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第2回 あなたの味覚は大丈夫?30代から始める味育 「大人の上手な味見」

 レシピの通りに作ったのに、味はいまいち…。そんな経験ありませんか?それは、レシピは「調理の手順」を示すもので、その通りに作れば「味」が決まる、というわけではないため。素材の種類や状態、調理における温度の変化など、その時の条件によって、味付けを決める、つまり「調味」ができないと、思うような味は作れません。味の組み立て方を知るには、少しずつ「味見」をすることがポイント!自分の身体の内側に耳を傾けるように、食材の状態なども理解しながら、イメージ通りの「調味」にチャレンジしてみましょう。

料理上手になる近道は「つまみぐい」?

 子どもの頃、夕食の準備中に「つまみぐい」をしたら、叱られた方は多いのではないでしょうか。準備中の食事を先に食べてしまう「つまみぐい」は、確かにマナーの点ではNG。けれども、食材や調理の状態を確認する「味見」としては、これほど学びの多い方法はありません。「このぐらい」や「どのぐらい」といった加減は、「味見」無しには理解することができません。混ぜたり、加熱したり、「調理」によってどのように味が変化していくのか。自らの舌で確認するようにしてみましょう。

「おいしい味」には構造がある

 おいしい味を組み立てる構造さえ知っておけば、だれでも簡単に味を組み立てることができます。味には3つの構造があり、土台となる「旨味」や「甘味」、方向性を決める「苦味」「辛味」「酸味」、そしてつなぎの味として「塩味」や「雑味」が存在します。
 例えば、果物やスイーツがおいしいと感じるのは、「酸味」と「甘味」で「甘酸っぱい」という味の構造を持っているから。国民食とも言えるカレーにも、「辛味」と「旨味」といった構造があります。この3つの構造のバランスを基礎として覚え、縦に揃えると、不思議とおいしい味が組み立てやすくなります。

ドレッシングのおいしさを決める3つのポイント

 スーパーに行くと、たくさんの種類のドレッシングが並んでいますね。醤油風味のさっぱりしたものから、クリーム系のドレッシングなど、様々な種類がありますが、このドレッシングを味の構造に分解して考えてみましょう。サラダは基本的に「野菜」を食べるものです。葉物であれば「苦味」を持ち、トマトを入れたら「酸味」となりますが、方向性を決める味しか持っていません。したがって、味を完成させるには、その他の味を補完し、味を縦にバランスよく組み立てていくことが大切です。
味の決め手は3つのポイント。土台となる味の”旨味”を想起すると言われる「油」、味をつなぐ「塩」、そしてキレをだす「酸味」という3つの材料を、和食や洋食、シーンに合わせて選択していきましょう。

「つまみぐい」しながら作るドレッシング

 さあ、実際に「味見」をして、ドレッシングを作ってみましょう。すべてを完成させるのではなく、あえて不足した状態を味見することで、その食材を使う意味を体感しましょう。

(1)「油」と「塩」を混ぜてみる→塩気はあっても、いまいちパンチとキレがないことに気づく
   =【酸味や辛味】は味のメリハリを出す
(2)「酸味」と「塩」を混ぜてみる→インパクトはあるが浮ついた感じがする
   =【土台となる味】は旨味、コク、甘味など「しっかりとした味」にしてくれる
(3)「酸味」と「油」を混ぜてみる→塩味がないと、味がまとまらない
   =【塩味】はそれぞれの味をつなぎ、引き立てる役割を持つ

といったことが体験を通じて分かるようになります。
★注意:「酸味」の材料はそのままでは食道や胃を傷めるので、塩を少なめに足しながら味を小指の先で確認しましょう。

味見のあとは材料をセレクト

 「味見」をしたら今度は料理の本番。それぞれの役割を持つ素材の特性や味の意味を知れば、自分なりに出来上がったドレッシングの過不足を調整することができます。「何が足りない」とわかることが、「調味」の第一歩。是非とも、調理途中の味の変化、違いを「つまみぐい」しながら確かめてみるように心がけましょう。

 下記のようなメモを作り、印象を記入することで、違いを体感できます。頭に思うだけでなく、メモに書き出して、言葉として表現することで、体感がノウハウとして身につきます。
 昨今「スーパーフード」として着目されるオリーブオイルや亜麻仁油、そしてえごま油やココナッツオイルなど、摂りたい油を好みに合わせて組み合わせられるのも、ドレッシングを手作りする魅力。減塩にもつながり、その時々の体調に合わせて調味することをおすすめします。
 市販の商品を使い慣れていると、難しく感じてしまうドレッシング作りも、仕組みを理解すれば簡単にチャレンジできます。毎日のサラダ作りで、基本の味覚の組み立て方を学んでみてはいかがでしょうか。

参考:「調味」組み合わせシート

コンテンツナビゲーター 菅 慎太郎(かん しんたろう) 口福ラボ代表1977年埼玉県生まれ。味覚コンサルタント&コピーライター。「おいしさ」の表現を企画する口福ラボを主宰し、味香り戦略研究所では「味覚参謀(フェロー)」としてマーケット分析、商品開発を手がける。一般社団法人日本味育協会講師

監修者編集後記 人間の舌ほど、精密で鈍感なものはありません。僕の味覚と、他人の味覚が異なるように、必ずしも一致ないように。
「あまい」「からい」「しょっぱい」
けれども、「調味」という観点から、僕らはその味覚を共有できます。
味覚を共有することで、様々な出会い、違いを感じることでき、人生の許容量が変わります。
特に和食においては、その許容範囲が広く、且つ深いと感じます。
これは日本人だからこそ「味わえる」魅力でもあります。
ぜひ和食の真髄「味覚」の楽しさを、味わってはいかがでしょうか。
松田 龍太郎 1977年生まれ。青森県弘前市出身 慶応義塾大学環境情報学部卒業後、日本放送協会に入局。報道カメラマンとして、全国各地の事件事故、災害など日々のニュースの現場をはじめ、紀行番組の撮影に従事。
その後、2007年企画・プロデュース業に転身。2010年より株式会社オアゾ代表を務める。
積極的に女性クリエイターを活用し、特に食にまつわる事業・店舗開発、PRコンテンツ制作を得意とする。
http://www.oiseau.co.jp