶芸、神社巡り。

Gainer 2016年4月号より

撮影/寿 友紀 スタイリング/中西ナオ ヘア・メーク/山口理沙(+nine)取材・文/粂 真美子