site_logo

光文社厳選!和食情報ナビ

story

NIPPONの「和食遺産」を巡る旅 郷土料理編 倉本康子さん、福岡から天草へ冬の美味を味わい尽くす旅

各地に伝わる郷土の味覚を紹介する旅の連載も今回で最終回。初冬の九州を訪れ、旬の新鮮な海の幸を堪能しました。
連載は終了となりますが、世界に誇る文化遺産である「和食」や日本の魅力を伝える企画は、今後も折々に掲載していきたいと思っておりますので、どうぞご期待ください。

初日は博多であら料理を満喫。
さらに庶民の味ごぼう天うどんも
いただきました。

翌日は、九州新幹線で熊本に移動して、特急「A列車で行こう」で天草へ。

終点三角駅で降りたら港へ。シークルーズで天草本渡まで約1時間の船旅へ。

天草では、世界遺産候補の﨑津教会がある漁師町で猫たちの歓迎を受けました。

博多の冬の味覚「あら鍋」はフグを凌ぐ鍋料理の横綱

あら(クエ)
あら(クエ)はハタ科の大形魚で、成長期には6本のまだらな縞があるが、成魚になるにつれ薄くなる。大きなものでは体長1m、重さ20kgを超える。市場には出回らない高級魚でスズキ科のアラとは別種。

大相撲九州場所が始まり、九州を代表する祭り「唐津くんち」が開催される11月に入ると、博多の料理屋や寿司屋は「あら」料理一色になるといわれています。
福岡では力士たちが「あら」のちゃんこ鍋を、唐津くんちでは、大鍋で丸ごと炊いた「あら」の姿煮を振る舞うのは有名で、長崎の卓袱(しっぽく)料理でも「あら」の湯引きは欠かせない一品です。九州で「あら」とはクエのこと。
体長60〜70cmの大形魚で、なかには1mを超えるものもいるそう。水深50mほどの岩礁に生息し、群れを作らず回遊しないため漁獲量が少なく、幻の魚と呼ばれるほど。
とくに対馬〜平戸、佐世保沖などで水揚げされる天然物は脂ののりがよく、味も極上とされています。身は淡泊で肉のような弾力があり、身と皮の間にはゼラチン質が多く、カマにもこってりと脂がのっていて、旨みがたっぷり。
“一度クエを食ったら他の魚はクエない”といわれるのもしかり。刺身、鍋、塩焼き、煮付け、唐揚げなど調理法も多彩で、内臓も珍味として人気があります。

  • あら鍋唐揚げにした身はやわらかく、淡泊な味わい。皮の部分の唐揚げもパリパリして美味しい。
  • あら鍋あらの塩焼き。脂がのっていて、弾力のあるしっかりとした歯ごたえ。添えられているのは、ひしの実。
  • あら鍋刺身はクセがなく上品な味わい。湯通しした内臓やエラが添えられているのは一尾丸ごとさばいている証拠。
  • あら鍋鍋には骨付きのぶつ切りを。身と皮の間のゼラチン質にはコラーゲンがたっぷり。とくに目玉の周囲は絶品。

分厚く切った身を昆布出汁でしゃぶしゃぶに。よく湯通しし、中は少しレアで食すのがコツ。身1枚¥1,500の贅沢な料理。

あら料理で名高い博多の「相撲茶屋 大塚」を訪ねました

あら
ニット¥24,000フレアスカート¥22,000(ともにキャラ・オ・クルス)
あら
通常の魚のようにはウロコが取れないので、皮を剝いでウロコを一緒にすき取ります。

倉本「かなり大きな魚ですね。大きいほど脂がのって美味しいのですか?」

――これは小さいほうですが、10〜15kgの若い「あら」が美味しいです。

倉本「冬しか食べられないのですか?」

――鍋が主体なので冬が旬といわれていますが、あらは一年中獲れるので、うちでは夏も予約を受けています。

倉本「三枚に下ろすときれいな白身ですね。見た目と中身は大違い(笑)」

――皮ごと引いてウロコを取りますが、皮も揚げると美味しいし、骨付きの身は鍋でいい出汁が出ます。内臓も食べられるので捨てるところがないんです。

倉本「丸ごと食べられて、お味も上品。やっぱり『あら』は最強の魚ですね」

スープかけご飯
締めは、柚子明太子とあらの旨みが凝縮されたスープかけご飯。
お代わり続出の悶絶の美味しさ。
相撲茶屋 大塚

あらをコースで、単品で、オールシーズン味わえる

店内には九州場所の土を使った土俵や歴代力士の写真、手形などが飾られ、相撲の雰囲気を楽しみながらちゃんこ鍋やふぐ、あら料理が味わえる人気店。
元々は看板メニューのちゃんこ鍋に「あら」を入れていたが、今はあら鍋のほうが主体になってしまったそう。
あらコースは¥10,000〜¥18,000まで4種類。単品も充実しています。

相撲茶屋 大塚
DATA
福岡市中央区高砂1-19-3
☎092-531-9100
営業 17:00〜23:00(22:00L.O.)
休み 日曜、10月〜3月は無休
うどん発祥の地 博多に来たら
まずは〝ごぼう天うどん〟

博多はうどん伝来の地といわれていて、博多駅近くに建つ博多祇園山笠発祥の地でもある承天寺の境内には、「饂飩蕎麦発祥之地」の碑が建っています。
寺を開山した聖一国師が宋の時代に中国から経典などとともに製粉技術を持ち帰ったのが始まりで、うどん、蕎麦、饅頭の作り方を広めたのだそう。博多っ子のソウルフードであるうどん。なかでもごぼう天入りが一番人気です。

  • ごぼう天うどん
  • 丸天うどん

(左)短冊に切ってサクッと揚げたごぼう天うどん¥520、(右)すり身を揚げた丸天うどん¥520。やわらかめの手打ち麺と、羅臼昆布をベースに、かつお節やあご、いりこなどをブレンドしたほんのり甘いつゆが優しいお味。

かろのうろん

明治15年創業の博多で最も歴史のある老舗うどん

博多弁で「角のうどん」を意味する店名でおなじみ。
ご主人は4代目で、1日150〜200杯、多い日には300杯も注文が入るそう。
ごぼう天うどんとかしわのおにぎりは不動の人気。

かろのうろん
DATA
福岡市博多区上川端町2-1
☎092-291-6465
営業 11:00〜19:00
(麺がなくなり次第終了)
休み 火曜(祝日の場合は翌日)

周囲を海に囲まれた海産物の宝庫・天草には“うまかもん”が勢揃い

熊本県南西部の海に浮かぶ天草は、日本でも有数のグルメ食材の産地。伊勢海老、車海老、アワビ、ウニ、鯛、有明タコなど1年を通して豊富な魚介類が獲れるので、ハイレベルなお寿司からB級グルメまでさまざまな“うまかもん”が揃っています。リピートしたくなる美食処をご紹介。

ジャンパースカート¥48,000(キャラ・オ・クルス)
奴寿司

新鮮な地魚にひと手間加えて独創性あふれる寿司に

「日本で3本の指に入る寿司」と、有名グルメ評論家に言わしめた全国からファンが訪れる寿司の名店。イクラ以外はすべて天草で獲れた天然物を使用し、ネタごとに仕事を施してあるのが特徴で、意外性に富んだ味わい方を提案してくれます。トゲがなくまろやかな酢飯は、ふんわりと絶妙な握り具合。
おまかせ12貫で4千円というコスパの高さも魅力。

奴寿司
DATA
天草市東町76-2
☎0969-23-4055 ※要予約 
営業 12:00〜14:00、
18:00〜22:00(21:00L.O.)
休み 月曜(祝日の場合は翌日)
  • 鰹
  • ウニ
  • 鯛
  • 甲イカ
  • タコ
  • 鯛
  • コハダ
  • 天然ブリ、タチウオ
  • 車海老
  • 石鯛
  • マグロ

(左から)戻り鰹は中にネギ、上に柚子胡椒、ウニ、鯛はかぼすと梅塩で。甲イカの新子・かぼすとウニ塩、タコはゴマ塩と黒七味で。熟成鯛の昆布〆・刻み山葵、白板昆布をのせたコハダ、天然ブリのハラミは炙って中にガーリックチップを。切り目を入れて焼いたタチウオ・山葵と青胡椒、車海老、石鯛の焼き締め・ネギぽん酢、天然クロマグロ。

タコ街道
(左)タコステーキは要予約。1.4kgで¥3,080。真空パックしたお土産用もあります。¥840(12.5g)(右)道の駅の前を走る国道324号は、天草ありあけタコ街道と呼ばれ、タコのモニュメントや祈りダコの像があり、タコには目がないやっこちゃんは大喜び。さっそく多幸を祈りました。
道の駅有明:リップルランド

インパクト満点のタコステーキは有明の家庭の味

タコの産地として知られる有明町にある道の駅には、物産館のほか、日帰り温泉やレストランもあり、地ダコを使った天丼やカレー、タコめしなど、バラエティに富んだタコ料理が楽しめます。地元では丸ごと甘辛く煮付けるタコステーキもポピュラーで、鉢巻をして供される姿も愛らしく、やわらかくて美味。

DATA 天草市有明町上津浦1955 ☎0969-53-1565
営業 物産館9:00〜18:00、温泉10:00〜21:00入場、1Fレストラン10:00〜17:00、
2F座敷11:00〜14:00、16:00〜20:00 
休み 1F無休、2F第2水曜(祝日の場合は翌日)

特製ぺルラちゃんぽん
天草ちゃんぽんグランプリで優勝した具だくさんな「特製ぺルラちゃんぽん」。
コクがあるのにあっさりいただける塩だれスープが絶妙。¥980
ぺルラの湯舟
レストランさざんか

魚介がたっぷり入ったご当地ちゃんぽんの人気店

ホテルアレグリアガーデンズの敷地内にある天然温泉「ぺルラの湯舟」内のレストランは、ちゃんぽんの美味しい店として評判。客の大半が注文する「特製ぺルラちゃんぽん」は、ワタリガニや殻付きエビ、アサリ、ホタテなど海鮮や野菜がたっぷり入った豪華な一品。にんにくを効かせた塩だれベースのスープもクセになる美味しさ。

ぺルラの湯舟レストランさざんか
DATA
天草市本渡町広瀬996
☎0969-23-2626
営業 11:00〜14:30、17:00〜20:30
休み 無休

撮影/谷口 京 モデル/倉本康子 スタイリスト/菊池ゆか ヘア・メーク/高梨 舞 取材・構成/秋山美英 協力/九州観光推進機構

STORY 2016年1月号より