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光文社厳選!和食情報ナビ

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第5回 あなたの味覚は大丈夫?30代から始める味育 「マリアージュで作る
“おいしさ”のセオリー」

 食事とお酒の組み合わせについてよく聞く「マリアージュ」という言葉。レストランでソムリエに教わりながら新しい組み合わせを知るのは楽しいですよね。
 ただ、家庭の食卓で合わせてみようとすると、ビールにはどんな料理が良いのか、ワインと和食を合わせてもいいのか、など迷ってしまい、結局飲みたいものと食べたいものをばらばらに並べてしまいがち。和食におけるマリアージュとは「食事」と「お酒」の「調和」のこと。互いに寄り添うようにして成立するすてきな組み合わせは、料理をより美味しく、お酒をより味わい深く変化させるすばらしい方程式です。
 最終回は、ご近所のスーパーでも気軽に買えるお酒で、ふだんの食卓をより豊かに彩るセオリーを学んでいきましょう。

和食のマリアージュは「食事→酒」の順番で

 日本食にお酒を合わせるセオリーの一番大切なポイントは食べたい「食事」に対して合う「お酒」を選ぶ、といったように「食事→酒」の順番で考えること。そして、その食事の「味の濃さ」「食事のタイプ」「効果」の3つが大切です。
 あとは同じ色同士で組み合わせたり、繊細な料理にパンチの強いお酒を合せない、などのポイントを押さえると、王道の組み合わせには必ず、ごくごく簡単な法則があることが分かります。
 今回は、食べたい料理別に、相性の良いお酒を選ぶポイントを、組み合わせ別に解説していきます。

食べたい料理で相性の良いお酒を選ぶ組み合わせ術

濃いめの味噌風味や牛肉など力強い味の料理を楽しむなら…ビールがおすすめ!(写真左)
 ビールは苦味が特徴。酸味が増すとキレ感が強くなり、更に強くなると発泡酒やその他雑酒のように軽いテイストの味となります。牛肉の味噌漬け焼きのように濃い目の味には、コクのあるビールを一緒に味わってみましょう。

寿司や焼き魚など繊細な味わいを楽しむなら…発泡酒が相性◎(写真右)
 日本酒?それとも無難にお茶?意外と組み合わせに迷うのがお寿司。実は発泡酒がおすすめです。発泡酒は、ビールの風味がありながら、ライトなテイストが特徴。ビールに比べてコクが強すぎず、繊細な和食の味をグッと持ち上げてくれるため、寿司や焼き魚など繊細な味の料理も口内をフレッシュさせながら楽しむことができます。マグロやトロなど油脂が多いものから繊細な白身魚まで、それぞれの食材を活かす食中酒として試してみるとよいでしょう。

味の強いもの同士で組み合わせる「牛肉の味噌焼きとビール」(左)
寿司に一番合うのは「発泡酒」!「寿司と発泡酒」(右)

マグロや鰹などの赤身と合わせるなら、赤ワイン。(写真左)
 お刺身が食べたいけど、ワインも飲みたい。そんなときもありますよね。
 その場合は、マグロや鰹などの赤身を選んで、ワインも赤を選びましょう。
 品種にこだわらず「食べ物の色」でシンプルに選んでもOK。自宅にストックしやすい安価なハウスワインでも充分マリアージュを楽しむことができます。

今夜はお肉の気分。鶏の塩焼きでさっぱりいくなら、白ワイン!(写真右)
 赤ワイン同様の考え方で、白ワインは白い色をした肉と合わせてみましょう。豚肉や鶏肉がその筆頭。豚しゃぶや鶏の塩焼きなど、さっぱりとした肉の味を余韻として残しながら楽しめる食中酒となります。

色が同じ物で素直に組み合わせる 「カツオのたたきと赤ワイン」(左)
脂を洗い流してさっぱり味わう「鶏の塩焼きと白ワイン」(右)

和食の食中酒の王道、日本酒。いつ飲むのが最適?
 和食に合わせるお酒の王道といえば日本酒。ここは飲む「タイミング」を意識して、日本酒を選びましょう。まずは食前酒。食事前に一口含み、口内を華やかな香りで満たすことで、これから食べる和食の「食材」を楽しむ気分を盛り上げておきましょう。季節の野菜の香りを楽しむ意識が芽生えます。また、魚や肉など焼き物の脂を断ち切り、リフレッシュさせるために食中酒として用いると、肉の旨味と野菜の旨味など、素材による「旨味」の違いをそれぞれ楽しむことができます。

 飲むグラスの形状や温度によっても、香りや味わいが少しずつ変化するのもお酒のおもしろいところ。自宅で楽しむなら、通常のお猪口に限らず、温めてお燗にしたり、はたまたワイングラスに入れてゆっくり楽しんだりと、様々な味わい方をしてみたいですね。

和食と合わせたい色々なお酒。それぞれのお酒に合ったグラスを選ぼう。
~なぜ、シャンパングラスは細いのか?

 前述の日本酒の組み合わせでもご紹介したとおり、グラスの良し悪しでお酒の味わいも変わります。器によっては料理がより美味しく感じたり、いまいちな印象になってしまうのと同じですね。
 働き世代の女性の中でも、自宅で様々なお酒を楽しむ人が増えています。シャンパンを飲むとき、シャンパングラスがなくワイングラスで飲んでいる…という方も多いと思いますが、実はこのシャンパングラスにもそれなりの意味があるのです。シャンパン、つまりシャンパーニュ種のワインは、苦みと炭酸の刺激を伴うワインです。細い形状でできたシャンパングラスに注ぐことによって、口に流れる量を抑えることができ、繊細な味の印象へと変化していきます。これが白ワインや赤ワインのグラスでは、口径が広すぎて口の中に一気に広がり、苦々しい印象だけが残ります。グラスにも味わいを最適にする、「グラスと味のマリアージュ」があったのですね。
 「香り×味×食感」この組み合わせに合うグラスを見つけることで、今まで持っていた印象と全く異なるお酒との出逢いが待っているかもしれません。
 日本酒も組み合わせるワイングラスによっては、新しい味わいが生まれます。こうした「和魂洋才」のマリアージュも、おいしさの可能性を広げてくれることでしょう。王道のセオリーを身につけたら、ちょっと変わった組み合わせも楽しんで見てはいかがでしょうか?

フードスタイリング:中山晴奈  撮影:新田理恵

コンテンツナビゲーター 菅 慎太郎(かん しんたろう) 口福ラボ代表1977年埼玉県生まれ。味覚コンサルタント&コピーライター。「おいしさ」の表現を企画する口福ラボを主宰し、味香り戦略研究所では「味覚参謀(フェロー)」としてマーケット分析、商品開発を手がける。一般社団法人日本味育協会講師

監修者編集後記 お酒に合う料理、お酒に合うグラス。
料理とドリンクの合わせ方において、まずは誰にでもできる簡単な合わせ方を覚えておくと、例えば、自分が飲食店で食事とドリンクを選ぶときに、とても参考になると思います。
さて、これは自分自身が合わせる場合。一方で、相手に合わせて選ぶ場合はどのようにして選ぶのでしょう。
その人がどうやってこの食卓まで来たのか、急いで来たのか、えらく余裕がある感じで来たのか。年齢は上か、下か。季節は夏か冬か。体調が優れているか、不調なのか。今度は相手にたって食事とドリンクを合わせるように工夫をしてみてください。その時々で、味覚の調子も変わるはずです。
気が利く、気が合うように、マリアージュの感覚で。
松田 龍太郎 1977年生まれ。青森県弘前市出身 慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。
その後、2007年企画・プロデュース業に転身。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。
http://www.oiseau.co.jp